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第4章 使用人とメイドさんと天才魔法士令嬢(後編)
36. メイドさんと観察
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36. メイドさんと観察
翌日。私とカイル君はルスタミラの港に向かう。昨日は特に何事もなかったので良かった。少しだけカイル君の紳士的な優しさが嬉しくもあったし、見直した。
港に着くと、そこには既に多くの人達が集っていた。さすがは王立魔法学園だよね、こんなに迎えがいるんだから。ふと周りを見ると、私たち以外にも使用人やメイドらしき人物もいる。
あーこれじゃエルナリア様からも私たちのこと探せるかな?心配。
「すごい人だねカイル君」
「そうですね。そう言えば、マリアさんはエルナリア様がどんな風貌の人か分かりますか?」
「……分かるよ。逆にカイル君はなんで分からないのかな?お屋敷で何回か見たことあるよ?」
「……えっ!?マジですか!全然覚えてないです……」
草。いや、カイル君も記憶力悪い方なのかもしれないけど、普通に考えれば、自分の雇い主の妹令嬢なんだから、少しくらい興味を持つべきだと思うんだけど……。まぁいいや。
確かエルナリア様は私とカイル君と同い年で長い銀髪だったよね。見かける時はいつもツインテールにしてたっけ。私はカイル君にエルナリア様の事を伝えようとすると
「カイル君。エルナリア様はね……」
「あの人は貴族っぽくないな。あいつはそもそも男だろ?」
「あの……カイル君?」
「あの人はオレやマリアさんより年上だな。あの金髪はイライザ様と似てるが……」
なんか独自の理論で人間観察し始めたよこの人……。
「……もういいよ。うん。そうだよね。カイル君はそういう人だったね」
またそんなことしてると、いつか痛い目みるよ?……ちょっと不安になって来たかも。だって期待を裏切らないのがカイル君だから。
「あれは違うな。うーん……やっぱり分からない。向こうの目付きの悪い銀髪ツインテールは……」
ん?銀髪ツインテール?私がカイル君が見ている方向を見ると、間違いなく見たことある。エルナリア様がいた。
「ちょっ!ちょっとカイル君!?」
「はい?」
「聞こえてるわ。目付きの悪い銀髪ツインテールって私のこと?ふーん。見かけない顔ね?」
その人だよ!その人がエルナリア様だよ!カイル君はイライザ様の時と同じ顔が青ざめていく。本当に手がかかる子供みたいだ。
「あの!船旅お疲れ様ですエルナリア様。私はメイドのマリアです」
「ああ、あなたが噂の優秀なメイドさんね。話はメリッサから聞いてるわよ。よろしくね」
「はい!こちらこそよろしくお願いします!」
「あんたは?」
エルナリア様はカイル君を睨み付けている。カイル君はおどおどしていたけど、何事もなかったかのように話し始めた。
「申し遅れました。私はリンスレット家で使用人をしていますカイルと申します。この度はエルナリア様のお迎えを任されておりまして……」
……まず謝ろうかカイル君。押し切るのは無理があると思うな。
「……そう。初対面だけどお勤めご苦労様。マリア、屋敷に戻るわ。馬車に案内して」
「あっはい」
ほら。怒ってる。うーん……さすがにカイル君を庇うのは難しいなぁ。せっかく少しは見直してあげたのに。カイル君がいなくなるのはやはり困る。どうしようかな。
翌日。私とカイル君はルスタミラの港に向かう。昨日は特に何事もなかったので良かった。少しだけカイル君の紳士的な優しさが嬉しくもあったし、見直した。
港に着くと、そこには既に多くの人達が集っていた。さすがは王立魔法学園だよね、こんなに迎えがいるんだから。ふと周りを見ると、私たち以外にも使用人やメイドらしき人物もいる。
あーこれじゃエルナリア様からも私たちのこと探せるかな?心配。
「すごい人だねカイル君」
「そうですね。そう言えば、マリアさんはエルナリア様がどんな風貌の人か分かりますか?」
「……分かるよ。逆にカイル君はなんで分からないのかな?お屋敷で何回か見たことあるよ?」
「……えっ!?マジですか!全然覚えてないです……」
草。いや、カイル君も記憶力悪い方なのかもしれないけど、普通に考えれば、自分の雇い主の妹令嬢なんだから、少しくらい興味を持つべきだと思うんだけど……。まぁいいや。
確かエルナリア様は私とカイル君と同い年で長い銀髪だったよね。見かける時はいつもツインテールにしてたっけ。私はカイル君にエルナリア様の事を伝えようとすると
「カイル君。エルナリア様はね……」
「あの人は貴族っぽくないな。あいつはそもそも男だろ?」
「あの……カイル君?」
「あの人はオレやマリアさんより年上だな。あの金髪はイライザ様と似てるが……」
なんか独自の理論で人間観察し始めたよこの人……。
「……もういいよ。うん。そうだよね。カイル君はそういう人だったね」
またそんなことしてると、いつか痛い目みるよ?……ちょっと不安になって来たかも。だって期待を裏切らないのがカイル君だから。
「あれは違うな。うーん……やっぱり分からない。向こうの目付きの悪い銀髪ツインテールは……」
ん?銀髪ツインテール?私がカイル君が見ている方向を見ると、間違いなく見たことある。エルナリア様がいた。
「ちょっ!ちょっとカイル君!?」
「はい?」
「聞こえてるわ。目付きの悪い銀髪ツインテールって私のこと?ふーん。見かけない顔ね?」
その人だよ!その人がエルナリア様だよ!カイル君はイライザ様の時と同じ顔が青ざめていく。本当に手がかかる子供みたいだ。
「あの!船旅お疲れ様ですエルナリア様。私はメイドのマリアです」
「ああ、あなたが噂の優秀なメイドさんね。話はメリッサから聞いてるわよ。よろしくね」
「はい!こちらこそよろしくお願いします!」
「あんたは?」
エルナリア様はカイル君を睨み付けている。カイル君はおどおどしていたけど、何事もなかったかのように話し始めた。
「申し遅れました。私はリンスレット家で使用人をしていますカイルと申します。この度はエルナリア様のお迎えを任されておりまして……」
……まず謝ろうかカイル君。押し切るのは無理があると思うな。
「……そう。初対面だけどお勤めご苦労様。マリア、屋敷に戻るわ。馬車に案内して」
「あっはい」
ほら。怒ってる。うーん……さすがにカイル君を庇うのは難しいなぁ。せっかく少しは見直してあげたのに。カイル君がいなくなるのはやはり困る。どうしようかな。
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