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147. 姫は『支えたい』ようです
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147. 姫は『支えたい』ようです
10月中旬。4期生の御披露目配信まで残り10日。先週無事に彩芽ちゃんや玲奈ちゃんたちの3期生1周年記念配信が行われた。
あの日、オフコラボあとに朝方になるまで3期生同士で話し合いをしたらしく、より綿密に内容を決めて素晴らしい配信ができたようだ。オレが心配していた問題も解決したようで安心した。彩芽ちゃんも1周年か……何かお祝いしてあげないとな。とか考えていた矢先、オレは桃姉さんにリビングに呼び出されていた。
「……それで。どういうこと?」
「えっと……」
オレは今、正座させられながら目の前に仁王立ちしている桃姉さんに問い詰められていた。ちなみに彩芽ちゃんはソファーでオドオドしている。それは桃姉さんに彩芽ちゃんと付き合っていることを明かしたからだ。さすがにこのまま隠し通せるわけないからだ。
「あんたはかのんちゃんのマネージャーよね?付き合ってるってどういうこと?」
「いや。だからその……」
「はっきり言いなさい!」
「オレは彩芽ちゃんと付き合ってるんだって!恋人なの恋人!彼氏彼女なんだよ!」
オレがそう言うと、桃姉さんはそのまま大きなため息を吐いた。
「はぁ……颯太。そういうのは早く言いなさい。昔からそう言ってるでしょ?Fmすたーらいぶは恋愛禁止じゃないし、別に構わないけど仕事にだけは支障をきたさないようにね」
「わかってるって……」
「かのんちゃん……彩芽ちゃんもね?1周年を迎えて一番大事な時期なんだから」
「はい……すいませんでした……」
さっきまでの威圧感は消え、いつも通りの優しい口調になる。こういうところ本当にずるいよな。
「おめでとう2人共。颯太なんか初彼女じゃない?彩芽ちゃん何かあったら私に言ってね?」
「はい」
「じゃあ仕事の話していい?タイミングが悪くて申し訳ないんだけど、実はねかのんちゃんのマネージャーを一旦離れてもらって、颯太はそのまま4期生の子のマネージャーに回ってもらうわ」
「「え?」」
「マネージャーになる人が急遽入院することになってね?退院するまでの間だけ専属でついてもらうわ。かのんちゃんも大分慣れてきたと思うし私がフォローするから」
つまり……彩芽ちゃんのマネージャーを少しの間離れるということか。これも仕事だし、仕方ないと言えばそれまでだが。確かに彩芽ちゃんは活動も慣れてきたし、最近は企画収録やら案件やら打ち合わせやらも1人でこなせている。
とりあえずオレの担当が決まり次第、それで動くことが決まった。
オレはベッドに横になりながら、Twitterを見ていると、扉がノックされ彩芽ちゃんからがやってくる。するとそのまま隣に一緒に横になる。
「あっ彩芽ちゃん?」
「ダメ……ですか?」
「いや……ダメじゃないけど……」
彩芽ちゃんの匂いがしてきて、鼓動が速くなる。そして彩芽ちゃんはそのまま抱き着いて来る。
「こうやってくっつくだけで……ドキドキします。幸せです」
「そうだね……」
「颯太さん。……その……よしよししてくれませんか?」
「わかったよ」
オレは優しく頭を撫でると、彩芽ちゃんは気持ちよさそうな表情をする。とても可愛い。しばらく無言のまま時間が流れる。
「……あの。お願いがあるんです」
「どうしたの?」
「ギュッて……してほしい……です」
「……うん。いいよ」
オレはそのまま彩芽ちゃんを抱きしめる。彩芽ちゃんの心地よい体温が伝わってくる。
「……好き。大好きですよ。颯太さん」
「オレもだよ。彩芽ちゃん」
彩芽ちゃんは満足げに微笑む。オレにだけ見せてくれる笑顔、この顔を見ると心が落ち着く。彩芽ちゃんにはずっとオレのそばで笑っていてほしい。
「4期生が来るな。彩芽ちゃんも先輩だよ?」
「はい……緊張しますけど……大丈夫です……ましろん先輩……颯太さんと一緒なら」
「そっか……じゃあ頑張っていこう。これがオレたちVtuberの仕事だからさ」
「はい。頑張ります」
彩芽ちゃんはそう言うと、オレの胸に顔をうずめる。彩芽ちゃんは不安なんだろうな。
