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91. 姫は『真ん中』らしいです

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91. 姫は『真ん中』らしいです



 そして8月25日。今日の21時から『ましポん48』がついに始まる。場所はオレの自宅。つまり日咲さんが泊まりで配信に参加するということだ。

 長時間配信はオレも彩芽ちゃんもやったことはないから不安しかないが、休みながら配信をするからきっと大丈夫だと信じたい。

「ましろん先輩。おはようございます」

「ああ。おはようす……彩芽ちゃん……」

 オレが名前で呼ぶと顔を赤くしてコップに注いだ牛乳を一気に飲み干す彩芽ちゃん。なんか……オレも恥ずかしくなってきたぞ。

 そんなこんなで時間は15時を過ぎたころ、日咲さんが家にやってくる。

「こんにちは颯太。今日も暑いね~!ほら色々買ってきたよ」

「ずいぶん買ってきたな?」

「丸2日だからね。お菓子とか飲み物とかいるかなって。いるでしょ?いるよね?」

「自分が食べたいだけだろ日咲さんは。とりあえず中に入って」

 オレは日咲さんを招き入れ、リビングに通す。とりあえず飲み物を用意することにする。

「日咲さんはお茶でいい?」

「あたしはそれでいいよ」

「彩芽ちゃんは牛乳か?」

「あ。……はい。お願いします」

 そう言って飲み物を用意していると、日咲さんが不思議そうに聞いてくる。

「あれ?彩芽ちゃんって呼んでるの?さては……お泊まり案件で何かあったな?あたしの知らないところで『ましのんてぇてぇ』始まってんじゃん!」

「てぇてぇ……」

「変なことを言うなよ日咲さん!何もなかったよ!名前で呼ぶことにしたのは……その……いつまでも他人行儀なのも良くないかと思って……」

「ふぅーん?まぁいいけど?あたし探偵だから、そこのところお忘れなく」

「設定だろうがそれ」

「設定とか言うなしw」

 本当にこの人は楽しそうだよな。まぁオレもこの人と話すのは楽しいからいいんだけどね。

「さてさて。最終打ち合わせしておこうか。まずは颯太と彩芽ちゃんの2人で配信のリハーサルをしておいて、その間にあたしが機材の最終確認しておくから」

「わかった」

「わかりました」

「じゃあ時間まで頑張ろうね」

 そうしてオレたちは最終調整をして、配信に望むことにする。時間は18時。日咲さんの提案で決起会をやることになった。と言っても出前のお寿司やらピザ、ポテトなどを食べる普通の夕飯だけどさ。

 ちなみに、彩芽ちゃんと日咲さんはお風呂上がりだ。2人はこのあと休むのが先になるからな。しかも一緒にお風呂に入っていた。

「彩芽ちゃんの身体も堪能出来たし!その……すごかったよ。何とは言わないけどさ」

「あの……恥ずかし……」

「ここに男がいるのを忘れるなよ日咲さん」

「あはは。本当にすごく楽しいよ!なんかさ修学旅行みたいでさ?きっと歳が近いからだよね」

 確かにそれはあるかもしれない。オレもこういう風にワイワイやるのは別に嫌いじゃないし。

「そう言えばFmすたーらいぶのライバーの年齢って知らないよな……オレはどの位置にいるんだ?」

「颯太……女性の年齢のこと話題に出すのはどうかと思うよ?」

「ましろん先輩……」

「いやそんなつもりは……気になっただけだろ」

「まぁあたしは探偵だからそのくらいの個人情報は熟知してるから、いずれくる対面の時のために教えといてあげよう」

 なぜかドヤ顔の日咲さん。知っといて損はないので聞いておくことにする。もう一回言っておくが、気になっただけだから。

「えっとね……颯太は真ん中だね。誰がいくつとかはさすがに言わないけどさ」

「そうなのか……と言ってもそんなに変わらないんだろうな。日咲さんの言葉を借りると学生みたいなもんだよなオレたちって」

「Fmすたーらいぶ学園……あったら……楽しそう」

「おお!彩芽ちゃんナイスアイデアじゃん!これ最初の雑談配信のトークデッキにしない?」

「え?台本……書き直すんですか?」

「彩芽ちゃん台本なんかいらないって!リスナーも一回くらいこういうの考えたことあるはずだから、色々募集して話せば余裕だよ!」

 すごく楽しそうに話す日咲さん。なんだかそれが楽しく思えてきてしまう。

「色々考えが湧き出てきちゃう!とりあえずお寿司食べよ!彩芽ちゃん何食べる?」

「海老と玉子で……」

「あ。リアルえびたまw切りぬきで前に見たよ懐かしいw」

 そう言いながらお寿司を取り分ける日咲さん。彩芽ちゃんも恥ずかしそうにしているが、嬉しそうだ。こうして決起会は終わり、準備をしていよいよ配信時間がくる。

「彩芽ちゃん、日咲さん大丈夫か?」

「はい……大丈夫です……」

「お茶とお菓子用意したから問題なし!」

「お菓子食うなよw」

 そして時間は21時になり、オレはマイクのスイッチを入れる。Fmすたーらいぶ夏の名物、地獄耐久配信『ましポん48』が今始まるのだった。
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