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7. 三日目朝➀※

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 朝、ゼンは強烈な気持ちよさとともに目覚めた。うつ伏せというか、四つん這いのまま丸まっているような、妙な格好で寝ていた。身体の下にあたたかくて柔らかなものがあり、それを抱きしめて寝ている。

 しかも、ずっと性感帯を刺激されているような気持ちよさ。正確にいえば、男根が温かなものに根元までくるまれてきもちいい。

 寝ぼけながら、腰を動かす。半勃ちだったものがむくむくと大きくなった。抱きしめていたものが小さく震え、同時に男根をしめつける。
 
 ずいぶんと良い夢だと思った。
 こんな快楽とともに目覚めるとか、なかなか無い。

「う……んん……きもちいい」

 恍惚のまま思わず声を出す。
 また布団を洗うのは面倒くさいが、このまま夢精してしまいたい。緩慢に腰を動かし、快楽に身を委ねる。激しく動かせばしめつけが強くなり、まるで射精を誘うようにうねる。ざらつく感触も気持ち良いし、奥の少し硬いところが先端にあたるのもたまらない。

(まるでシウみたい)

 思いっきり射精して、そしていきなり我に返った。

 腕の中をのぞくと全裸のシウがいて、ゼンはふるえあがった。シウはかたく目をつぶっている。あおむけの彼女の足を容赦なく開き、その中心を深く貫いているのはどう見てもゼンのものだ。根元まで埋まっている。そのすきまから白濁液があふれていた。
 
(誰だ、こんなに射精したやつ)

 どう考えても自分である。

 現実逃避したくなるのをこらえて、慌ててかたさの残る男根を引きぬく。たまっていた白濁液が次から次へと大量にあふれ出た。むっとする精液の臭いに混じって、血と汗が濃くにおう。

 フラッシュバックのように、ゼンは昨夜のことを思い出した。いつものように仕事をこなし、山ほど返り血を浴びた。むせ返る獣と血の匂いのなか、これまたいつものようにたかぶった。無性に女が欲しくなったのだ。仕事のあとはいつもそうだった。一方的な殺戮の後も、ぎりぎりの命のやり取りの後も、高揚しきって荒れた気持ちを女で鎮めたくなる。

 特に今日は、飢えが強かった。途中、何度シウを抱いたことを思い出したか。どこか外の店で処理しようとして、さすがに血まみれでは行けないと、一度家に戻ったのがいけなかった。
 
 シウを目にして、そこからの記憶が曖昧だ。部屋にいたシウはなぜか服がはだけていて素肌をさらしていた。うるんだ琥珀色の瞳でみつめられた瞬間から、記憶があいまいだ。
 思う存分肉欲を満たして、めちゃくちゃ気持ちよかったことは、なんとなく覚えている。嫌がって泣くシウを組みふせて、何度も中に欲望をぶちまけたはずだ。意識を飛ばすシウの奥を、激しく刺激しながら身体を揺さぶり、無理やり起こしては啼かせた。

 で、やりたい放題やって満足して、最後に彼女の中に放ってそのまま、抜きもせずに寝落ちたのだろう。抜かずに何回だしたのか。白濁液は、シウの割れ目を伝い、いまだにゆっくりとあふれでている。

 ゼンは青くなった。男の所業としては最低も良いところである。やらかしたこともそうだが、さきほどからシウはほとんど動かない。
 
「シウ?」

 声をかけて呼吸と脈を確認する。一応、生きているようで安心した。

 朝の光に照らされてぐったりとしたシウを見て、ゼンはさらに青くなった。身体のいたるところに、紅い痣がついている。指で押した跡もあれば、手で強く握った手形がそのまま残るものもあった。胸や肩、そして尻には、痣にくわえて歯型もいくつかついている。唇できつく吸ったのか、うっ血した跡もたくさんあった。シウの頬は真っ赤で、まぶたも赤く腫れている。

 一番恐ろしいのは、シウの白い首にくっきりと残る指の跡と歯型。一体、どれほどこわい目にあわせてしまったのか。

「シウ、シウ」

 かるく頬をはたく。
 祈るように何度もシウの身体を揺すると、重たげにまつげがもちあがった。琥珀色の瞳に安堵する。

「う……あ……」

 掠れきった声で、小さくシウがうめく。咳きこむシウに水を飲ませ、背中を撫でた。
 
「痛みは? 身体は動くか」

 問いかけてみても、シウからの返答は無い。関節を動かして確認しながら、彼女に大きな怪我がないことを確認する。シウの身体についている血の跡は、ほとんどゼンの身体についていた返り血だった。

 昨日、仕事から帰ったあと、風呂にも入らず小汚いまま、彼女を犯したことに気づいてまた青くなる。
 もうゼンは、青を通り越して白くなって倒れそうだった。

(綺麗好きなシウに、なんてことを)

 昔、服の泥や埃を注意されてからというもの、ゼンはシウの前ではなるべく清潔にするよう心掛けていた。なのに、一番汚い状態でめちゃくちゃにするとか。
 罪悪感のあまり、呼吸が浅くなる。

(とらあえず、風呂、風呂にいれないと)
 
 裸のまま、ぐったりとしたシウを抱きあげて、石鹸とタオルをひっつかみ、家の裏手の風呂場へ向かった。 
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