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149. 姫は『お願い』するそうです
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149. 姫は『お願い』するそうです
オレはFmすたーらいぶ4期生の『園崎ラビ』こと一ノ瀬凛花さんのマネージャーとして、初日から引っ越しの片付けを手伝った。
女性の家に上がるのは気が引けるが、これもマネージャーの仕事だから致し方ない。彩芽ちゃんこれは浮気じゃないから。とか自分に言い訳しつつ、部屋の中を見渡す。するとオレはあることに気づき一ノ瀬さんに聞いてみることにする。
「あれ?あの……配信の機材は?」
「まだです。何を揃えたらいいか分からなくて。マネージャーさんに相談してからと思ってて……そしたら入院してしまって……」
なんてタイミングが悪いんだ。配信まで時間もあまりないのに……とは言ってもオレも詳しいわけじゃない。どうしたらいいだろうか……
「あの……配信に必要な物って何なんでしょう?」
「基本はパソコンと配信ソフトさえあればできるけど……」
とはいえ、初配信だからな。どんな雰囲気の配信になるかもわからないし、機材もしっかりしたものを用意したほうがいいだろうな。
「ちょっと待っててください一ノ瀬さん」
そう言うとオレはそのまま部屋を出て、マンションから少し離れた人通りの少ない場所でパソコンを開き、マイクを繋ぎディスコードを起動する。そして通話をかける。本当はこんな外でかけたくないのだが、仕方ない。これも後輩のためだ。
「出てくれるかな?初めてだし……あ。もしもし?」
《え?あの……もしもし?》
「いきなり連絡ごめんねあるとちゃん」
《いえ。その……どうしましたか?》
オレが通話を繋いだのは海原あるとちゃん。彼女は確かキサラさんの配信でも機材を揃えたと言っていたし、オレなんかよりも詳しく教えてくれそうだ。
「あのさ?今からとかって用事とかあるかな?」
《今日は特に用事はないですよ》
「実はさ……あの、かのんちゃんのマネージャーさん覚えてる?」
《あっはい。男性の……神崎さんでしたっけ?覚えてますよ》
「今Fmすたーらいぶ4期生の『園崎ラビ』さんのマネージャーを期間限定でやってるんだけど、配信機材をまだ揃えてなくて困ってるらしいんだよね?もし……良かったら助けてあげてもらえないかな?」
なんか『姫宮ましろ』で自分を助けてくれとか違和感しかないが、仕方ない。
《あるとでいいならお手伝いしますけど……》
「本当に?ありがとう!住所送るからお願いしてもいい?もし良かったら神崎マネージャーに夕飯とか奢ってもらって?」
《あっはい》
とりあえずこれで何とかなりそうだな。オレはそのまま一ノ瀬さんの部屋に戻り事情を説明することにする。
「一ノ瀬さん。機材に詳しい人が来てくれるからそのまま揃えちゃおう」
「え?誰ですか?」
「Fmすたーらいぶ3期生の海原あるとちゃんだよ。彼女詳しいからさ、お願いしたんだ」
「えぇ!?海原あると先輩ですか!?いいんですがね?まだ私デビューしてないのに……おこがましいがも」
「大丈夫だって。むしろ仲良くなれたらあとあとコラボとか誘えるよ?」
「なっなるほど。勉強になります!やっぱりマネージャーさんはすんげぇなぁ~」
一ノ瀬さんは目を輝かせながら納得してくれた。やっぱり真面目で素直な人なんだな。そして1時間くらいたった頃、インターホンが鳴り、あるとちゃんがやってくる。
「お邪魔します」
「あるとちゃん。ありがとう助かるよ。あ。こちらがFmすたーらいぶの4期生でデビューする園崎ラビさんだよ」
「初めまして……海原あるとです」
「あっあっあの!園崎ラビです!えっど……本名は一ノ瀬凛花です。よろしくお願いします!あると先輩!」
「……なんか緊張するなぁ。年上の人に先輩って呼ばれて……私の本名は水瀬衣音ですから、衣音って呼んでください。私は凛花さんと呼ばせてもらってもいいですか?」
「はい!もちろんです!衣音先輩!」
「あの先輩はいらないです。時間がないって聞いてるので機材の相談に入りましょう」
一ノ瀬さんはどれが必要なのかいまいちよくわかっていなかったようで、衣音ちゃんに色々聞かれて答えている様子だった。オレはそんな2人を後ろで見守りつつ、御披露目配信と初配信に向けての準備をしていた。
「凛花さん。ゲーム配信をするなら、動きにキレがある方がいいのでマウスとキーボードじゃなくコントローラーも買った方がいいですよ。あとモニターやPCもそれなりに高スペックのものにしましょう」
「あ、はい。わがりました。おっお金はあるので良いもの選んでください。衣音ちゃんに任せます」
そのあとは、衣音ちゃんのおすすめのお店に行き必要なPCやモニター、マイクなどを購入し配信機材の設置と設定まで済ませた。とは言ってもほとんど衣音ちゃんがやってくれたんだけど。
「よし。これぐらいあればいいと思います。初配信楽しみですね。頑張ってくださいね」
「はいっ頑張りまず。衣音ちゃん。マネージャーさん。本当にありがどうございまじだ。このご恩は必ず返します」
