【たいむりーぷ?】『私。未来であなたの奥様やらせてもらってます!』~隣の席の美少女はオレの奥様らしい。きっと新手の詐欺だと思う……たぶん。~

夕姫

文字の大きさ
上 下
10 / 85

10. 兄としてのプライド

しおりを挟む
10. 兄としてのプライド



 オレは夢を見た。どこかわからないが、とても幸せな気分になった。隣にいるのは……誰だ?目が覚めるとカーテンからは朝日が差し込んでいた。枕元のスマホを手に取り時間を確認すると、朝7時を回ったところだ。

 今日は日曜日なのに……ずいぶん早起きをしてしまったようだ。二度寝をする気にはならなかったのでリビングに向かう。

「せっかくだから怜奈の分も朝食を作ってやるか。」

 ちなみにオレの両親は仕事が忙しく、基本は家にいないことが多い。だからある意味妹と2人で暮らしているようなものなのだ。

 そして時間は8時を回る。朝食の準備が出来たタイミングで怜奈が起きてくる。

「おうおはよう」

「へ?」

「朝飯作ったから一緒に食べようぜ?」

「これは夢?私まだ寝ぼけてる?」

「お前はちゃんと二本足が地面についてるぞ」

「じゃあなんなの!?おにぃが料理作るとか気持ち悪いんだけど!?しかも私の分まで……熱でもあるんじゃ……」

「お前の兄貴はそんなに信用ないのか」

 まったく失礼なやつである。オレだってやろうと思えばそれくらいできるんだよ。

「いや……なんか怖い……」

「おいこら。さすがに傷つくからやめてくれ。まぁいいから座れよ」

「うわぁ……」

「なんだその顔は?文句あんのか?」

「いや……なんか変なものでも食べたんじゃないかって」

「そこまで言うか?」

「おにぃが……おにぃがおかしい!どうしよう!」

「病院行けよ」

「おにぃが正論言ってる!?」

 ……あとでボコしておこう。そんなやりとりをしながらオレと怜奈は朝食を食べる。

「なぁ怜奈。お前さ。彼氏いるの?」

「セクハラ」

「いや兄としてだな?」

「そう言うおにぃこそどうなの?高校生になったんだから、いい加減彼女でも作れば?どうせ出来ないと思うけど?」

 なぜかムカつく顔をしながらマウントをとってくる怜奈。ほう……なら戦争だ。

「バカ野郎。オレにだってそう言うお相手くらいいるぞ?」

「……二次元は入らないよ?」

「知ってるよ!なめんな!」

「どうせブスでしょ」

「いやもう超絶美少女!身長がこのくらいで、黒髪のロング……」

 待て待て!なんでここで高宮さんが出てくる!別に付き合ってないだろオレ!そんなオレの慌てぶりを見てか、怜奈がニヤつきながら声をかけてくる。

「ほら嘘だ」

「嘘じゃねぇよ!」

「じゃあ明日学校終わったら連れてきてよ」

「え?」

「なに?」

 くそっ……妹のくせに生意気な……。でもオレにも兄としてのプライドがあるんだよ!とか思ったが、オレはなんて浅はかな事をしてしまったんだ。こんなことになってしまった以上、高宮さんを連れてこないわけにはいかないじゃないか。

「わかった……絶対に連れて来る」

「大丈夫?なんか引くに引けない顔してるけど?」

「そんな顔してねぇし!」

「ふーん。なら楽しみにしてるね?嘘ついたら今年いっぱいアイスおごってもらうから」

「鬼畜すぎるだろ……いくらアイスが安いとは言え、破産するわ」

「じゃあやっぱり嘘なんだ」

「嘘じゃねぇって!」

「ふ~ん。あっそ。まぁ期待しないでおくけど」

「それはそれで腹立つな……」

 こうしてオレはまだ許可すらとれていない高宮さんを家に連れて行くことになった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件

遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。 一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた! 宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!? ※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

