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81. チャンネル登録者10万人への熱い夏⑥
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81. チャンネル登録者10万人への熱い夏⑥
時間は19時50分。葉桐ソフィアのチャンネル登録者は残り2089人。今はクララちゃんが合流してくれているので20時までには2000人は切ると思う。
やはり、このままでは足りない。オレはそのまま駅に向かって走る。おそらく事務所に着くのは21時前になりそうだ。
スマホを取り出し電話をかける。それは鈴町さんにだ。事務所のマネージャーの桃姉さんではなく、真っ先に連絡をしなきゃと思うくらい、彼女はオレの中でも大きな存在になっていた。
プルルルル……ガチャッ
《もしもし?まし……あ。マネージャーさん?どうしましたか?》
「配信中ごめん。少しだけ席をはずせるかな?」
《えっと……はい。大丈夫です……。何かありましたか?》
「鈴町さんには言っておかないとと思ってすぐ連絡したんだ。オレは今から玲奈ちゃんのところに行くよ」
すると鈴町さんは驚きもせずすぐにオレにこう言った。
《……はい。そうだと思いました》
「え?」
《ましろん先輩のことは……理解していますから。ソフィアちゃんを助けてあげてください》
「ありがとう。なんか……鈴町さん。オレの彼女みたいだな?」
《かっ!?私はただ……その……》
「冗談。いつもありがとな。それじゃあ行ってくるよ」
電話を切り再び走り出す。駅までは10分ほどだが、今の自分にとっては長く感じる。改札を通りホームまで行くと丁度電車が来ていた。飛び乗るように乗車し、そのまま揺られること数分。最寄り駅に到着した。
ここからはタクシーだ。幸いにも空車が通りかかり、手を上げて乗り込む。
「すみません。西区の大きな交差点の近くにある、Fmすたーらいぶの事務所の前に止めてもらえますか?」
「はい」
運転手に行き場所を伝え、シートに深く座り息を整える。焦るな……落ち着け。時間は20時30分。葉桐ソフィアのチャンネル登録者は残り1439人。
オレはディスコードをFmすたーらいぶのメンバー全員に送る。
『お願いがあります!21時15分までに1期生はリリィさんの配信、2期生はさくらちゃんの配信に集まってください!3期生はオフコラボ中なので。今……事務所に向かってます!最後までみんなでソフィアちゃんを応援しよ!ましろ歌います!一緒に歌ってほしいです!』
それだけを送り、オレは目を瞑る。緊張しているのか心臓がうるさい。でも、やれることをやる。これが今の自分に出来ること。あとは祈るだけだ。
すると、リアクションがどんどん返ってきた。気づけば全員から返ってきている。本当にいい仲間たちに恵まれたと心の底から思う。
そしてタクシーが事務所に着く。時間は20時50分。間に合った。オレは玲奈ちゃんの配信を確認すると玲奈ちゃんは今最後の休憩で離席しているようだった。
そのまま事務所のスタジオに急いで向かうと、扉の前にうずくまっている玲奈ちゃんの姿があった。
「玲奈ちゃん」
「……ぐす。……颯太さん?」
泣いているのか目が赤く腫れており、声も弱々しい。残り時間、10万人までの残りのチャンネル登録者数。辛くて悔しくて心が折れてしまったのかもしれない。
オレは彼女の前で膝をつき、優しく抱きしめる。玲奈ちゃんの体は震えていて、まるで小さな子供のようだ。オレは背中を撫でながら、彼女に語り掛ける。これはオレのエゴであり、独り善がりかもしれない。それでも、仲間として、彼女が苦しんでいるのを見過ごせないから。
「玲奈ちゃん。まだ時間はある。諦めるな。君は……姫宮ましろや魔月リリィに追いつくんだろ?」
「…………」
「オレは知ってるよ。誰よりも頑張ってきた玲奈ちゃんの事を。だから言わせてくれ。最後まで頑張れ!みんなが待ってるんだ!」
