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421. ましのんは『共有』しているそうです
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421. ましのんは『共有』しているそうです
5期生の初配信が終わり、8月も何日か過ぎた頃。夏の日差しが降り注ぐ中、オレは休みをとって彩芽ちゃんとこの前の約束通り海水浴へと来ていた。
こうやって彩芽ちゃんと一緒にデートするのも温泉旅行に行った時以来だし、こういう機会でリフレッシュできるのはありがたいよな。しかも泊まりだしな。
「あの……晴れてよかったですね……海もすごく綺麗で……」
「うん。晴れてくれてよかった。こういうところ、あんまり来ないからね」
「ですね……」
「ほら……その……せっかくのデートなんだし彩芽ちゃんも楽しもう!とりあえずパラソルでも立てて寝転ぶ?」
2人で準備をしてパラソルを立てるとビニールシートの上で横になる。日差しは強いが風が心地よい。それに……彩芽ちゃんの水着……白のビキニ。控えめに言って最高すぎる。意外にこういう水着とか着るんだな彩芽ちゃん。
「あの颯太さん……水着……どうですか……?」
「すごく似合ってるよ。可愛い」
「ありがとうございます……」
そう言って恥ずかしそうに顔を下に向ける彩芽ちゃん。恥じらいながらお礼をいう姿は可愛らしいし、いつもよりも少し露出が多い水着は破壊力抜群である。
「そう言えば彩芽ちゃんって泳げるの?」
「……泳げません」
「え?泳げないの?」
「はい。……すいません」
そう言って申し訳なさそうにする彩芽ちゃん。いや……それなら海水浴を断ってくれたら良かったのに……
「海来たら一緒に泳ごうかなって思ってたんだけど……オレも確認しなかったからゴメン」
「大丈夫です。浮き輪もありますし」
そう言って彩芽ちゃんは荷物から浮き輪と空気入れを取り出す。さすが準備がいいな。
その後2人で海に入って泳いだり、彩芽ちゃんに浮き輪を持たせてぷかぷかと海に浮かんだりして、何気ない時間を過ごした。そして楽しい時間はあっという間に過ぎていき……夕方になる頃には疲れ切って砂浜に座りながら夕日を見ていた。
さすがに疲れたな……でもすごく楽しかったし来てよかった。海水浴なんて何年ぶりだろうか……この時間の海辺は人も少ないし、たまにはこういうのもいいかもしれない。
そう思っていると……
ギュッ 隣に座っている彩芽ちゃんがオレの腕に抱きついてくる。水着越しに感じる彩芽ちゃんの体温にドキドキしていると、彩芽ちゃんは顔を赤らめながら話し出す。
「颯太さん……今日……楽しかったですか?」
「もちろん。すごく楽しかったし、来てよかった」
「……なら良かったです」
「彩芽ちゃんこそ泳げなかったのに楽しめたの?」
「颯太さんと一緒なら……どこでも楽しいです」
そう嬉しそうにする彩芽ちゃん。なんか本当に彩芽ちゃんは素直で可愛いな。そのまま夕日を見ていると、彩芽ちゃんがオレから身体を離して立ち上がる。そして夕日をバックにオレに向き直る。その姿は……すごく綺麗で見惚れてしまった。そして彩芽ちゃんは優しい笑顔で口を開く。
「あの……夜……花火しませんか?」
「花火?」
「こういう時しか……出来ないので……」
「花火かぁ久しぶりだな。それじゃコンビニで買って来ようか」
そう言ってオレは微笑んでみせると、彩芽ちゃんも嬉しそうに微笑む。その後2人で近くのコンビニまで買いに行って花火を買い、旅館に戻り夕食とお風呂を済ませる。そして身体は海で疲れ切っていたが、浴衣に着替えて砂浜へと向かった。
