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18. 姫は『マネージャー』としても頑張ってます
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18. 姫は『マネージャー』としても頑張ってます
そして翌日。打ち合わせでFmすたーらいぶの事務所に行くことになった。今日は『姫宮ましろ』ではなく、『双葉かのん』のマネージャー神崎颯太としてだ。
電車に乗りながら窓の外を見る。空はどんよりとした曇り空で、今にも雨が降り出しそうな天気である。そして横には鈴町さんが緊張しながら座っている。
「鈴町さん」
「はい……えっと……ごめんなさい」
「いや……なんで謝るんだ……」
「その……男の人と2人で……外に出るの初めてで……緊張して……」
いつも通りだが落ち着いてほしいものだ。事務所に到着すると早速会議室に向かう。
中に入ると既にグッズの担当の武山さんがいた。オレたちは挨拶を済ませると席に着く。今日は3期生のグッズについての話し合いが行われる予定だ。
武山さんはFmすたーらいぶの社員で、ライバーのグッズ関係の仕事をしている。オレも何度もお世話になっている人だ。いつも笑顔で優しいおじさんといった印象が強い。
「ましろちゃん。久しぶりだな元気かい?」
「はい。でも今日はましろじゃないんで、『双葉かのん』のマネージャーなので」
「おっそうかそうか。君が『双葉かのん』かい?初めましてグッズ担当の武山です」
「初めまして……『双葉かのん』です。よろしくお願いします」
挨拶を終え、一通りの話を聞いた後、本題に入る。まずはアクリルスタンド。これは缶バッジと同じデザインのものとなる。価格は500円。
次にクリアファイル。こちらは各イラストレーターさんのイラストが印刷されているもので、A4サイズ。こちらも同じく500円。そして最後にマグカップ。これは各イラストレーターさんが描いたキャラデザのものである。これも各キャラクターごとに用意されている。
「デザインはこの3種類なんだが、どれがいいかな?」
「えっと……ましろん先輩……どうしましょうか?」
「いや……これは『双葉かのん』のグッズなんだから、自分の好きなもの選べばいいんじゃないか?」
オドオドしながらオレに助けを求める鈴町さん。マネージャーとして助言はしてあげられるけど、これじゃ意味がないよな……かと言ってあまり口を出すのもどうかと思うし……
「ははは。かのんちゃんはましろちゃんを信頼してるんだな。うん、すでに良い関係じゃないか」
「まだ1回しかコラボしてませんけど?」
「回数は問題じゃないさ。オレも数々のVtuberや配信者と仕事しているが、2人のような空気感のコンビにはほとんど会ったことないよ。相性がいいのかもな」
そんなことを言われると少し照れるが、ガチで陰キャでコミュ障の鈴町さんと相性がいいと思われるのも少し複雑なんだが……
「あ……あの……」
「どうかしたかい。かのんちゃん?」
「この……イラストって……配信に使っちゃ……ダメですか?」
「配信?」
「あの……その……配信で……リスナーの意見とか……聞いちゃダメかなって……思いまして……」
「ふむ……そこはイラストレーターさんに確認しないと、すぐには返答はできないな」
鈴町さんは口を開くと小さな声で提案する。確かに配信で使えればファンの人たちからの反響があるかもしれない。せっかく鈴町さんが自分から意見をくれたんだからそれに答えてあげたい。
「ならオレが後で確認取りますので、連絡先を頂けますか?それとこのイラストをデータでもらえると助かります」
「わかった。ちょっと待っててくれ」
とりあえずこの話は一度持ち帰らせてもらい、後日また話をすることに決まった。その後、いくつかグッズの説明を受け、打ち合わせは終了した。会議室を出ると鈴町さんはホッとしたのか小さくため息を吐く。そしてオレの方を見ると申し訳なさそうに頭を下げた。
「すいませんでした……私のせいで話が進まなくて……」
「気にすんな。それに話は進んだだろ。結果オーライだ」
「ましろん先輩……」
オレはポンッと鈴町さんの頭に手を乗せると優しく撫でる。
「これからも何かあったら遠慮なく思った事を言ったり、相談してくれて構わないから」
