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15. 後輩ちゃんは『推し』の話なら熱くなる
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15. 後輩ちゃんは『推し』の話なら熱くなる
あれから1週間が経った。その間オレは『姫宮ましろ』としての活動をしつつ、『双葉かのん』のサポートをしていた。そして今日は鈴町さんが家に引っ越しをしてくる日だ。
ピンポーン チャイムが鳴ると桃姉さんが出迎えに行く。そして荷物を持った鈴町さんが入ってきた。
「機材の設置は終わっているから、後は自由にしてくれていいわよかのんちゃん」
「は……はい……ふつつか者……ですが……宜しくお願い致します……」
「そんな固くならないの。ここを自分の家だと思ってくつろいでね」
「はい……」
なんか嫁ぎに来たみたいな言い方だったがスルーしておく。まぁ鈴町さんが緊張しているのも無理はない。
「颯太。部屋に案内してあげて」
「ああ。鈴町さん行こう」
「はい……」
そして鈴町さんを部屋に連れて行く。
「ここは好きに使ってもらって構わないから。一応お風呂の時だけ声をかけてくれ、あとはキッチンとか冷蔵庫とかも好きに使って」
「あの……ましろん先輩……」
「ん?」
「その……これから……よろしく……お願いします」
「ああ。改めてよろしく」
鈴町さんは荷物を置いて、部屋の機材をチェックし始める。パソコンとディスプレイ、マイクなどの必要な物を買い揃えたし、配信環境は問題ないだろ。
「他に足りないものあるか?」
「いえ……大丈夫……です。そっその……お金……お支払い……しなくて……大丈夫ですか?」
「ほとんど会社のお金だから問題ない。それだけ事務所初ユニット『ましのん』の期待がかかってるってことだから、失敗は許されない。だから鈴町さんは頑張ってくれればそれでいい」
そのあとはリビングに集まり、桃姉さんを交えて今後の予定を話し合う。
「とりあえず今の活動と平行して『ましのん』の活動をするわ。お互い配信枠を1つ削って『ましのん』に回すこと。基本的な配信時間は土曜日。まぁこれはリスナーたちに発表してからになるけどね。一応発表は来週の土曜日で『姫宮ましろ』の枠で予定してるからTwitterにあげる文とサムネの準備、それと配信内容を考えておいて」
「わかった」
「それと『双葉かのん』のスケジュールを今日の夜までに頂戴。私はグッズの打ち合わせがあるから事務所に行かなきゃいけないの。だからかのんちゃんのこと頼んだわよマネージャー?」
そう言って桃姉さんは仕事に向かった。さて、鈴町さんの配信内容か。というかオレは鈴町さんのこと何も知らないよな。といっても……会話してくれるか不安しかないんだが。
「鈴町さんは何か得意なこととかあるか?」
「えっと……その……私は……すいません」
すいません。これは得意なことはないということなのか?それとも話せないことなのか?それからも何個か質問するがほとんど会話にならない。分からん……どうしたものか……
「……でも……好きです」
「え?」
「みんなと……話したり、ゲームやったり……歌ったり……絵を描いたり……私……そういうの好きです……」
オレは黙って彼女の話を聞いていた。彼女はVtuberが好きなんだろうな。それは配信やSNSを見ていてもよくわかる。きっと彼女は誰かと話したかったのかもしれない。でもそれができなかった。今までの自分を変えるために、Vtuberとして生まれ変わった。そのきっかけを作ったのが『姫宮ましろ』なんだろうけど。
「鈴町さんは『姫宮ましろ』の何の配信が好きなの?」
「全部……大好き……です。ましろん先輩が……一生懸命に……がんばっている姿も……可愛いところも……カッコいいところも……全部……素敵です……」
こんなに嬉しそうに話す鈴町さんは初めて見た。やっぱりVtuber『姫宮ましろ』の話になると熱くなるんだな。
「鈴町さんはもっと自信を持っていいと思うぞ?確かにまだ人見知りなところもあるし、コミュニケーション能力も低いかもしれない。だけど鈴町さんは努力家で真面目だ。だから胸を張っていい。自分がやりたいことをやればいいんだ」
「私が……やりたい……こと……」
「ああ。やりたいことがあるならそれをやればいい。それにオレも協力するから」
