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348. 姫は『パンク』してるそうです

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348. 姫は『パンク』してるそうです



 4月30日。明日から5月。世間は長めのゴールデンウィークに入っている企業が多い。しかし、オレたちVtuberにはそんなゴールデンウィークは存在しない。この時期に配信を多くやることでチャンネル登録者を増やさないとな。

 5月3日、4日、5日には『Vすたコラボ』もある。それに向けてオレは準備を進めている。今回のコラボは初めての外部コラボでもあり、リスナーからの反響も大きいからな。Fmすたーらいぶとしても、Vパレスプロダクションさんとしても、良いコラボになるといいよな。

 そんなことを考えながらSNSのチェックやら、ディスコードの返事やらをしていると……さくらちゃんからメッセージが来る。

「ん?今通話大丈夫ですか?か。珍しいなさくらちゃんからメッセージなんて。しかも通話か……」

 オレはすぐにOKの返事を送る。するとすぐにさくらちゃんから通話が来る。

「もしもし?」

 《あっお疲れ様です。返事がなかったので通話しちゃいました。忙しかったらすいません》

「え?あれ、もしかしてましろなんか頼まれてたっけ?」

 《え?w明日の件なんですけど。忘れてましたか?ディスコードのやつw》

「明日?ディスコード?あっ!ごめん今送るねw」

 忘れてた……FmすたーらいぶとVパレスプロダクションさんとのコラボで頭がいっぱいになっていた。明日は元からFmすたーらいぶの企画配信がある日で、『Vすたコラボ』にあやかって『前夜祭』として配信するんだった。

 《届きました。ありがとうございます。明日20時からですけど、大丈夫ですか?》

「うん。スケジュールはおさえてあるからw本当にごめんね」

 《いえ。でも意外です。ましろ先輩が提出物を忘れるなんてw》

「最近忙しいからさ。ありがたいことだけどwほら昨年はそこまで色々やってなかったし、コラボもあまりやってなかったから」

 《確かに。こうやってましろ先輩に連絡も気軽に出来ませんでしたしねwきっと変わらないままなら、マネージャー経由とかで伝えてますよw》

「そうかもねw」

 そのあともさくらちゃんと少し雑談し、通話を切る。まぁ昨年の今ごろは『姫宮ましろ』は完全なお清楚キャラ。近寄りがたい雰囲気があったのも事実だけど。

 そして1時間ほど作業をしていると、今度は日咲さんから突然通話が来る。なんだろうか?

「もしもし?ポアロ探偵?」

 《あっ姫?今大丈夫?》

「うん。どうしたの?」

 《いや、さっきさくらと話してたら姫がだいぶパンクしてるんじゃないかって心配してたからさ?》

 それでわざわざ通話をくれたのか……ありがたいし、日咲さんはやっぱり優しいよな。本当に同期で助かる。

「大丈夫だよ。心配してくれてありがとう」

 《何かあったらポアロに言ってくれれば手伝うから!》

「ありがとう」

 《ところでさ?明後日の件は大丈夫だよね?》

「え?明後日?」

 オレはスケジュールを確認すると、19時から日咲さんの考えた公式企画配信が入っていた。そうだこの企画も参加するんだったっけ……

 《お~いw忘れてたでしょw》

「ごめんw」

 《本当に大丈夫?姫が無理そうなら他のライバーさんにお願いするよ?まだ間に合うし!》

「いや他のライバーさんも忙しいし、出てくれるライバーさんのスケジュールもおさえてあるし。大丈夫だよ。忘れてただけで体調とかは平気だから」

 なんか色々迷惑をかけてしまってるな……メインの配信を忘れてどうするんだよオレ。

 《わかった。とりあえず配信中は無理しないでね?》

「うん。ありがとう」

 《じゃあ明日と明後日よろしく!》

 そのあと日咲さんと通話を切り、オレは再度SNSのチェックやディスコードの返信をしていく。明日からのゴールデンウィークは大変なことになりそうだけど……頑張るか。
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