「……はい」
オレの言葉を聞いた鈴町さんは嬉しかったのか、頬を赤らめながら少し笑みを浮かべていた。
そして翌日。打ち合わせでFmすたーらいぶの事務所に行くことになった。今日は『姫宮ましろ』ではなく、『双葉かのん』のマネージャー神崎颯太としてだ。
電車に乗りながら窓の外を見る。空はどんよりとした曇り空で、今にも雨が降り出しそうな天気である。そして横には鈴町さんが緊張しながら座っている。
「鈴町さん」
「はい……えっと……ごめんなさい」
「いや……なんで謝るんだ……」
「その……男の人と2人で……外に出るの初めてで……緊張して……」
いつも通りだが落ち着いてほしいものだ。事務所に到着すると早速会議室に向かう。
中に入ると既にグッズの担当の武山さんがいた。オレたちは挨拶を済ませると席に着く。今日は3期生のグッズについての話し合いが行われる予定だ。
武山さんはFmすたーらいぶの社員で、ライバーのグッズ関係の仕事をしている。オレも何度もお世話になっている人だ。いつも笑顔で優しいおじさんといった印象が強い。
「ましろちゃん。久しぶりだな元気かい?」
「はい。でも今日はましろじゃないんで、『双葉かのん』のマネージャーなので」
「おっそうかそうか。君が『双葉かのん』かい?初めましてグッズ担当の武山です」
「初めまして……『双葉かのん』です。よろしくお願いします」
挨拶を終え、一通りの話を聞いた後、本題に入る。まずはアクリルスタンド。これは缶バッジと同じデザインのものとなる。価格は500円。
次にクリアファイル。こちらは各イラストレーターさんのイラストが印刷されているもので、A4サイズ。こちらも同じく500円。そして最後にマグカップ。これは各イラストレーターさんが描いたキャラデザのものである。これも各キャラクターごとに用意されている。
「デザインはこの3種類なんだが、どれがいいかな?」
「えっと……ましろん先輩……どうしましょうか?」
「いや……これは『双葉かのん』のグッズなんだから、自分の好きなもの選べばいいんじゃないか?」
オドオドしながらオレに助けを求める鈴町さん。マネージャーとして助言はしてあげられるけど、これじゃ意味がないよな……かと言ってあまり口を出すのもどうかと思うし……
「ははは。かのんちゃんはましろちゃんを信頼してるんだな。うん、すでに良い関係じゃないか」
「まだ1回しかコラボしてませんけど?」
「回数は問題じゃないさ。オレも数々のVtuberや配信者と仕事しているが、2人のような空気感のコンビにはほとんど会ったことないよ。相性がいいのかもな」
そんなことを言われると少し照れるが、ガチで陰キャでコミュ障の鈴町さんと相性がいいと思われるのも少し複雑なんだが……
「あ……あの……」
「どうかしたかい。かのんちゃん?」
「この……イラストって……配信に使っちゃ……ダメですか?」
「配信?」
「あの……その……配信で……リスナーの意見とか……聞いちゃダメかなって……思いまして……」
「ふむ……そこはイラストレーターさんに確認しないと、すぐには返答はできないな」
鈴町さんは口を開くと小さな声で提案する。確かに配信で使えればファンの人たちからの反響があるかもしれない。せっかく鈴町さんが自分から意見をくれたんだからそれに答えてあげたい。
「ならオレが後で確認取りますので、連絡先を頂けますか?それとこのイラストをデータでもらえると助かります」
「わかった。ちょっと待っててくれ」
とりあえずこの話は一度持ち帰らせてもらい、後日また話をすることに決まった。その後、いくつかグッズの説明を受け、打ち合わせは終了した。会議室を出ると鈴町さんはホッとしたのか小さくため息を吐く。そしてオレの方を見ると申し訳なさそうに頭を下げた。
「すいませんでした……私のせいで話が進まなくて……」
「気にすんな。それに話は進んだだろ。結果オーライだ」
「ましろん先輩……」
オレはポンッと鈴町さんの頭に手を乗せると優しく撫でる。
「これからも何かあったら遠慮なく思った事を言ったり、相談してくれて構わないから」
「……はい」
オレの言葉を聞いた鈴町さんは嬉しかったのか、頬を赤らめながら少し笑みを浮かべていた。
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