ルート学園

マサヤ

文字の大きさ
上 下
5 / 13
始まり

05

しおりを挟む
 広すぎる廊下にコツコツと私と前を行く阿蘇さんと茶々さんの3人の足音が響く。

 まるでファンタジー映画に出てきそうな大きく太い柱に支えられた高い天井。陶磁器の様な滑らかな壁。ここが日本とは違う国のように思わせるその建物に、私は目を奪われながら後ろを付いていった。

 迷路の様な廊下を暫く歩いていくと、白い大きな両扉が姿を現す。茶々さんが阿蘇さんの前にささっと回り込むとその扉を開いた。そこを颯爽と通り抜けていく彼女を見送ると、ピタリ、と扉の前で足を止めた。


 なんていうかこの2人・・・・・・変。

 どうみても、あの阿蘇って子まだ子供よね? 15? 16? ううん、大まけにまけて18ってとこかしら。

 そんな子供に大の大人が付き従うって・・・・・・でも阿蘇さんは経営者で茶々さんは秘書だって言ってたからあれが普通・・・・・・なのかしら。


 そんな事を思いながら遠目で茶々さんを眺めていると、突然歩みを止めた私を不思議に思ったんだろう。茶々さんが小さく首を傾げながら「どうぞ」と部屋の中へ入るよう促してくる。

 それに「ど、どうも」と言葉を返しつつ扉を潜れば・・・・・・。



「ちょっ・・・・・・」


 部屋に入るなり目に飛び込んできたのは淡いピンク色のブラウスの襟を下げ、肌をはだけさせた彼女の後ろ姿で。

 私は慌てて彼女に駆け寄ると、がしっと服を掴んで引き上げる。


「ちょっと! 男性がいる部屋でそんな簡単に女の子が肌をみせちゃダメでしょ!?」

「は?」


 私の行動に瞳を瞬かせ眉根を寄せる茶々さんを横目に彼女の襟を調えると、下まで外されたボタンを一つずつとめていく。


「いくら彼が貴女の秘書だとしても着替えを見せるだなんて。若い子ってそうなの? もっと恥じらいを持ちなさい恥じらいを!」

「あー・・・・・・恥じらい、ですか」

「そうよ、恥じらい! 私が若い頃なんてねー、夏場のノースリーブ1枚でも近所のオバサン達にイヤラシイだとかなんだとか怒られてたのよ。まぁ若い頃っていってもそんな大昔じゃなくて10年くらい前だけど・・・・・・」


 でもそこはしっかりしなきゃダメよ、とうんたらかんたら説教をしながら最後のボタンに指をかけた時。


「あのさ」


 という言葉と共に、細くしなやかな指先が私の手を掴む。そしてその手を誘導する様に自分の胸へと押し付けた。

 ・・・・・・。いきなり何してんのかしら。いや、というかなにこれ信じられないくらいの貧乳ねこの子。

 ぺったりと押さえつけられたままの掌から感じる感触に、私は彼女の奇行に首を傾げつつも哀れみの視線を送った。

 私もそんな大きな方じゃないけど、流石にこれじゃ彼女が可哀想・・・・・・ん? でもいくら貧乳って言ってもこれはなんか・・・・・・そう、これは女の子の身体っていうよりどちらかと言えば・・・・・・。


 ・・・・・・。

 ・・・・・・・・・。

 !?!?!?!?



 その違和感がなんなのか。それに気が付くと同時に、私は飛び退く様に彼女から放れた。


「なっ、なっ、なっ、なあっ・・・・・・」

「あれ、やっと気が付いた?」


 驚きに口をわななかせ、声にならない叫びを上げる私とは裏腹に悪戯が成功した時の様に無邪気な笑顔をみせる彼女__もとい彼。

 つい今私がとめたボタンをもう一度プチプチと外していくと、バッとブラウスを先程と同じ様に両腕に絡めながらはだけさせる。

 中性的な顔立ちの首から下に現れたのは女性特有のふくよかなお山二つなどではない。

 そう、見間違えるはずもない立派な男性の胸板だったのだ。


「阿蘇日和。性別、お・と・こ。改めてよろしく、山梨ほのかさん?」

「ぎっ・・・・・・」


 ぎゃあああああああっ____。

 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました

フルーツパフェ
大衆娯楽
 とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。  曰く、全校生徒はパンツを履くこと。  生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?  史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれた女子高生たちが小さな公園のトイレをみんなで使う話

赤髪命
大衆娯楽
少し田舎の土地にある女子校、華水黄杏女学園の1年生のあるクラスの乗ったバスが校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれてしまい、急遽トイレ休憩のために立ち寄った小さな公園のトイレでクラスの女子がトイレを済ませる話です(分かりにくくてすみません。詳しくは本文を読んで下さい)

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

壁の薄いアパートで、隣の部屋から喘ぎ声がする

サドラ
恋愛
最近付き合い始めた彼女とアパートにいる主人公。しかし、隣の部屋からの喘ぎ声が壁が薄いせいで聞こえてくる。そのせいで欲情が刺激された両者はー

初めてなら、本気で喘がせてあげる

ヘロディア
恋愛
美しい彼女の初めてを奪うことになった主人公。 初めての体験に喘いでいく彼女をみて興奮が抑えられず…

処理中です...