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88. 姫は『居たい』らしいです
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88. 姫は『居たい』らしいです
仕事を一通り終えたオレと鈴町さんは夕飯を食べて、温泉施設に向かう。ここは露天風呂やサウナもあり、かなり充実している。
脱衣所で服を脱ぎ、タオル一枚で大浴場へと入る。中は広くて清潔感があり、とても綺麗だ。もちろん鈴町さんとは別々だ。
「ふぅ~いい湯だな~」
オレは肩まで浸かりながら、手足を伸ばして寛ぐ。やっぱり温泉は最高だ。仕事終わりに温泉に浸かると、疲れが吹っ飛ぶよ。鈴町さんも今頃楽しんでいるかな?なんて思いながら今日のことを振り返る。
「案件とはいえ、こうやって鈴町さんと旅行気分を味わえるとは思わなかったな……」
しばらく温泉を楽しんだあと、休憩所に移動してコーヒー牛乳を飲む。冷たいものが喉を通る感覚が何とも言えないな。
鈴町さんはもう上がったのだろうか?と思いつつ、売店があったので、色々と見て回っていると、後ろから誰かにトントンと叩かれたので振り返るとそこには浴衣を着た鈴町さんがいた。
髪はまだ濡れていて、普段よりも大人びた雰囲気にドキッとした。鈴町さんは顔を赤くしながらオレの袖を掴んでくる。これは……まずい! オレの中で警報が鳴る。このままでは鈴町さんを意識してしまう!
「どうしたの?」
「えっと……その……ましろん先輩が……いないから……探しました」
「ああ。ごめん。ちょっとお土産を見てて」
「その……卓球……」
「ああ。やろうか」
オレたちは卓球台に向かい、ラケットを握る。鈴町さんがなんでそこまで卓球をやりたいかは分からないけど。もしかして学生の頃、部活とかやってたのか?
鈴町さんは素早い動きでラインギリギリにスマッシュを決める……こともなく、普通に楽しんでいた。しばらく楽しんだあとは近くにあるベンチで一休みする。
「鈴町さん。牛乳飲む?」
「あっはい。普通ので」
「そう言えば鈴町さん牛乳好きだよね?いつも飲んでるし」
「昔から身長が……低かったので……それで……今はただ飲んでるだけです」
確かに小柄ではあるが、別に低くはないと思うが……でも鈴町さんの言う通り、女の子としては気になる部分なんだろうな。
そんな会話をしながら休憩を終え、部屋に戻る。すると布団が敷かれている。しかも隣同士に……。落ち着け。離せばいいだけだ。変に動揺するな。
「あの……ましろん先輩?」
「どうかした?」
「お酒……飲みませんか?……せっかくなので」
「いや……鈴町さん弱いよね?やめといた方がいいと思うけど?」
「大丈夫です……それに……なんか……素面だと眠れなそうなので……」
まぁ……確かにそれはあるな。鈴町さんは冷蔵庫から缶ビールとグラスを取り出し、2つ用意してくれた。オレがスマホをいじりながら待っていると、鈴町さんは向かい側に座らず、何故かオレの隣にちょこんと座る。
「あの……注ぎますよ?」
「あ。ああ……ありがとう」
鈴町さんは慣れない手つきで注いでくれる。そしてオレに渡してきた。
「どうぞ。ましろん先輩」
「ありがと」
そしてお互いに軽く乾杯をして、一気に半分ほど流し込む。
「っぷはぁ~美味いな」
「はい……美味しいですね」
鈴町さんは少しだけ頬を赤らめて、またチビチビと飲んでいく。こうして一緒に酒を飲める相手がいるってのも悪くないかもしれない。鈴町さんはお酒が弱いから無理強いはできないけど。
「そう言えば鈴町さん。最近案件とか企画の収録とか増えてきたけど、みんなと仲良くなれてる?」
「どう……でしょうか?私はあまり話せないので……その……みんな迷惑してるかも」
「そんなことないだろ。鈴町さんは人よりコミュ障なだけだよ。オレには何でも相談できてるだろ?少しずつでも歩み寄ればいいんじゃないかな?」
「はい。頑張ってみようと思います……その……ましろん先輩も……頑張ってください」
