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8. 学園の悪
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8. 学園の悪
翌日になり授業が始まる。今日の授業内容は魔法陣の基礎知識と応用だ。オレとカトレアは学園の裏手にある野原にやってきている。どうやらオレたちのクラスにはしっかりした場所は提供されないらしい。
まずは基礎の部分の説明からだ。ルーティ先生が張り切って説明してくれている。
「魔法陣とは簡単に言うと、魔法を発動するための補助装置のようなものです」
そう言って地面に木の棒で円を描き始めた。
「この円を魔法陣と呼びます。そしてこの中に魔力を流し込む事で魔法が発動します」
「え?それだけですの?」
「はい、これだけですよ。ステラさんは優秀な『風神』と呼ばれてるのでこのような基礎は飛ばしてもいいのですけどね……でもせっかくなので教えちゃいます!」
いやめちゃくちゃ助かるんだが。そうして魔法陣についての授業が始まった。
魔法陣の形や色によってどんな属性の魔法なのかがわかるらしい。またどのくらい複雑な魔法陣かというのも重要だそうだ。例えば火の魔法を使う時に使われる魔法陣は、火を表す形が多いとかそんな感じだ。
そしてその属性も様々なものがあるらしく、有名なものだけでも4つ存在するという。
・火炎(フレイム):最も単純な炎を操る魔法陣
・疾風(ゲイル):空気の流れを操る魔法陣
・大地(ランド):土の操作をする魔法陣
・氷河(アイス):氷を操作する魔法陣
ちなみにこれらは初級魔法の基本であり、他にもまだまだ種類があるらしい。
しかし、これらの基本的な魔法陣でさえ全てを理解して使う事は至難の業だという。それぞれの属性に特化した魔法陣もあるし、それを組み合わせる事だってあるのだ。
だがルーティ先生の話を聞いていくうちに、魔法の奥深さを感じていく事になった。この世界には想像以上に多くの種類の魔法が存在するようだ。
魔法陣というのは基本的に魔力を流すだけで使える便利な道具のようなものだと思っていたが、実際は膨大な量の情報を頭の中で処理する必要があるらしい。それを瞬時に行う必要があるため、ある程度レベルが高くないと難しいのだろう。
ちなみにステラ=シルフィードは『風』だから疾風(ゲイル)の魔法陣が相性がいいはずだよな。当分はオレも練習しないと、魔法を使えばすぐにステラ=シルフィードではないことがバレるからな。
それからしばらくすると、授業の終わりを告げる鐘の音が聞こえてきた。もう昼前になっていたのか。昼食の時間だ。オレはカトレアと共に食堂に行くことにする。
「ステラ様!今日は何食べますか?あ、昨日と同じものでもいいですね」
相変わらず元気いっぱいだよなぁ。カトレアを見ているとこっちまで元気になる。食堂に着くと結構混んでいた。まあみんな考えることは同じだよな。適当に席を確保してから食事を頼む。メニューは同じでパンとシチューとサラダだ。
そして食事を取ろうとすると、包帯を巻いた男が現れる。
「いました!あの女です!」
あー。この前オレが叩きのめしたやつか。どうやらまだ懲りていないらしい。その男はオレの方を見てニヤッとした笑みを浮かべている。
さてと、とりあえず無視するか。こういう輩に構う必要は無い。放っておけばそのうち諦めるだろう。すると新たに別の男がやってきて、机を叩きながらオレに話しかけてくる。
「お前が『風神』ステラ=シルフィードか?オレの子分が世話になったな?」
「子分?ペットか何かの間違いじゃないかしら?首輪くらいつけておきなさいよ」
「なんだと!?てめぇぶっ殺すぞ!」
いや……何言ってんだよコイツ……。本当に面倒くさい。というかシチューこぼれてんだが?目の前にいるカトレアはびくびくしている。そしてその様子を見て周りにいた生徒たちが急にざわつき始める。
「おいあれガンドラじゃねえか?」