「彩芽ちゃん。どれからやる?」
「私は……これがいいです」
そして2人で花火を楽しむ。都会とは違って空は満点の星空、そして花火を楽しむ浴衣姿の彩芽ちゃん。その全てが幻想的で儚いと思えるほど綺麗だった。
「そう言えば颯太さん……あの……そろそろ……えっと……1年……ですね?」
「え?あっうん……そうだね。ゴメンねあまり出掛けられなくて」
「いえ……お仕事忙しいですから。それに……同じ家でいつも一緒にいますし、バーチャルでも会えますから」
そう言って頬を赤くする彩芽ちゃん。本当に彩芽ちゃんの言うとおりだな。そう考えたら、ほとんどの時間を彩芽ちゃんと共有しているのかもしれない。それはオレと彩芽ちゃんだけの特別なものだ。
「でも……記念日は……またこうやって……2人で過ごしたいです」
「うん。2人でゆっくりお祝いしようか」
2人で迎える初めての記念日。お互い忙しいが……それでもなるべく毎年お祝いしていこう。
そして夏の夜は長いようで短い。そう思わせてくれるほど、楽しい時間とは早く過ぎていく。気がつけば時刻は23時を過ぎていたので花火を終え旅館に戻る。部屋から見える海は昼間の青さを失い、闇に包まれている。
オレと彩芽ちゃんはまだ寝ずに窓から外を眺めている。電気を消しているから、月の光だけが部屋を照らしている。そんな暗い部屋の中で彩芽ちゃんはそっとオレに身体を預け寄り添って座り、夏の夜を過ごしている。
本当に贅沢な時間だよな……好きな人と一緒に旅行に来て、こうして寄り添いながら2人だけの夜を過ごすなんて……
「颯太さん」
「何?彩芽ちゃん」
「今日はありがとうございます。楽しかったです。あと……大好きです」
そう言って優しく微笑む彩芽ちゃんをオレは強く抱きしめると、彩芽ちゃんもそれに応えるようにオレに手を回す。そしてお互い見つめ合い、そっと唇を重ねる。
夏の夜風は少し肌寒かったが、浴衣越しに伝わる彩芽ちゃんの体温は温かくて心地よいものだった。
5期生の初配信が終わり、8月も何日か過ぎた頃。夏の日差しが降り注ぐ中、オレは休みをとって彩芽ちゃんとこの前の約束通り海水浴へと来ていた。
こうやって彩芽ちゃんと一緒にデートするのも温泉旅行に行った時以来だし、こういう機会でリフレッシュできるのはありがたいよな。しかも泊まりだしな。
「あの……晴れてよかったですね……海もすごく綺麗で……」
「うん。晴れてくれてよかった。こういうところ、あんまり来ないからね」
「ですね……」
「ほら……その……せっかくのデートなんだし彩芽ちゃんも楽しもう!とりあえずパラソルでも立てて寝転ぶ?」
2人で準備をしてパラソルを立てるとビニールシートの上で横になる。日差しは強いが風が心地よい。それに……彩芽ちゃんの水着……白のビキニ。控えめに言って最高すぎる。意外にこういう水着とか着るんだな彩芽ちゃん。
「あの颯太さん……水着……どうですか……?」
「すごく似合ってるよ。可愛い」
「ありがとうございます……」
そう言って恥ずかしそうに顔を下に向ける彩芽ちゃん。恥じらいながらお礼をいう姿は可愛らしいし、いつもよりも少し露出が多い水着は破壊力抜群である。
「そう言えば彩芽ちゃんって泳げるの?」
「……泳げません」
「え?泳げないの?」
「はい。……すいません」
そう言って申し訳なさそうにする彩芽ちゃん。いや……それなら海水浴を断ってくれたら良かったのに……
「海来たら一緒に泳ごうかなって思ってたんだけど……オレも確認しなかったからゴメン」
「大丈夫です。浮き輪もありますし」
そう言って彩芽ちゃんは荷物から浮き輪と空気入れを取り出す。さすが準備がいいな。