鈴町さんはガチで陰キャでコミュ障。でもそこには間違いなく情熱があった。だからオレはその想いに応えたいと思った。出来る限りの力を尽くしてやらないとな。
あれから1週間が経った。その間オレは『姫宮ましろ』としての活動をしつつ、『双葉かのん』のサポートをしていた。そして今日は鈴町さんが家に引っ越しをしてくる日だ。
ピンポーン チャイムが鳴ると桃姉さんが出迎えに行く。そして荷物を持った鈴町さんが入ってきた。
「機材の設置は終わっているから、後は自由にしてくれていいわよかのんちゃん」
「は……はい……ふつつか者……ですが……宜しくお願い致します……」
「そんな固くならないの。ここを自分の家だと思ってくつろいでね」
「はい……」
なんか嫁ぎに来たみたいな言い方だったがスルーしておく。まぁ鈴町さんが緊張しているのも無理はない。
「颯太。部屋に案内してあげて」
「ああ。鈴町さん行こう」
「はい……」
そして鈴町さんを部屋に連れて行く。
「ここは好きに使ってもらって構わないから。一応お風呂の時だけ声をかけてくれ、あとはキッチンとか冷蔵庫とかも好きに使って」
「あの……ましろん先輩……」
「ん?」
「その……これから……よろしく……お願いします」
「ああ。改めてよろしく」
鈴町さんは荷物を置いて、部屋の機材をチェックし始める。パソコンとディスプレイ、マイクなどの必要な物を買い揃えたし、配信環境は問題ないだろ。
「他に足りないものあるか?」
「いえ……大丈夫……です。そっその……お金……お支払い……しなくて……大丈夫ですか?」
「ほとんど会社のお金だから問題ない。それだけ事務所初ユニット『ましのん』の期待がかかってるってことだから、失敗は許されない。だから鈴町さんは頑張ってくれればそれでいい」
そのあとはリビングに集まり、桃姉さんを交えて今後の予定を話し合う。
「とりあえず今の活動と平行して『ましのん』の活動をするわ。お互い配信枠を1つ削って『ましのん』に回すこと。基本的な配信時間は土曜日。まぁこれはリスナーたちに発表してからになるけどね。一応発表は来週の土曜日で『姫宮ましろ』の枠で予定してるからTwitterにあげる文とサムネの準備、それと配信内容を考えておいて」
「わかった」
「それと『双葉かのん』のスケジュールを今日の夜までに頂戴。私はグッズの打ち合わせがあるから事務所に行かなきゃいけないの。だからかのんちゃんのこと頼んだわよマネージャー?」
そう言って桃姉さんは仕事に向かった。さて、鈴町さんの配信内容か。というかオレは鈴町さんのこと何も知らないよな。といっても……会話してくれるか不安しかないんだが。
「鈴町さんは何か得意なこととかあるか?」
「えっと……その……私は……すいません」
すいません。これは得意なことはないということなのか?それとも話せないことなのか?それからも何個か質問するがほとんど会話にならない。分からん……どうしたものか……
「……でも……好きです」
「え?」
「みんなと……話したり、ゲームやったり……歌ったり……絵を描いたり……私……そういうの好きです……」
オレは黙って彼女の話を聞いていた。彼女はVtuberが好きなんだろうな。それは配信やSNSを見ていてもよくわかる。きっと彼女は誰かと話したかったのかもしれない。でもそれができなかった。今までの自分を変えるために、Vtuberとして生まれ変わった。そのきっかけを作ったのが『姫宮ましろ』なんだろうけど。
「鈴町さんは『姫宮ましろ』の何の配信が好きなの?」
「全部……大好き……です。ましろん先輩が……一生懸命に……がんばっている姿も……可愛いところも……カッコいいところも……全部……素敵です……」
こんなに嬉しそうに話す鈴町さんは初めて見た。やっぱりVtuber『姫宮ましろ』の話になると熱くなるんだな。
「鈴町さんはもっと自信を持っていいと思うぞ?確かにまだ人見知りなところもあるし、コミュニケーション能力も低いかもしれない。だけど鈴町さんは努力家で真面目だ。だから胸を張っていい。自分がやりたいことをやればいいんだ」
「私が……やりたい……こと……」
「ああ。やりたいことがあるならそれをやればいい。それにオレも協力するから」
鈴町さんはガチで陰キャでコミュ障。でもそこには間違いなく情熱があった。だからオレはその想いに応えたいと思った。出来る限りの力を尽くしてやらないとな。
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