「マジで?なんでこんなところに学園の悪がいるんだ?」
「問題を起こして魔法学園やめたんじゃなかったのか?」
なんかいろいろ悪い噂が流れてるやつみたいだけど、正直そんなことよりもこの状況をどうにかしたい。というか早く飯食いたいんだけどさ。
「ちょっと待ちたまえ君たち!」
その声の主は茶髪で身長は高く180cmほどはあるだろうか。整った顔立ちをしており、イケメンと呼ばれる部類の人間だろう。服装はいかにも貴族といった感じで、胸元には宝石があしらわれたブローチを付けていた。
「ここは食堂だ。喧嘩なら外でやってくれたまえ」
「ちっ……」
そう言われると、ガンドラと呼ばれた男とその取り巻きたちはその場を去っていった。ふぅ、やっと静かになった。
「大丈夫だったかい?怪我はないかな?」
「え、あ、はい。ありがとうございます」
カトレアは少し頬を赤く染めながら答えた。……カトレアのやつ、まさかこんな男がタイプなのか?なんかムカつく。というかこいつ誰だよ。
「ボクはこの魔法学園の生徒会長を務めているアルヴィン=マクレーンだ。よろしく」
生徒会長のアルヴィン=マクレーン。魔法学園では知らない者はいない有名人らしい。
「あ、私はカトレアです」
「カトレアちゃんか。可愛い名前だね。君は確か最近入学してきたんだよね?あのガンドラには注意しておきたまえ」
そう言いながら爽やかな笑顔を見せてきた。おいオレを無視すんな。
「は、はい。気をつけます」
「うん、そうしてくれたまえ。あ、ところで君の名前はなんていうんだい?」
そう言うと、アルヴィンはオレの方を見ながら問いかけてくる。
「どうでもいいけど、食事の邪魔よ。どいてくれるかしら?」
「あ、ああそうだね。失礼するよ。それじゃあまた会おう」
そう言うと、アルヴィンは食堂から出て行った。結局あいつ何しに来たんだよ……。
「あの人カッコいいですね!ステラ様!」
「……気に入らない、もう友達やめるわ。さよならカトレア」
「えぇー!?ステラ様なんで怒ってるんですか!?」
別に怒っちゃいないが……。気に入らない。あんなチャラそうなやつがモテるとか、この世界おかしいだろ。
翌日になり授業が始まる。今日の授業内容は魔法陣の基礎知識と応用だ。オレとカトレアは学園の裏手にある野原にやってきている。どうやらオレたちのクラスにはしっかりした場所は提供されないらしい。
まずは基礎の部分の説明からだ。ルーティ先生が張り切って説明してくれている。
「魔法陣とは簡単に言うと、魔法を発動するための補助装置のようなものです」
そう言って地面に木の棒で円を描き始めた。
「この円を魔法陣と呼びます。そしてこの中に魔力を流し込む事で魔法が発動します」
「え?それだけですの?」
「はい、これだけですよ。ステラさんは優秀な『風神』と呼ばれてるのでこのような基礎は飛ばしてもいいのですけどね……でもせっかくなので教えちゃいます!」
いやめちゃくちゃ助かるんだが。そうして魔法陣についての授業が始まった。
魔法陣の形や色によってどんな属性の魔法なのかがわかるらしい。またどのくらい複雑な魔法陣かというのも重要だそうだ。例えば火の魔法を使う時に使われる魔法陣は、火を表す形が多いとかそんな感じだ。
そしてその属性も様々なものがあるらしく、有名なものだけでも4つ存在するという。
・火炎(フレイム):最も単純な炎を操る魔法陣
・疾風(ゲイル):空気の流れを操る魔法陣
・大地(ランド):土の操作をする魔法陣
・氷河(アイス):氷を操作する魔法陣
ちなみにこれらは初級魔法の基本であり、他にもまだまだ種類があるらしい。
しかし、これらの基本的な魔法陣でさえ全てを理解して使う事は至難の業だという。それぞれの属性に特化した魔法陣もあるし、それを組み合わせる事だってあるのだ。
だがルーティ先生の話を聞いていくうちに、魔法の奥深さを感じていく事になった。この世界には想像以上に多くの種類の魔法が存在するようだ。
