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16. 同じ道を歩む存在
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16. 同じ道を歩む存在
オレとカトレアはそのまま歩いて、カトレアの家に向かうことにする。この辺りは王都の中でも外れのほうなので、のどかな風景が広がっていた。
だんだん緊張してきたのだが。良く考えたら女の子の家に行くのも初めてだ。
「あそこが私の家です。ステラ様には小さくて居心地悪いかもしれないですけど、どうしても両親に紹介したくて」
「居心地悪いなんてないわよ?それよりいきなりお邪魔してご迷惑ではないのかしら?」
「大丈夫ですよ!両親は優しいからきっと歓迎してくれます!」
そう言って笑顔で手を引くカトレアはとても可愛いかった。
そして到着した家は本当に小さくて、質素な感じだった。でもとても手入れされていて清潔感がある。
玄関を開けてくれたのは母親だろうか。少しふくよかだが優しそうな女性だ。そして奥には強面で大柄な男性が見える。あれがカトレアの父親か……。
「ただいま!」
「お帰り。あらいらっしゃい。すみませんね狭い家で。それにしても、まさかあのシルフィード家の令嬢様がうちに来てくれるとはねえ……」
「初めまして。突然伺って申し訳ありません。私はシルフィード公爵家令嬢ステラ=シルフィードと申します」
「まあまあご丁寧にどうも。どうぞごゆっくり。カトレア、夕飯の手伝いをして」
それからしばらく二人で料理をする姿を眺めていた。何やら楽しげな雰囲気でいい家庭だと感じる。
それはいいのだが……めちゃくちゃ気まずい。カトレアの父親がずっと黙ってるんだが!?いや寡黙なだけでこういう人なのか!?汗が……止まらんのだが……。その時カトレアの父親がその口を開いた。
「……騒がしい娘だろ。カトレアは」
「え?」
「入学式からずっとだ。『あの四大の『風神』ステラ様と同じクラスになった』『私はステラ様の弟子になって一緒に頑張るんだ』って。口を開けばステラ様ステラ様、本当にあなたを尊敬してる」
……なんか複雑だが、カトレアは本当にステラ=シルフィードを尊敬してるんだな。
「正直。あなたみたいな公爵令嬢が娘みたいな平民と友達になるなんて嘘だと思っていた。それが平民と貴族という地位の差だからな。だから、今日あなたを招いたのはオレと妻を安心させたいというカトレアなりの優しさだろう。気を悪くしたら申し訳ない」
「そんなことはありませんわ」
そうカトレアの父親はオレに話す。めちゃくちゃ娘想いの良い父親じゃないか。オレには両親がいないから少しだけ羨ましくもある。でも、1つだけ言っておきたい。
「あのカトレアのお父様?私は貴族令嬢である前に、1人の学生です。そして、カトレアは私にとっても大切な親友ですから。そこには平民や貴族なんかの地位などない。同じ道を歩む存在です。安心してください。」
「あなたのような貴族令嬢もいるのだな。これからもカトレアと仲良くしてあげてくれ」
「もちろんですわ」
「お父さん!ステラ様ー!ご飯できたよー!」
カトレアの家ではとても美味しい家庭的な料理をいただいた。最近は貴族の料理ばかり食べていたからこういうのもたまには良いものだ。
そして食休みをしていると、入り口がノックされ、そこにはリリスがいた。迎えに来たのか……確かに長居しすぎたかもな。
「こんばんは。私はステラ様にお仕えしておりますメイドのリリスです。ステラ様をお迎えにあがりました」
「わざわざありがとう。それじゃ帰りますわ。今日は楽しかったわカトレア。また明日王立図書館で」
「はい!こちらこそ楽しい時間をありがとうございました!」
こうして、オレはカトレアの家を出て馬車に乗り込んだ。するとリリスが微笑みながら口を開く。
「ふふっあんな感じなのですねエリック様のステラ様って。少し違いますが、ステラ様のようです」
「それ褒めてんのか?」
「もちろんです。久しぶりにステラ様を見たような気がしました。楽しかったですか初デートは?いきなりご自宅にまで伺うなんてエリック様もやりますね?」
「そんなんじゃねぇ!それとデートじゃねぇし!」
リリスはいつものようにニコニコしながらオレを見てくる。……なんかムカつく。
「エリック様。顔が赤いですよ?」
「うるせぇ」