オレは彩芽ちゃんの髪を優しく撫でる。支えてあげられてるといいな。姫宮ましろとして、神崎颯太としても。
10月中旬。4期生の御披露目配信まで残り10日。先週無事に彩芽ちゃんや玲奈ちゃんたちの3期生1周年記念配信が行われた。
あの日、オフコラボあとに朝方になるまで3期生同士で話し合いをしたらしく、より綿密に内容を決めて素晴らしい配信ができたようだ。オレが心配していた問題も解決したようで安心した。彩芽ちゃんも1周年か……何かお祝いしてあげないとな。とか考えていた矢先、オレは桃姉さんにリビングに呼び出されていた。
「……それで。どういうこと?」
「えっと……」
オレは今、正座させられながら目の前に仁王立ちしている桃姉さんに問い詰められていた。ちなみに彩芽ちゃんはソファーでオドオドしている。それは桃姉さんに彩芽ちゃんと付き合っていることを明かしたからだ。さすがにこのまま隠し通せるわけないからだ。
「あんたはかのんちゃんのマネージャーよね?付き合ってるってどういうこと?」
「いや。だからその……」
「はっきり言いなさい!」
「オレは彩芽ちゃんと付き合ってるんだって!恋人なの恋人!彼氏彼女なんだよ!」
オレがそう言うと、桃姉さんはそのまま大きなため息を吐いた。
「はぁ……颯太。そういうのは早く言いなさい。昔からそう言ってるでしょ?Fmすたーらいぶは恋愛禁止じゃないし、別に構わないけど仕事にだけは支障をきたさないようにね」
「わかってるって……」
「かのんちゃん……彩芽ちゃんもね?1周年を迎えて一番大事な時期なんだから」
「はい……すいませんでした……」
さっきまでの威圧感は消え、いつも通りの優しい口調になる。こういうところ本当にずるいよな。
「おめでとう2人共。颯太なんか初彼女じゃない?彩芽ちゃん何かあったら私に言ってね?」
「はい」
「じゃあ仕事の話していい?タイミングが悪くて申し訳ないんだけど、実はねかのんちゃんのマネージャーを一旦離れてもらって、颯太はそのまま4期生の子のマネージャーに回ってもらうわ」
「「え?」」
「マネージャーになる人が急遽入院することになってね?退院するまでの間だけ専属でついてもらうわ。かのんちゃんも大分慣れてきたと思うし私がフォローするから」
つまり……彩芽ちゃんのマネージャーを少しの間離れるということか。これも仕事だし、仕方ないと言えばそれまでだが。確かに彩芽ちゃんは活動も慣れてきたし、最近は企画収録やら案件やら打ち合わせやらも1人でこなせている。
とりあえずオレの担当が決まり次第、それで動くことが決まった。
オレはベッドに横になりながら、Twitterを見ていると、扉がノックされ彩芽ちゃんからがやってくる。するとそのまま隣に一緒に横になる。
「あっ彩芽ちゃん?」
「ダメ……ですか?」
「いや……ダメじゃないけど……」
彩芽ちゃんの匂いがしてきて、鼓動が速くなる。そして彩芽ちゃんはそのまま抱き着いて来る。
「こうやってくっつくだけで……ドキドキします。幸せです」
「そうだね……」
「颯太さん。……その……よしよししてくれませんか?」
「わかったよ」
オレは優しく頭を撫でると、彩芽ちゃんは気持ちよさそうな表情をする。とても可愛い。しばらく無言のまま時間が流れる。
「……あの。お願いがあるんです」
「どうしたの?」
「ギュッて……してほしい……です」
「……うん。いいよ」
オレはそのまま彩芽ちゃんを抱きしめる。彩芽ちゃんの心地よい体温が伝わってくる。
「……好き。大好きですよ。颯太さん」
「オレもだよ。彩芽ちゃん」
彩芽ちゃんは満足げに微笑む。オレにだけ見せてくれる笑顔、この顔を見ると心が落ち着く。彩芽ちゃんにはずっとオレのそばで笑っていてほしい。
「4期生が来るな。彩芽ちゃんも先輩だよ?」
「はい……緊張しますけど……大丈夫です……ましろん先輩……颯太さんと一緒なら」
「そっか……じゃあ頑張っていこう。これがオレたちVtuberの仕事だからさ」
「はい。頑張ります」
彩芽ちゃんはそう言うと、オレの胸に顔をうずめる。彩芽ちゃんは不安なんだろうな。
オレは彩芽ちゃんの髪を優しく撫でる。支えてあげられてるといいな。姫宮ましろとして、神崎颯太としても。
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