【ガチ恋プリンセス】これがVtuberのおしごと~後輩はガチで陰キャでコミュ障。。。『ましのん』コンビでトップVtuberを目指します!

夕姫

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84. 後輩ちゃんは『そのままの意味』らしいです

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84. 後輩ちゃんは『そのままの意味』らしいです



 そして玲奈ちゃんと共に近くのファミレスへ行く。早速中に入りメニューを見ながら注文をすることにする。

「ほえ~……こんなに安いんですね?私、こういうところ初めてで……へぇ~……どれがオススメですか?かのんちゃん?」

「え。えっと……この……ハンバーグ定食……」

 玲奈ちゃんは興味津々にメニューを見ている。確かにリアルお嬢様だもんな玲奈ちゃんは。というより、こんなところで良かったのか?もっと良い店知ってたんだけどな……言い訳じゃないけど。

 オレはパスタを頼み、2人はハンバーグ定食を頼んだ。当然、鈴町さんはライス大盛にしてたけど。食事が来るまでの間、雑談をしていると玲奈ちゃんが急に真剣な表情をしてオレと鈴町さんに話しかけてくる。

「それにしても……驚きました。まさか颯太さんが『姫宮ましろ』だったなんて……」

「黙ってて悪かった。でもいつかは言おうとは思ってた、もちろん他の人にも。ただ今は最少限に抑えているだけだよ」

「でも、これで私もオフコラボ出来ますし3D収録も一緒でも問題ないですよね?」

「そうなるね。でも玲奈ちゃんは高校生だろ?オフコラボは昼間しか出来ないよ」

「配信はですよね?お泊まりしても別に大丈夫ですよ?」

「いや。それはマズイでしょ?未成年の女の子が男の家に泊まるのは。それにリアルお嬢様でしょ玲奈ちゃんは」

 まったく。こっちは一応大人なんだから、あまりそういうことを言わないで欲しい。変に勘違いするぞ?すると鈴町さんが何かに気付いたようにオレの顔を見る。

 その顔は少し不安げで、まるでオレのことを見透かすような視線を送ってくる。

「あの……鈴町さん?」

「あ……ごめんなさい……ちょっと考え事を……」

 鈴町さんがオレから目を逸らす。一体何を考えていたのだろうか。違うんだよ鈴町さん?男はみんな少なからずそういう思考があるんだ。別に本当に何かをしようとしているわけじゃないから。

「鈴町さんか。あの……私は佐伯玲奈って言います。良かったらかのんちゃんの本名教えてほしいです」

「え。すっ……鈴町彩芽です」

「鈴町さん?彩芽さん?彩芽ちゃん?どれがいいですかね?」

「あ……あの……好きに呼んで……いいです……はい……」

「じゃあ……彩芽さん。私のことは玲奈でいいですよ」

「うっ……うん」

 なんだろう。玲奈ちゃんがグイグイいくせいか、鈴町さんの勢いが無くなっている気がする。そして鈴町さんがチラリとこちらを見た。もしかしたら助けて欲しいのかもしれない。

 だが、ここはあえてスルーしておこう。同期なんだし、年下だし、同性だし。このくらいは何とかしてほしい。それになんか面白いし。

 そして食事を終え、玲奈ちゃんと別れてオレと鈴町さんは家に帰ることにする。ちなみに玲奈ちゃんの迎えは高級リムジンだった。やはりリアルお嬢様は違うなぁと思いつつ、鈴町さんと2人で駅まで歩いていく。

「本当に玲奈ちゃんって良い子だな」

「はい……凄く優しい子です。私も……あんな風になれたらなって……思います」

「そうかな?」

「え?」

「だって鈴町さんには、今の鈴町さんの良さがあるから。オレはそんな鈴町さんが好きだよ」

「ふえ!?……すすす……好き?」

 彼女が立ち止まり、顔を真っ赤にさせて動揺している。オレもその言葉でハッとして自分の発言を思い出す。

「あっいや!その……深い意味はないんだ!」

「あ……はっ……はいぃ……」

 オレ今、とんでもないこと言ったんじゃないか?これって告白みたいになってないか?そう考えるとオレまで恥ずかしくなる。

 そしてオレ達はお互いに顔を赤くしながら俯き、無言で歩き出す。

 ──やばい。恥ずかしくて死にそうだ。それからしばらくして電車に乗り、駅から家に帰る途中、また立ち止まり鈴町さんは顔を赤くしたまま、上目遣いでオレを見つめる。そんな彼女にオレはドキッとする。

「……私も……ましろん先輩のこと……好きですよ」

「へっ?す、鈴町さん?今なんて……」

「……そのままの……意味……です」

 突然の言葉に驚く。そのまま……それはオレじゃなくて、『姫宮ましろ』を好きだという意味なのか?それとも……そして鈴町さんは恥ずかしいそうにオレに手を差しのべる

「ましろん先輩。週末の……『ましポん48』頑張りましょうね」

「あっああ。そうだな……一緒に頑張ろう」

 その手をオレは優しく握り返す。とても温かくて心地よい。彼女はやはりオレにとって特別な存在。1人の仲間で、後輩で、ファンで。そして……

 ふと気づくと無意識のうちに手を繋ぎながら、そのまま一緒に歩きながら家に帰っていたのだった。
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