そのまま馬車は屋敷に戻るために王都の町並みを走る。こうしてオレの初デート(?)は終わりをむかえる。そしてこれからもカトレアと共に頑張ろうと心に誓うのだった。
オレとカトレアはそのまま歩いて、カトレアの家に向かうことにする。この辺りは王都の中でも外れのほうなので、のどかな風景が広がっていた。
だんだん緊張してきたのだが。良く考えたら女の子の家に行くのも初めてだ。
「あそこが私の家です。ステラ様には小さくて居心地悪いかもしれないですけど、どうしても両親に紹介したくて」
「居心地悪いなんてないわよ?それよりいきなりお邪魔してご迷惑ではないのかしら?」
「大丈夫ですよ!両親は優しいからきっと歓迎してくれます!」
そう言って笑顔で手を引くカトレアはとても可愛いかった。
そして到着した家は本当に小さくて、質素な感じだった。でもとても手入れされていて清潔感がある。
玄関を開けてくれたのは母親だろうか。少しふくよかだが優しそうな女性だ。そして奥には強面で大柄な男性が見える。あれがカトレアの父親か……。
「ただいま!」
「お帰り。あらいらっしゃい。すみませんね狭い家で。それにしても、まさかあのシルフィード家の令嬢様がうちに来てくれるとはねえ……」
「初めまして。突然伺って申し訳ありません。私はシルフィード公爵家令嬢ステラ=シルフィードと申します」
「まあまあご丁寧にどうも。どうぞごゆっくり。カトレア、夕飯の手伝いをして」
それからしばらく二人で料理をする姿を眺めていた。何やら楽しげな雰囲気でいい家庭だと感じる。
それはいいのだが……めちゃくちゃ気まずい。カトレアの父親がずっと黙ってるんだが!?いや寡黙なだけでこういう人なのか!?汗が……止まらんのだが……。その時カトレアの父親がその口を開いた。
「……騒がしい娘だろ。カトレアは」
「え?」
「入学式からずっとだ。『あの四大の『風神』ステラ様と同じクラスになった』『私はステラ様の弟子になって一緒に頑張るんだ』って。口を開けばステラ様ステラ様、本当にあなたを尊敬してる」
……なんか複雑だが、カトレアは本当にステラ=シルフィードを尊敬してるんだな。
「正直。あなたみたいな公爵令嬢が娘みたいな平民と友達になるなんて嘘だと思っていた。それが平民と貴族という地位の差だからな。だから、今日あなたを招いたのはオレと妻を安心させたいというカトレアなりの優しさだろう。気を悪くしたら申し訳ない」
「そんなことはありませんわ」
そうカトレアの父親はオレに話す。めちゃくちゃ娘想いの良い父親じゃないか。オレには両親がいないから少しだけ羨ましくもある。でも、1つだけ言っておきたい。
「あのカトレアのお父様?私は貴族令嬢である前に、1人の学生です。そして、カトレアは私にとっても大切な親友ですから。そこには平民や貴族なんかの地位などない。同じ道を歩む存在です。安心してください。」
「あなたのような貴族令嬢もいるのだな。これからもカトレアと仲良くしてあげてくれ」
「もちろんですわ」
「お父さん!ステラ様ー!ご飯できたよー!」
カトレアの家ではとても美味しい家庭的な料理をいただいた。最近は貴族の料理ばかり食べていたからこういうのもたまには良いものだ。
そして食休みをしていると、入り口がノックされ、そこにはリリスがいた。迎えに来たのか……確かに長居しすぎたかもな。
「こんばんは。私はステラ様にお仕えしておりますメイドのリリスです。ステラ様をお迎えにあがりました」
「わざわざありがとう。それじゃ帰りますわ。今日は楽しかったわカトレア。また明日王立図書館で」
「はい!こちらこそ楽しい時間をありがとうございました!」
こうして、オレはカトレアの家を出て馬車に乗り込んだ。するとリリスが微笑みながら口を開く。
「ふふっあんな感じなのですねエリック様のステラ様って。少し違いますが、ステラ様のようです」
「それ褒めてんのか?」
「もちろんです。久しぶりにステラ様を見たような気がしました。楽しかったですか初デートは?いきなりご自宅にまで伺うなんてエリック様もやりますね?」
「そんなんじゃねぇ!それとデートじゃねぇし!」
リリスはいつものようにニコニコしながらオレを見てくる。……なんかムカつく。
「エリック様。顔が赤いですよ?」
「うるせぇ」
そのまま馬車は屋敷に戻るために王都の町並みを走る。こうしてオレの初デート(?)は終わりをむかえる。そしてこれからもカトレアと共に頑張ろうと心に誓うのだった。
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