魔法陣というのは基本的に魔力を流すだけで使える便利な道具のようなものだと思っていたが、実際は膨大な量の情報を頭の中で処理する必要があるらしい。それを瞬時に行う必要があるため、ある程度レベルが高くないと難しいのだろう。
ちなみにステラ=シルフィードは『風』だから疾風(ゲイル)の魔法陣が相性がいいはずだよな。当分はオレも練習しないと、魔法を使えばすぐにステラ=シルフィードではないことがバレるからな。
それからしばらくすると、授業の終わりを告げる鐘の音が聞こえてきた。もう昼前になっていたのか。昼食の時間だ。オレはカトレアと共に食堂に行くことにする。
「ステラ様!今日は何食べますか?あ、昨日と同じものでもいいですね」
相変わらず元気いっぱいだよなぁ。カトレアを見ているとこっちまで元気になる。食堂に着くと結構混んでいた。まあみんな考えることは同じだよな。適当に席を確保してから食事を頼む。メニューは同じでパンとシチューとサラダだ。
そして食事を取ろうとすると、包帯を巻いた男が現れる。
「いました!あの女です!」
あー。この前オレが叩きのめしたやつか。どうやらまだ懲りていないらしい。その男はオレの方を見てニヤッとした笑みを浮かべている。
さてと、とりあえず無視するか。こういう輩に構う必要は無い。放っておけばそのうち諦めるだろう。すると新たに別の男がやってきて、机を叩きながらオレに話しかけてくる。
「お前が『風神』ステラ=シルフィードか?オレの子分が世話になったな?」
「子分?ペットか何かの間違いじゃないかしら?首輪くらいつけておきなさいよ」
「なんだと!?てめぇぶっ殺すぞ!」
いや……何言ってんだよコイツ……。本当に面倒くさい。というかシチューこぼれてんだが?目の前にいるカトレアはびくびくしている。そしてその様子を見て周りにいた生徒たちが急にざわつき始める。
「おいあれガンドラじゃねえか?」
「マジで?なんでこんなところに学園の悪がいるんだ?」
「問題を起こして魔法学園やめたんじゃなかったのか?」
なんかいろいろ悪い噂が流れてるやつみたいだけど、正直そんなことよりもこの状況をどうにかしたい。というか早く飯食いたいんだけどさ。
「ちょっと待ちたまえ君たち!」
その声の主は茶髪で身長は高く180cmほどはあるだろうか。整った顔立ちをしており、イケメンと呼ばれる部類の人間だろう。服装はいかにも貴族といった感じで、胸元には宝石があしらわれたブローチを付けていた。
「ここは食堂だ。喧嘩なら外でやってくれたまえ」
「ちっ……」
そう言われると、ガンドラと呼ばれた男とその取り巻きたちはその場を去っていった。ふぅ、やっと静かになった。
「大丈夫だったかい?怪我はないかな?」
「え、あ、はい。ありがとうございます」
カトレアは少し頬を赤く染めながら答えた。……カトレアのやつ、まさかこんな男がタイプなのか?なんかムカつく。というかこいつ誰だよ。
「ボクはこの魔法学園の生徒会長を務めているアルヴィン=マクレーンだ。よろしく」
生徒会長のアルヴィン=マクレーン。魔法学園では知らない者はいない有名人らしい。
「あ、私はカトレアです」
「カトレアちゃんか。可愛い名前だね。君は確か最近入学してきたんだよね?あのガンドラには注意しておきたまえ」
そう言いながら爽やかな笑顔を見せてきた。おいオレを無視すんな。
「は、はい。気をつけます」
「うん、そうしてくれたまえ。あ、ところで君の名前はなんていうんだい?」
そう言うと、アルヴィンはオレの方を見ながら問いかけてくる。
「どうでもいいけど、食事の邪魔よ。どいてくれるかしら?」
「あ、ああそうだね。失礼するよ。それじゃあまた会おう」
そう言うと、アルヴィンは食堂から出て行った。結局あいつ何しに来たんだよ……。
「あの人カッコいいですね!ステラ様!」
「……気に入らない、もう友達やめるわ。さよならカトレア」
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