こうして、何とか御披露目配信と初配信の準備を進めることができた。本当に助かったよな。あとでオレもお願いしようかな。
オレはFmすたーらいぶ4期生の『園崎ラビ』こと一ノ瀬凛花さんのマネージャーとして、初日から引っ越しの片付けを手伝った。
女性の家に上がるのは気が引けるが、これもマネージャーの仕事だから致し方ない。彩芽ちゃんこれは浮気じゃないから。とか自分に言い訳しつつ、部屋の中を見渡す。するとオレはあることに気づき一ノ瀬さんに聞いてみることにする。
「あれ?あの……配信の機材は?」
「まだです。何を揃えたらいいか分からなくて。マネージャーさんに相談してからと思ってて……そしたら入院してしまって……」
なんてタイミングが悪いんだ。配信まで時間もあまりないのに……とは言ってもオレも詳しいわけじゃない。どうしたらいいだろうか……
「あの……配信に必要な物って何なんでしょう?」
「基本はパソコンと配信ソフトさえあればできるけど……」
とはいえ、初配信だからな。どんな雰囲気の配信になるかもわからないし、機材もしっかりしたものを用意したほうがいいだろうな。
「ちょっと待っててください一ノ瀬さん」
そう言うとオレはそのまま部屋を出て、マンションから少し離れた人通りの少ない場所でパソコンを開き、マイクを繋ぎディスコードを起動する。そして通話をかける。本当はこんな外でかけたくないのだが、仕方ない。これも後輩のためだ。
「出てくれるかな?初めてだし……あ。もしもし?」
《え?あの……もしもし?》
「いきなり連絡ごめんねあるとちゃん」
《いえ。その……どうしましたか?》
オレが通話を繋いだのは海原あるとちゃん。彼女は確かキサラさんの配信でも機材を揃えたと言っていたし、オレなんかよりも詳しく教えてくれそうだ。
「あのさ?今からとかって用事とかあるかな?」
《今日は特に用事はないですよ》
「実はさ……あの、かのんちゃんのマネージャーさん覚えてる?」
《あっはい。男性の……神崎さんでしたっけ?覚えてますよ》
「今Fmすたーらいぶ4期生の『園崎ラビ』さんのマネージャーを期間限定でやってるんだけど、配信機材をまだ揃えてなくて困ってるらしいんだよね?もし……良かったら助けてあげてもらえないかな?」
なんか『姫宮ましろ』で自分を助けてくれとか違和感しかないが、仕方ない。
《あるとでいいならお手伝いしますけど……》
「本当に?ありがとう!住所送るからお願いしてもいい?もし良かったら神崎マネージャーに夕飯とか奢ってもらって?」
《あっはい》
とりあえずこれで何とかなりそうだな。オレはそのまま一ノ瀬さんの部屋に戻り事情を説明することにする。
「一ノ瀬さん。機材に詳しい人が来てくれるからそのまま揃えちゃおう」
「え?誰ですか?」
「Fmすたーらいぶ3期生の海原あるとちゃんだよ。彼女詳しいからさ、お願いしたんだ」
「えぇ!?海原あると先輩ですか!?いいんですがね?まだ私デビューしてないのに……おこがましいがも」
「大丈夫だって。むしろ仲良くなれたらあとあとコラボとか誘えるよ?」
「なっなるほど。勉強になります!やっぱりマネージャーさんはすんげぇなぁ~」
一ノ瀬さんは目を輝かせながら納得してくれた。やっぱり真面目で素直な人なんだな。そして1時間くらいたった頃、インターホンが鳴り、あるとちゃんがやってくる。
「お邪魔します」
「あるとちゃん。ありがとう助かるよ。あ。こちらがFmすたーらいぶの4期生でデビューする園崎ラビさんだよ」
「初めまして……海原あるとです」
「あっあっあの!園崎ラビです!えっど……本名は一ノ瀬凛花です。よろしくお願いします!あると先輩!」
「……なんか緊張するなぁ。年上の人に先輩って呼ばれて……私の本名は水瀬衣音ですから、衣音って呼んでください。私は凛花さんと呼ばせてもらってもいいですか?」
「はい!もちろんです!衣音先輩!」
「あの先輩はいらないです。時間がないって聞いてるので機材の相談に入りましょう」
一ノ瀬さんはどれが必要なのかいまいちよくわかっていなかったようで、衣音ちゃんに色々聞かれて答えている様子だった。オレはそんな2人を後ろで見守りつつ、御披露目配信と初配信に向けての準備をしていた。
「凛花さん。ゲーム配信をするなら、動きにキレがある方がいいのでマウスとキーボードじゃなくコントローラーも買った方がいいですよ。あとモニターやPCもそれなりに高スペックのものにしましょう」
「あ、はい。わがりました。おっお金はあるので良いもの選んでください。衣音ちゃんに任せます」
そのあとは、衣音ちゃんのおすすめのお店に行き必要なPCやモニター、マイクなどを購入し配信機材の設置と設定まで済ませた。とは言ってもほとんど衣音ちゃんがやってくれたんだけど。
「よし。これぐらいあればいいと思います。初配信楽しみですね。頑張ってくださいね」
「はいっ頑張りまず。衣音ちゃん。マネージャーさん。本当にありがどうございまじだ。このご恩は必ず返します」
こうして、何とか御披露目配信と初配信の準備を進めることができた。本当に助かったよな。あとでオレもお願いしようかな。
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