そう言って鈴町さんは微笑む。オレも釣られて笑ってしまう。この笑顔が見れるなら……仕事じゃなくて、プライベートの時間でもっと鈴町さんと一緒に居たい……のかもしれない。
仕事を一通り終えたオレと鈴町さんは夕飯を食べて、温泉施設に向かう。ここは露天風呂やサウナもあり、かなり充実している。
脱衣所で服を脱ぎ、タオル一枚で大浴場へと入る。中は広くて清潔感があり、とても綺麗だ。もちろん鈴町さんとは別々だ。
「ふぅ~いい湯だな~」
オレは肩まで浸かりながら、手足を伸ばして寛ぐ。やっぱり温泉は最高だ。仕事終わりに温泉に浸かると、疲れが吹っ飛ぶよ。鈴町さんも今頃楽しんでいるかな?なんて思いながら今日のことを振り返る。
「案件とはいえ、こうやって鈴町さんと旅行気分を味わえるとは思わなかったな……」
しばらく温泉を楽しんだあと、休憩所に移動してコーヒー牛乳を飲む。冷たいものが喉を通る感覚が何とも言えないな。
鈴町さんはもう上がったのだろうか?と思いつつ、売店があったので、色々と見て回っていると、後ろから誰かにトントンと叩かれたので振り返るとそこには浴衣を着た鈴町さんがいた。
髪はまだ濡れていて、普段よりも大人びた雰囲気にドキッとした。鈴町さんは顔を赤くしながらオレの袖を掴んでくる。これは……まずい! オレの中で警報が鳴る。このままでは鈴町さんを意識してしまう!
「どうしたの?」
「えっと……その……ましろん先輩が……いないから……探しました」
「ああ。ごめん。ちょっとお土産を見てて」
「その……卓球……」
「ああ。やろうか」
オレたちは卓球台に向かい、ラケットを握る。鈴町さんがなんでそこまで卓球をやりたいかは分からないけど。もしかして学生の頃、部活とかやってたのか?
鈴町さんは素早い動きでラインギリギリにスマッシュを決める……こともなく、普通に楽しんでいた。しばらく楽しんだあとは近くにあるベンチで一休みする。
「鈴町さん。牛乳飲む?」
「あっはい。普通ので」
「そう言えば鈴町さん牛乳好きだよね?いつも飲んでるし」
「昔から身長が……低かったので……それで……今はただ飲んでるだけです」
確かに小柄ではあるが、別に低くはないと思うが……でも鈴町さんの言う通り、女の子としては気になる部分なんだろうな。
そんな会話をしながら休憩を終え、部屋に戻る。すると布団が敷かれている。しかも隣同士に……。落ち着け。離せばいいだけだ。変に動揺するな。
「あの……ましろん先輩?」
「どうかした?」
「お酒……飲みませんか?……せっかくなので」
「いや……鈴町さん弱いよね?やめといた方がいいと思うけど?」
「大丈夫です……それに……なんか……素面だと眠れなそうなので……」
まぁ……確かにそれはあるな。鈴町さんは冷蔵庫から缶ビールとグラスを取り出し、2つ用意してくれた。オレがスマホをいじりながら待っていると、鈴町さんは向かい側に座らず、何故かオレの隣にちょこんと座る。
「あの……注ぎますよ?」
「あ。ああ……ありがとう」
鈴町さんは慣れない手つきで注いでくれる。そしてオレに渡してきた。
「どうぞ。ましろん先輩」
「ありがと」
そしてお互いに軽く乾杯をして、一気に半分ほど流し込む。
「っぷはぁ~美味いな」
「はい……美味しいですね」
鈴町さんは少しだけ頬を赤らめて、またチビチビと飲んでいく。こうして一緒に酒を飲める相手がいるってのも悪くないかもしれない。鈴町さんはお酒が弱いから無理強いはできないけど。
「そう言えば鈴町さん。最近案件とか企画の収録とか増えてきたけど、みんなと仲良くなれてる?」
「どう……でしょうか?私はあまり話せないので……その……みんな迷惑してるかも」
「そんなことないだろ。鈴町さんは人よりコミュ障なだけだよ。オレには何でも相談できてるだろ?少しずつでも歩み寄ればいいんじゃないかな?」
「はい。頑張ってみようと思います……その……ましろん先輩も……頑張ってください」
そう言って鈴町さんは微笑む。オレも釣られて笑ってしまう。この笑顔が見れるなら……仕事じゃなくて、プライベートの時間でもっと鈴町さんと一緒に居たい……のかもしれない。
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