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211. 姫は『本心を話す』そうです
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211. 姫は『本心を話す』そうです
バスを降りて、彩芽ちゃんと手を繋ぎながら歩く。そして20分くらい歩いて、ようやく彩芽ちゃんの実家に到着をした。インターホンを鳴らすとドアが開き、中からは優しそうな女性が姿を現す。この人が彩芽ちゃんのお母さんか……
「あらお帰りなさい彩芽」
「た……ただいま……」
「こちらの方は?」
「えっと……」
オレは彩芽ちゃんを庇うように前に出て、深く頭を下げる。
「初めまして。私はFmすたーらいぶの『双葉かのん』のマネージャーをやっています、神崎颯太と申します。この度は会社の都合で、彩芽さんが私の家に同居していることのご説明と謝罪をさせていただきたいと思い、参りました」
オレの言葉に彩芽ちゃんのお母さんは優しい笑顔をしたままオレに話しかけてくる。
「まぁ。あなたが颯太さんですか……彩芽から話は聞いています。憧れのましろん先輩!」
「え?」
「彩芽がいつもお世話になってます。どうぞ上がってください」
「あっはい……あれ?」
「あの……お母さんには……言ってあるので……」
「なるほど……」
そしてオレは彩芽ちゃんのお母さんと、改めて会話を始める。どうやら彩芽ちゃんのお母さんはかなり話しやすいタイプの人のようで、オレとも和気あいあいとした雰囲気で会話をしてくれるのだった。
そんな時、玄関のドアが開く音が聞こえる。それに反応して彩芽ちゃんもまた少し不安そうな表情に変わる。リビングに入ってくると、彩芽ちゃんのお父さんはオレを睨みつけながら話しかけてくる。
「彩芽。お前は何をしてるんだ」
「お父さん……」
「まぁまぁお父さん。せっかくこうやって彩芽も帰ってきてるし、わざわざ会社から神崎さんも来てくれてるのよ?」
「知らん。誰も頼んでない」
「初めまして神崎です。今日は会社の都合で彩芽さんが私の家に同居していることを改めて謝罪しに来ました」
オレの言葉に再び睨みつけるように視線を送る彩芽ちゃんのお父さん。……やっぱり……彩芽ちゃんのお父さんは、Vtuberを快く思っていないんだろうな。だったらオレのやるべきことは、この人が納得するまで説明をするだけだ。
そこからオレは1から説明を始めた。会社に言われて、オレが先輩Vtuber『姫宮ましろ』で、さらにマネージャーとして同居していること。そしてそのことを家族に伝えていなかったこと。その全てを話し終えた時には2時間ほど立っていた。
彩芽ちゃんのお父さんはずっと黙って聞いてくれていたが、話が終わったと同時に大きくため息をつく。そしてオレを睨みつけると、こんなことを言ってきた。
「理由は分かった。彩芽も子供じゃない自分で決めて、会社の人にお世話になっているんだろう。神崎君と言ったかな?君は女性を演じているんだろう?恥ずかしいとは思わんのか?」
そう言われた言葉に、オレは不思議と怒りは出てこなかった。だって彩芽ちゃんのお父さんの言っていることは、とても正しいことだとオレは思っているから。昔なら……恥ずかしいと思ったのかもしれない。でも今は違う。
そしてオレは彩芽ちゃんのお父さんに向かって視線をむける。そして真っ直ぐに自分の言葉をぶつける。
「今は恥ずかしいとは思ってません。そう思えるのは彩芽ちゃんのおかげですから」
「颯太さん……」
「彩芽さんは私が演じている『姫宮ましろ』がデビューした時からのファンでいてくれて、男だと知っても好きなままでいてくれました。だから『姫宮ましろ』のファンが1人でもいる限り、私は『姫宮ましろ』として活動することを恥ずかしいとは思いません」
彩芽ちゃんのお父さんにオレは自分の本心を伝える。今言ったことは嘘偽りのないオレの本心だから
バスを降りて、彩芽ちゃんと手を繋ぎながら歩く。そして20分くらい歩いて、ようやく彩芽ちゃんの実家に到着をした。インターホンを鳴らすとドアが開き、中からは優しそうな女性が姿を現す。この人が彩芽ちゃんのお母さんか……
「あらお帰りなさい彩芽」
「た……ただいま……」
「こちらの方は?」
「えっと……」
オレは彩芽ちゃんを庇うように前に出て、深く頭を下げる。
「初めまして。私はFmすたーらいぶの『双葉かのん』のマネージャーをやっています、神崎颯太と申します。この度は会社の都合で、彩芽さんが私の家に同居していることのご説明と謝罪をさせていただきたいと思い、参りました」
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「あっはい……あれ?」
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「なるほど……」
そしてオレは彩芽ちゃんのお母さんと、改めて会話を始める。どうやら彩芽ちゃんのお母さんはかなり話しやすいタイプの人のようで、オレとも和気あいあいとした雰囲気で会話をしてくれるのだった。
そんな時、玄関のドアが開く音が聞こえる。それに反応して彩芽ちゃんもまた少し不安そうな表情に変わる。リビングに入ってくると、彩芽ちゃんのお父さんはオレを睨みつけながら話しかけてくる。
「彩芽。お前は何をしてるんだ」
「お父さん……」
「まぁまぁお父さん。せっかくこうやって彩芽も帰ってきてるし、わざわざ会社から神崎さんも来てくれてるのよ?」
「知らん。誰も頼んでない」
「初めまして神崎です。今日は会社の都合で彩芽さんが私の家に同居していることを改めて謝罪しに来ました」
オレの言葉に再び睨みつけるように視線を送る彩芽ちゃんのお父さん。……やっぱり……彩芽ちゃんのお父さんは、Vtuberを快く思っていないんだろうな。だったらオレのやるべきことは、この人が納得するまで説明をするだけだ。
そこからオレは1から説明を始めた。会社に言われて、オレが先輩Vtuber『姫宮ましろ』で、さらにマネージャーとして同居していること。そしてそのことを家族に伝えていなかったこと。その全てを話し終えた時には2時間ほど立っていた。
彩芽ちゃんのお父さんはずっと黙って聞いてくれていたが、話が終わったと同時に大きくため息をつく。そしてオレを睨みつけると、こんなことを言ってきた。
「理由は分かった。彩芽も子供じゃない自分で決めて、会社の人にお世話になっているんだろう。神崎君と言ったかな?君は女性を演じているんだろう?恥ずかしいとは思わんのか?」
そう言われた言葉に、オレは不思議と怒りは出てこなかった。だって彩芽ちゃんのお父さんの言っていることは、とても正しいことだとオレは思っているから。昔なら……恥ずかしいと思ったのかもしれない。でも今は違う。
そしてオレは彩芽ちゃんのお父さんに向かって視線をむける。そして真っ直ぐに自分の言葉をぶつける。
「今は恥ずかしいとは思ってません。そう思えるのは彩芽ちゃんのおかげですから」
「颯太さん……」
「彩芽さんは私が演じている『姫宮ましろ』がデビューした時からのファンでいてくれて、男だと知っても好きなままでいてくれました。だから『姫宮ましろ』のファンが1人でもいる限り、私は『姫宮ましろ』として活動することを恥ずかしいとは思いません」
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