【ガチ恋プリンセス】これがVtuberのおしごと~後輩はガチで陰キャでコミュ障。。。『ましのん』コンビでトップVtuberを目指します!

夕姫

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268. 姫は『初めて』らしいです

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268. 姫は『初めて』らしいです



 そして月日は流れ、2月下旬。時間は20時オレは今、彩芽ちゃんと共に事務所のスタジオの控え室で『ましのん』の配信をするために待機をしている。

 今日の配信は卒業シーズンに向けてのFmすたーらいぶのグッズ紹介の配信の予定だ。企画内容は2日前と結構ギリギリに聞かされており、スケジュールの合間を縫っての配信になってしまっていた。

 最近も忙しくて仕事が詰まってるからな……まぁ、忙しいのは嬉しいことだが……

「あの颯太さん?」

「どうかした?」

「企画ギリギリでしたね……?」

「そうだね。珍しいよな、こんなギリギリなのは。まぁそれだけ忙しいんだろうけどさ」

 オレはそう言って笑う。すると彩芽ちゃんも微笑み返してくれる。この顔が見れるなら忙しいのも悪くないな。

「もうすぐ……1年が経つんですね……ましろん先輩と出会って……颯太さんと出会って……」

「そうだね……あのさ彩芽ちゃん。休み取れたら旅行とか……どうかな?なんだかんだ一緒に出掛けてないからさ」

「旅行?……行きたいです」

「どこ行きたいとかある?」

「そう……ですね……温泉とかどうですか?」

「温泉?いいの温泉で?前に案件で温泉施設行ったけど。まぁ……彩芽ちゃんが行きたいならいいよ」

 オレと彩芽ちゃんはそんな会話を繰り返す。すると、控え室のドアがノックされる。そしてスタッフさんが入ってくる。どうやら時間のようだ。

 オレと彩芽ちゃんは最終台本の確認と配信の準備をし、スタッフさんに挨拶をすると配信スタジオに向かう。

「彩芽ちゃん大丈夫そう?」

「はい……大丈夫です」

 そう言って笑う彩芽ちゃん。配信前から少し緊張している様子がうかがえるが、大丈夫だろう。まぁいつものことだし。でも最近はそこまで緊張もしていないのかもな。本当にこの1年で成長したよな彩芽ちゃん。そしていよいよ配信が始まる。

 コメント
『始まった!』
『ましのん最高』
『楽しみすぎ!』

「こんばんは。みなさん、良い夜をお過ごしですか?Fmすたーらいぶ1期生、みんなの姫こと姫宮ましろです」

「こんばんは~。Fmすたーらいぶ3期生、Fmすたーらいぶの風紀を守るがんばり屋の妖精、双葉かのんだよぉ!」

「さて、今日も『ましのん』で配信をやっていこうと思うんですけど、今日の企画は何かなかのんちゃん?」

「今日の企画は卒業シーズンに向けてのFmすたーらいぶグッズ紹介です!えっとですね……」

 配信が始まっていくが、肝心のグッズのサンプルがこないんだが……トラブルか?とりあえず場繋ぎをしないと。アドリブになるが彩芽ちゃんももう配信2年目だし、何とかしてもらうしかない。

「かのんちゃん。学生の時の卒業式って思い出ある?」

「え?卒業式ですか?えっとかのんはですね……ない……ですね……はい」

 コメント
『ないは草』
『さすがコミュ障陰キャ女w』
『それ久しぶりだなw』

 そんな感じで場繋ぎをしていると、突然ディスコードで通話がくる。相手は遠山さくらちゃんだ。

「あれ?さくらちゃんだ。どうしよう配信中なんだけどな……」

「出たほうがいいんじゃないですか?」

「そうだね。……あ。もしもし?ごめん今、配信中です」

 《あ。そうなのかい?自己紹介しとく。Fmすたーらいぶ2期生、赤髪のJK警部こと遠山さくらだい!》

 コメント
『警部来たw』
『どうしたんだ?』
『オレは嬉しい』

「どうしたのさくらちゃん?」

 《いや。今日の配信って雑談配信なんでしたっけ?》

「あー。卒業シーズンのグッズ紹介の配信やってるんだけど……色々あってね」

 《あー。やっぱりそうでしたか。グッズのサンプルがないんじゃないですか?なきゃ紹介できないですよねw》

「え?」

 コメント
『まさかw』
『警部おまw』
『やったのかw』

 ……どういうことだ?オレはあることを察して彩芽ちゃんを見る。

「……かのんちゃん?」

「えっ!いやいや本当にかのん知らないですよ!?」

 《グッズがないんじゃ紹介できねぇなぁ~ましろ先輩wじゃあ本当の企画内容発表するぜい!かなえよろしく!》

 《はい!今日の企画は……『ましのんの絆を試せ!配信穴埋めヒストリー!』です!》

「かなえちゃんもいるんだw」

「桜花爛漫の企画なんですかこれw」

 コメント
『ドッキリかw』
『姫に仕掛けるなんて最高!』
『やっぱり警部は違うw』

「ドッキリなのか。そっかそっか」

「なんでましろん先輩嬉しそうなんですかw」

「いや。だってましろドッキリ初めてだからさwなんか嬉しいんだよw」

 《いやもっと驚いたり嫌がったりしろいw》

「いや、さくらちゃん。これドッキリじゃなかったら相当な放送事故になるからw内心少し焦ってたよましろ。だからある意味ホッとしてるw」

 《それは確かにそうかもなwとりあえず、ここからは『桜花爛漫』が司会進行していくぜい!》

 こうして、オレは『姫宮ましろ』の4年目にして初めてのドッキリを仕掛けられた。確かにドッキリは嫌なものも多いだろうけど、正直こうやってドッキリを仕掛けても大丈夫だと思われるようになったことが嬉しくもある。今までなら絶対こんなことされないしな。とにかく企画を楽しむか。
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