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386. 姫は『心配』らしいです
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386. 姫は『心配』らしいです
3期生の旅行配信から2週間。5月下旬。オレや彩芽ちゃんはいつもの配信スタイルに戻っていた。前半はゴールデンウィークやら旅行やら色々あったからな。
今回は彩芽ちゃんもオリジナル曲を出す予定で、またAMEさんにお願いすることにした。AMEさんは『姫宮ましろ』『双葉かのん』の2曲作るんだもんな……なんか悪いことしたかも。
そして今はリビングで高坂さんとスケジュールの打ち合わせをしている……のだが……
「今週末はましのんがあるから、土曜日の朝配信は休みにします。それでいいですか?」
「……」
「高坂さん?」
「あ。すいません!えっと……その……」
「土曜日の朝配信は休みにするけど大丈夫?」
「分かりました!土曜日は朝配信お休みっと……」
と。どこか上の空である。旅行配信から少し様子がおかしい。もしかしたら彩芽ちゃんみたいに体調が悪いのか?
「あの高坂さん。体調悪いんですか?」
「いえ!全然元気です!」
「そう?ならいいんですけど……」
「はい!元気です!元気ですから!」
高坂さんはどこか空回りな笑顔で返事をする。何か悩みでもあるんだろうか。でもこれ聞いていいのか?もしかしたらオレには言いたくないことかもしれないよな?
「じ、じゃあ打ち合わせも終わりましたし……事務所に戻りますね!」
「え?今日はもう仕事終わりじゃないんですか?」
「あ。実は仕事が終わらなくて……」
「言ってくれれば、ディスコードでも良かったですよ?スケジュールの打ち合わせくらい」
「いえ!ライバーさんと話すのもマネージャーの仕事です!直接会って、体調やメンタルの確認もできますし!変わったところがあればすぐに対処できますから!」
そうなんだが……仕事が終わらないなんて今までなかったよな?高坂さんはなんだかんだ仕事はできる子だと思うし。う~ん……本人が言わない以上無理にも聞けないし、桃姉さんに聞いてみるか。
そして夜。明日のサムネを作りリビングに降りてくると、ソファーで横になっている桃姉さん。キッチンで洗い物をしている彩芽ちゃんがいる。
「あっ颯太。冷蔵庫からビールとって」
「明日休みだからって、贅沢だなおい。しかも洗い物も彩芽ちゃんにやらせて」
「それは彩芽ちゃんの好意じゃない?」
「あ。私が好きでやってますから」
そのまま冷蔵庫から缶ビールを取り出し桃姉さんに渡す。それをプシュッと開けて美味しそうに飲む桃姉さん。
誰かもらってくれないかな?このグータラ姉。仕事はバリバリこなすのになんで家だとこうなのか。とはいえオレを育ててくれた恩もあるし、口答えもできないけど。とりあえずビールを飲みながらスマホをいじる桃姉さんに高坂さんのことを聞いてみることにする。
「あのさ桃姉さん。高坂さんって最近忙しいのか?」
「え?」
「いや、仕事が多いとか、重要な案件をやっているとか?」
「別に?普通じゃない?重要な案件なんか任せてないわよ?」
桃姉さんはスマホをいじりながら、興味なさそうに返事をする。なんだこの姉は!こっちは真剣に聞いてるのに!すると洗い物を終えた彩芽ちゃんがコーヒーを持ってこっちにやってきて、そしてオレの隣に座る。ああ……彩芽ちゃん可愛いな。
「あの颯太さん……そう言えば……最近、陽葵さんと……事務所の控え室で良く会います」
「え?控え室?」
「はい……昨日も会いました。色々なライバーさんとお話してました」
「他のマネージャーが、そんなこと言ってたわね。あんたの指示とかじゃないの?他のマネージャーさんやライバーさんの事を勉強するためとか?」
「そ……そうなんだよ!きちんとやってるんだな!あはは」
他のライバーと話しているのか……つまり今日もわざわざ事務所に戻って、ライバーさんと話しているってことだよな?一体何のために?