幼馴染と話し合って恋人になってみた→夫婦になってみた

久野真一
青春
 最近の俺はちょっとした悩みを抱えている。クラスメート曰く、  幼馴染である百合(ゆり)と仲が良すぎるせいで付き合ってるか気になるらしい。  堀川百合(ほりかわゆり)。美人で成績優秀、運動完璧だけど朝が弱くてゲーム好きな天才肌の女の子。  猫みたいに気まぐれだけど優しい一面もあるそんな女の子。  百合とはゲームや面白いことが好きなところが馬が合って仲の良い関係を続けている。    そんな百合は今年は隣のクラス。俺と付き合ってるのかよく勘ぐられるらしい。  男女が仲良くしてるからすぐ付き合ってるだの何だの勘ぐってくるのは困る。  とはいえ。百合は異性としても魅力的なわけで付き合ってみたいという気持ちもある。  そんなことを悩んでいたある日の下校途中。百合から 「修二は私と恋人になりたい?」  なんて聞かれた。考えた末の言葉らしい。  百合としても満更じゃないのなら恋人になるのを躊躇する理由もない。 「なれたらいいと思ってる」    少し曖昧な返事とともに恋人になった俺たち。  食べさせあいをしたり、キスやその先もしてみたり。  恋人になった後は今までよりもっと楽しい毎日。  そんな俺達は大学に入る時に籍を入れて学生夫婦としての生活も開始。  夜一緒に寝たり、一緒に大学の講義を受けたり、新婚旅行に行ったりと  新婚生活も満喫中。  これは俺と百合が恋人としてイチャイチャしたり、  新婚生活を楽しんだりする、甘くてほのぼのとする日常のお話。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

乙男女じぇねれーしょん

ムラハチ
青春
 見知らぬ街でセーラー服を着るはめになったほぼニートのおじさんが、『乙男女《おつとめ》じぇねれーしょん』というアイドルグループに加入し、神戸を舞台に事件に巻き込まれながらトップアイドルを目指す青春群像劇! 怪しいおじさん達の周りで巻き起こる少女誘拐事件、そして消えた3億円の行方は……。 小説家になろうは現在休止中。

サンスクミ〜学園のアイドルと偶然同じバイト先になったら俺を3度も振った美少女までついてきた〜

野谷 海
恋愛
「俺、やっぱり君が好きだ! 付き合って欲しい!」   「ごめんね青嶋くん……やっぱり青嶋くんとは付き合えない……」 この3度目の告白にも敗れ、青嶋将は大好きな小浦舞への想いを胸の内へとしまい込んで前に進む。 半年ほど経ち、彼らは何の因果か同じクラスになっていた。 別のクラスでも仲の良かった去年とは違い、距離が近くなったにも関わらず2人が会話をする事はない。 そんな折、将がアルバイトする焼鳥屋に入ってきた新人が同じ学校の同級生で、さらには舞の親友だった。 学校とアルバイト先を巻き込んでもつれる彼らの奇妙な三角関係ははたしてーー ⭐︎毎日朝7時に最新話を投稿します。 ⭐︎もしも気に入って頂けたら、ぜひブックマークやいいね、コメントなど頂けるととても励みになります。 ※表紙絵、挿絵はAI作成です。 ※この作品はフィクションであり、作中に登場する人物、団体等は全て架空です。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

鷹鷲高校執事科

三石成
青春
経済社会が崩壊した後に、貴族制度が生まれた近未来。 東京都内に広大な敷地を持つ全寮制の鷹鷲高校には、貴族の子息が所属する帝王科と、そんな貴族に仕える、優秀な執事を育成するための執事科が設立されている。 物語の中心となるのは、鷹鷲高校男子部の三年生。 各々に悩みや望みを抱えた彼らは、高校三年生という貴重な一年間で、学校の行事や事件を通して、生涯の主人と執事を見つけていく。 表紙イラスト:燈実 黙(@off_the_lamp)

処理中です...