星の欠片を集めて

bluestar

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試験開始

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契約式から二週間。とうとう初めての試験がきた。
あれから星宮さんとは仲良くやっているし、丘崎なんてもうどうでもいい。
ただ、未だに星宮さんの使う魔法が何か分からない。授業では俺が先生に呼ばれたり、皆に囲まれているうちに終わっている。そんな彼女の口癖は「月森双夜がやってくれた」。俺の魔法に気付き、言葉にせずとも魔法を作る彼女は、どうみても「何も出来ない」わけじゃない。言ってしまえば、多分かなり強い魔力の持ち主だ。それでも一年間何も出来ない素振りをしてきたのには何か訳があるはずで、だから俺からは何も言わない。
「よ、双夜。調子はどう?紗那ちゃん、大変じゃない?」
それが全く大変じゃないよ。てか、お前が俺に変なこと吹き込んでくれたおかげで、彼女の魔法を何一つ見ずに自分勝手に彼女を責めちゃったよ。
……なんて言わないけどさ。
「…はは」
「雷羅、行くよ?」
分かってるって、そう芽衣に返事をする雷羅の指には氷のリングがはめられている。
「あれ、前までは水じゃなかった?」
「ああ、これ。芽衣と交換したんだ。俺は水系が得意だけど、芽衣は氷の魔法が得意だから。このリングって本人の得意魔法で変わるんだって。すごいよな」
じゃあな、と雷羅は芽衣のもとへ走っていく。
そっか。皆もうリング交換したんだ。
「あれ、月森君はまだリング交換してないんですかぁ?」
この嫌みたらしい言い方をするのは一人しかいない。
「…何だよ、丘崎」
「いいや、別に。まあそうだよな。お前は一人で出来ちゃうからな。星宮さんは邪魔だろ。リングを交換したら嫌でもパートナーの情報が入ってくる。お前にとってそれは足かせでしかない。それにリングは持ち主の強さを象徴するもの。リング交換なんて恥ずかしくてできないだろ。分かるよ、俺も出来ないからな。ま、せいぜい頑張れよ。何て言ったって勝負はもうついてるからな」
高笑いしながら去っていく丘崎の後ろをペコペコしながらパートナーの子がついていく。
あいつ、あんなこと言って俺に勝ったつもりなのかな?
それにしても確かに丘崎が言った通り、リングは持ち主に合わせて変化するから、魔力の強さを表しているも同然。
「どうかしたの?」
気づくと隣には星宮さんがいた。
話、聞かれてたか……?
「いや、何でもないよ」
彼女に笑いかけて前を見る。
リング交換、どうしようかな……。

「それではただ今より試験内容を発表する」
学院長の声が響く。
「内容は至って簡単。これからそれぞれのペアを異空間に送る。そこには我々が用意した一体のモンスターを既に送り込んでいる。モンスターの首にはペンダントがかけられているから、それを取ってくる。これが第一回の試験内容だ。では、健闘を祈る」
話が終わったとき、あちらこちらから光があふれた。
そしてまもなく俺たちもその光に包まれた。
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