3期生の旅行配信から2週間。5月下旬。オレや彩芽ちゃんはいつもの配信スタイルに戻っていた。前半はゴールデンウィークやら旅行やら色々あったからな。
今回は彩芽ちゃんもオリジナル曲を出す予定で、またAMEさんにお願いすることにした。AMEさんは『姫宮ましろ』『双葉かのん』の2曲作るんだもんな……なんか悪いことしたかも。
そして今はリビングで高坂さんとスケジュールの打ち合わせをしている……のだが……
「今週末はましのんがあるから、土曜日の朝配信は休みにします。それでいいですか?」
「……」
「高坂さん?」
「あ。すいません!えっと……その……」
「土曜日の朝配信は休みにするけど大丈夫?」
「分かりました!土曜日は朝配信お休みっと……」
と。どこか上の空である。旅行配信から少し様子がおかしい。もしかしたら彩芽ちゃんみたいに体調が悪いのか?
「あの高坂さん。体調悪いんですか?」
「いえ!全然元気です!」
「そう?ならいいんですけど……」
「はい!元気です!元気ですから!」
高坂さんはどこか空回りな笑顔で返事をする。何か悩みでもあるんだろうか。でもこれ聞いていいのか?もしかしたらオレには言いたくないことかもしれないよな?
「じ、じゃあ打ち合わせも終わりましたし……事務所に戻りますね!」
「え?今日はもう仕事終わりじゃないんですか?」
「あ。実は仕事が終わらなくて……」
「言ってくれれば、ディスコードでも良かったですよ?スケジュールの打ち合わせくらい」
「いえ!ライバーさんと話すのもマネージャーの仕事です!直接会って、体調やメンタルの確認もできますし!変わったところがあればすぐに対処できますから!」
そうなんだが……仕事が終わらないなんて今までなかったよな?高坂さんはなんだかんだ仕事はできる子だと思うし。う~ん……本人が言わない以上無理にも聞けないし、桃姉さんに聞いてみるか。
そして夜。明日のサムネを作りリビングに降りてくると、ソファーで横になっている桃姉さん。キッチンで洗い物をしている彩芽ちゃんがいる。
「あっ颯太。冷蔵庫からビールとって」
「明日休みだからって、贅沢だなおい。しかも洗い物も彩芽ちゃんにやらせて」
「それは彩芽ちゃんの好意じゃない?」
「あ。私が好きでやってますから」
そのまま冷蔵庫から缶ビールを取り出し桃姉さんに渡す。それをプシュッと開けて美味しそうに飲む桃姉さん。
誰かもらってくれないかな?このグータラ姉。仕事はバリバリこなすのになんで家だとこうなのか。とはいえオレを育ててくれた恩もあるし、口答えもできないけど。とりあえずビールを飲みながらスマホをいじる桃姉さんに高坂さんのことを聞いてみることにする。
「あのさ桃姉さん。高坂さんって最近忙しいのか?」
「え?」
「いや、仕事が多いとか、重要な案件をやっているとか?」
「別に?普通じゃない?重要な案件なんか任せてないわよ?」
桃姉さんはスマホをいじりながら、興味なさそうに返事をする。なんだこの姉は!こっちは真剣に聞いてるのに!すると洗い物を終えた彩芽ちゃんがコーヒーを持ってこっちにやってきて、そしてオレの隣に座る。ああ……彩芽ちゃん可愛いな。
「あの颯太さん……そう言えば……最近、陽葵さんと……事務所の控え室で良く会います」
「え?控え室?」
「はい……昨日も会いました。色々なライバーさんとお話してました」
「他のマネージャーが、そんなこと言ってたわね。あんたの指示とかじゃないの?他のマネージャーさんやライバーさんの事を勉強するためとか?」
「そ……そうなんだよ!きちんとやってるんだな!あはは」
他のライバーと話しているのか……つまり今日もわざわざ事務所に戻って、ライバーさんと話しているってことだよな?一体何のために?
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