そう言って玲奈ちゃんの腕を掴み、スタジオの中に入って行くのだった。
時間は19時50分。葉桐ソフィアのチャンネル登録者は残り2089人。今はクララちゃんが合流してくれているので20時までには2000人は切ると思う。
やはり、このままでは足りない。オレはそのまま駅に向かって走る。おそらく事務所に着くのは21時前になりそうだ。
スマホを取り出し電話をかける。それは鈴町さんにだ。事務所のマネージャーの桃姉さんではなく、真っ先に連絡をしなきゃと思うくらい、彼女はオレの中でも大きな存在になっていた。
プルルルル……ガチャッ
《もしもし?まし……あ。マネージャーさん?どうしましたか?》
「配信中ごめん。少しだけ席をはずせるかな?」
《えっと……はい。大丈夫です……。何かありましたか?》
「鈴町さんには言っておかないとと思ってすぐ連絡したんだ。オレは今から玲奈ちゃんのところに行くよ」
すると鈴町さんは驚きもせずすぐにオレにこう言った。
《……はい。そうだと思いました》
「え?」
《ましろん先輩のことは……理解していますから。ソフィアちゃんを助けてあげてください》
「ありがとう。なんか……鈴町さん。オレの彼女みたいだな?」
《かっ!?私はただ……その……》
「冗談。いつもありがとな。それじゃあ行ってくるよ」
電話を切り再び走り出す。駅までは10分ほどだが、今の自分にとっては長く感じる。改札を通りホームまで行くと丁度電車が来ていた。飛び乗るように乗車し、そのまま揺られること数分。最寄り駅に到着した。
ここからはタクシーだ。幸いにも空車が通りかかり、手を上げて乗り込む。
「すみません。西区の大きな交差点の近くにある、Fmすたーらいぶの事務所の前に止めてもらえますか?」
「はい」
運転手に行き場所を伝え、シートに深く座り息を整える。焦るな……落ち着け。時間は20時30分。葉桐ソフィアのチャンネル登録者は残り1439人。
オレはディスコードをFmすたーらいぶのメンバー全員に送る。
『お願いがあります!21時15分までに1期生はリリィさんの配信、2期生はさくらちゃんの配信に集まってください!3期生はオフコラボ中なので。今……事務所に向かってます!最後までみんなでソフィアちゃんを応援しよ!ましろ歌います!一緒に歌ってほしいです!』
それだけを送り、オレは目を瞑る。緊張しているのか心臓がうるさい。でも、やれることをやる。これが今の自分に出来ること。あとは祈るだけだ。
すると、リアクションがどんどん返ってきた。気づけば全員から返ってきている。本当にいい仲間たちに恵まれたと心の底から思う。
そしてタクシーが事務所に着く。時間は20時50分。間に合った。オレは玲奈ちゃんの配信を確認すると玲奈ちゃんは今最後の休憩で離席しているようだった。
そのまま事務所のスタジオに急いで向かうと、扉の前にうずくまっている玲奈ちゃんの姿があった。
「玲奈ちゃん」
「……ぐす。……颯太さん?」
泣いているのか目が赤く腫れており、声も弱々しい。残り時間、10万人までの残りのチャンネル登録者数。辛くて悔しくて心が折れてしまったのかもしれない。
オレは彼女の前で膝をつき、優しく抱きしめる。玲奈ちゃんの体は震えていて、まるで小さな子供のようだ。オレは背中を撫でながら、彼女に語り掛ける。これはオレのエゴであり、独り善がりかもしれない。それでも、仲間として、彼女が苦しんでいるのを見過ごせないから。
「玲奈ちゃん。まだ時間はある。諦めるな。君は……姫宮ましろや魔月リリィに追いつくんだろ?」
「…………」
「オレは知ってるよ。誰よりも頑張ってきた玲奈ちゃんの事を。だから言わせてくれ。最後まで頑張れ!みんなが待ってるんだ!」
そう言って玲奈ちゃんの腕を掴み、スタジオの中に入って行くのだった。
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