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第2章 使用人とメイドさんとプレゼント

12. メイドさんとお誘い

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12. メイドさんとお誘い



 いつもの朝……とは今日は違う。

「あれぇ?確かここにしまっておいたはずなんだけど……」

 私はカイル君にあげるハンカチを探していた。あの時の顔を思い出すだけで、やはりプレゼントしないと気になってしまうから。きっと跳び跳ねて喜ぶだろうな。

「あっ!あった!これでよしっと」

 お目当てのハンカチを見つけ、ふと壁に掛けてある時計を見ると、無情にも朝礼が始まるほんの少し前を針が指していた。

「大変!急がないと!遅れたらカイル君みたいにメリッサさんに怒られちゃう!」

 そして私は部屋を飛び出して小走りで大広間に向かった。大広間に着くと朝礼が始まっていたようだけど、またカイル君が何かやったんだろう。『いえ!何でもないです!』という声が聞こえてきたから。本当にカイル君は期待を裏切らない。

 私はそのまま何事もなかったかのように、ため息をついてうなだれているカイル君の横、いつもの定位置に行く。

「おはようカイル君」

「あ、お、おはようございます!」

「しーっ。また怒られるよ?」

 カイル君。お願いだからそんなに驚かないで。私まで巻き込み事故とか起きて怒られるのは嫌だからさ。

「では本日の業務の通達をします」

 メリッサさんの朝礼が再開する。今日の業務内容を聞くだけなのに使用人の皆は真剣だ。昨日ミーアが言っていたようにここの人たちはやっぱり真面目で仕事人間なんだね。カイル君は……違うけど。とにかく私も頑張らないと!

 そしてそのあとは朝食をとる。うーん。今日はカイル君とは違う仕事かぁ。せっかくハンカチを用意してきたのに。仕事終わりに渡そうかな。まぁ大した用事じゃないしそうしよう。

 私は食堂を出る前にカイル君の元に向かう。ん?なんか食事が進んでないみたいたい。体調悪いのかな?

「あっカイル君。ちょっといいかな?」

「マリアさん!?なんですか!?」

 ……なんでそんなに驚くのかな?私ってもしかしてイライザ様みたいに怖いとか思われてる?

「……今日の仕事終わり時間あるかな?」

「え?」

「もしかして用事あった?」

 私がそう言うとカイル君は立ち上がり勢い良く返答する。

「ないです!超ないです!むしろあるわけが無いですよ!!」

 すごく必死だ……。私怖くないよね?知らないうちにカイル君にマウントとかとっちゃってるのかな?気をつけよう。

「良かった。じゃあ仕事が終わったら、あの中庭にある花壇の前に集合ね?」

「了解しました!」

 あ。カイル君は約束とか忘れそうだから釘をさしておかないと。だって朝礼でもメモ取らない人だからね……忘れられて中庭で放置されたら困るしね。

「カイル君。遅れちゃ……ダメだよ?」

 そうカイル君に告げて私は食堂を出ていく。なんか後ろから恐怖から解放されたかのように『うおおおおおお!』とか聞こえるけど聞かなかったことにしよう。

 なんか私ってカイル君にプレッシャーとか与えてるのかな?本当に気をつけよう。
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