その後2人で海に入って泳いだり、彩芽ちゃんに浮き輪を持たせてぷかぷかと海に浮かんだりして、何気ない時間を過ごした。そして楽しい時間はあっという間に過ぎていき……夕方になる頃には疲れ切って砂浜に座りながら夕日を見ていた。
さすがに疲れたな……でもすごく楽しかったし来てよかった。海水浴なんて何年ぶりだろうか……この時間の海辺は人も少ないし、たまにはこういうのもいいかもしれない。
そう思っていると……
ギュッ 隣に座っている彩芽ちゃんがオレの腕に抱きついてくる。水着越しに感じる彩芽ちゃんの体温にドキドキしていると、彩芽ちゃんは顔を赤らめながら話し出す。
「颯太さん……今日……楽しかったですか?」
「もちろん。すごく楽しかったし、来てよかった」
「……なら良かったです」
「彩芽ちゃんこそ泳げなかったのに楽しめたの?」
「颯太さんと一緒なら……どこでも楽しいです」
そう嬉しそうにする彩芽ちゃん。なんか本当に彩芽ちゃんは素直で可愛いな。そのまま夕日を見ていると、彩芽ちゃんがオレから身体を離して立ち上がる。そして夕日をバックにオレに向き直る。その姿は……すごく綺麗で見惚れてしまった。そして彩芽ちゃんは優しい笑顔で口を開く。
「あの……夜……花火しませんか?」
「花火?」
「こういう時しか……出来ないので……」
「花火かぁ久しぶりだな。それじゃコンビニで買って来ようか」
そう言ってオレは微笑んでみせると、彩芽ちゃんも嬉しそうに微笑む。その後2人で近くのコンビニまで買いに行って花火を買い、旅館に戻り夕食とお風呂を済ませる。そして身体は海で疲れ切っていたが、浴衣に着替えて砂浜へと向かった。
「彩芽ちゃん。どれからやる?」
「私は……これがいいです」
そして2人で花火を楽しむ。都会とは違って空は満点の星空、そして花火を楽しむ浴衣姿の彩芽ちゃん。その全てが幻想的で儚いと思えるほど綺麗だった。
「そう言えば颯太さん……あの……そろそろ……えっと……1年……ですね?」
「え?あっうん……そうだね。ゴメンねあまり出掛けられなくて」
「いえ……お仕事忙しいですから。それに……同じ家でいつも一緒にいますし、バーチャルでも会えますから」
そう言って頬を赤くする彩芽ちゃん。本当に彩芽ちゃんの言うとおりだな。そう考えたら、ほとんどの時間を彩芽ちゃんと共有しているのかもしれない。それはオレと彩芽ちゃんだけの特別なものだ。
「でも……記念日は……またこうやって……2人で過ごしたいです」
「うん。2人でゆっくりお祝いしようか」
2人で迎える初めての記念日。お互い忙しいが……それでもなるべく毎年お祝いしていこう。
そして夏の夜は長いようで短い。そう思わせてくれるほど、楽しい時間とは早く過ぎていく。気がつけば時刻は23時を過ぎていたので花火を終え旅館に戻る。部屋から見える海は昼間の青さを失い、闇に包まれている。
オレと彩芽ちゃんはまだ寝ずに窓から外を眺めている。電気を消しているから、月の光だけが部屋を照らしている。そんな暗い部屋の中で彩芽ちゃんはそっとオレに身体を預け寄り添って座り、夏の夜を過ごしている。
本当に贅沢な時間だよな……好きな人と一緒に旅行に来て、こうして寄り添いながら2人だけの夜を過ごすなんて……
「颯太さん」
「何?彩芽ちゃん」
「今日はありがとうございます。楽しかったです。あと……大好きです」
そう言って優しく微笑む彩芽ちゃんをオレは強く抱きしめると、彩芽ちゃんもそれに応えるようにオレに手を回す。そしてお互い見つめ合い、そっと唇を重ねる。
夏の夜風は少し肌寒かったが、浴衣越しに伝わる彩芽ちゃんの体温は温かくて心地よいものだった。
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