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第3章 最強無敵の英雄譚 ~ロデンブルグ防衛戦~
2. 王国特級任務依頼
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2. 王国特級任務依頼
私がルーベット隊長と話してから翌日。私とアティはギルドで請け負った依頼を遂行していた。
「うぅ~……むぎぃ~……はぁ……はぁ」
「あの大丈夫ですかエルンさん?」
「ダメ!無理!これ重すぎる!」
私は今、大量の鉱石が入った袋を換金所へ運んでいる。今回の依頼は鉱石商の換金依頼なんだけど……これがまた重いんだよ!私みたいなか弱い美少女には荷が重い。
「あの……少し持ちますか?」
アティは私が運んでいる鉱石の袋のおよそ3倍くらいの量を風呂敷を背負うように軽々と持ち上げていた。……何それ?魔法?というかまだ持てるのアティは。どんだけ力あるんだこの子は?しかもまだ平気です見たいな顔してるし。
私はそれを見て慌てて首を横に振る。
「……ううん。大丈夫私頑張る」
そんな事したら私のプライドがズタボロになるからね!?
大体こんな力仕事はあのおじさんがやればいいのに!依頼を決めたあと、『オレとミーユは魔物討伐か。まぁどこかの最強無敵じゃ魔物を倒せんからな』とか言ってニヤニヤしながらさっさと行っちゃうし!
確かにブレイドさんの言う通りだけどさ。もっとこう……ねぇ?女の子の扱い方があると思うよ私は。
そんな文句を言いつつも換金の依頼を完遂して報酬を受け取った。鉱石商のおじさんはすごく喜んでいてアティに名前を聞いていた。今度から指名させて欲しいって言われてたけど……まぁ分からないでもない。アティ1人で大人の男3人分運べるんだから。
「えへへ。お得意様になっちゃいましたね」
「うん。でも指名依頼は報酬も増えるから良かったね」
「やっぱり人助けをするのは嬉しいものです。私の頑張りであんなに喜んでくれるんですから」
アティは笑顔で言う。それはそうだよね。お金のためだけに働いてるわけじゃないもんね。ギルド冒険者の理想は人それぞれ違うと思うし。ただ思うことはアティが私のパーティーに加入してくれて良かったということだ。
そしてそのままギルドに戻り依頼の完了報告をしようと中に入ると、依頼の掲示板の前に人が集まっており騒がしい。何かあったのかな?すると受付にいるルナレットさんが話かけてくる。
「あっエルンちゃん」
「ルナレットさん。鉱石商の換金の依頼完了しました。ところで騒がしいですけど何かあったんですか?」
「……エルンちゃんたちのパーティーに騎士団から正式に王国特級任務依頼が来たの」
「えっ?」
そう言えばなんとなく周りの冒険者たちの目が私に向いているような……とりあえず私は内容を確認する。北のロデンブルグの魔物討伐及び調査と防衛。昨日ルーベット隊長が言っていた通りか。それにしても本当に来るとは……
「いやぁ~私も有名になりましたよね。この最強無敵のギルド冒険者美少女に声がかかるなんて!」
そんな私の様子とは裏腹にルナレットさんは、なぜか乗り気じゃない。いつもなら『すごいわね!エルンちゃん頑張ってるもんね!』とか言ってくれるんだけどな……?
「あれ?ルナレットさん?」
「エルンちゃん」
「はい?」
「この依頼は受けないほうがいいと思う」
ルナレットさんは真面目な顔で私に言った。その表情は真剣そのもので冗談を言っているような感じではなかった。
「王国特級任務は本当に危険だから。成功しても報酬が多いわけじゃないし、ほとんど名声のために受けるようなものなの。もちろんエルンちゃんに指名が入ったのは嬉しいけど、私はやめておいたほうがいいと思う」
ルナレットさんはそう言って私を見つめる。その瞳はとても強く真っ直ぐだった。それと同時に悲しそうな目をしていた。
「そこまでルナレットさんが言うなら……でも返事はまだ先ですよね?少し考えてみます。ありがとうルナレットさん」
「エルンちゃん……」
この後、とりあえずもう一つの依頼をアティとこなして解散になった。辺りはもう日が暮れていた。そして帰り道。私はギルドでの事を考えながら家に帰ることにする。
あそこまでルナレットさんが私を止めるとは思わなかった。私を心配してくれているんだろう。おそらくこの依頼を受ければ私の命が危なくなる可能性がある。だからこそルナレットさんは止めたいんだろう。でも……
そんなことを考えていると私の家の前に誰かが見える。それは遠くからでも分かる、昨日の青い髪とは違い、今日はいつもギルドで見慣れた赤い髪の女性だった。
「あれ?ルナレットさん?」
「あっエルンちゃん。お仕事お疲れ様」
「どうしたんですか?私の家に来るなんて……というか私の家が良く分かりましたね?」
「ごめん。ちょっと職権乱用しちゃった。」
「えぇ!?それって大丈夫なんですか!?」
「ううん。本当はダメ。でもどうしてもエルンちゃんと話したかったの。中にいれてくれる?」
「はい。もちろんです。散らかっていますけど」
私はこうしてルナレットさんを家に入れることにした。話って一体なんだろう?……思い当たる節がないけどな。たぶん。
私がルーベット隊長と話してから翌日。私とアティはギルドで請け負った依頼を遂行していた。
「うぅ~……むぎぃ~……はぁ……はぁ」
「あの大丈夫ですかエルンさん?」
「ダメ!無理!これ重すぎる!」
私は今、大量の鉱石が入った袋を換金所へ運んでいる。今回の依頼は鉱石商の換金依頼なんだけど……これがまた重いんだよ!私みたいなか弱い美少女には荷が重い。
「あの……少し持ちますか?」
アティは私が運んでいる鉱石の袋のおよそ3倍くらいの量を風呂敷を背負うように軽々と持ち上げていた。……何それ?魔法?というかまだ持てるのアティは。どんだけ力あるんだこの子は?しかもまだ平気です見たいな顔してるし。
私はそれを見て慌てて首を横に振る。
「……ううん。大丈夫私頑張る」
そんな事したら私のプライドがズタボロになるからね!?
大体こんな力仕事はあのおじさんがやればいいのに!依頼を決めたあと、『オレとミーユは魔物討伐か。まぁどこかの最強無敵じゃ魔物を倒せんからな』とか言ってニヤニヤしながらさっさと行っちゃうし!
確かにブレイドさんの言う通りだけどさ。もっとこう……ねぇ?女の子の扱い方があると思うよ私は。
そんな文句を言いつつも換金の依頼を完遂して報酬を受け取った。鉱石商のおじさんはすごく喜んでいてアティに名前を聞いていた。今度から指名させて欲しいって言われてたけど……まぁ分からないでもない。アティ1人で大人の男3人分運べるんだから。
「えへへ。お得意様になっちゃいましたね」
「うん。でも指名依頼は報酬も増えるから良かったね」
「やっぱり人助けをするのは嬉しいものです。私の頑張りであんなに喜んでくれるんですから」
アティは笑顔で言う。それはそうだよね。お金のためだけに働いてるわけじゃないもんね。ギルド冒険者の理想は人それぞれ違うと思うし。ただ思うことはアティが私のパーティーに加入してくれて良かったということだ。
そしてそのままギルドに戻り依頼の完了報告をしようと中に入ると、依頼の掲示板の前に人が集まっており騒がしい。何かあったのかな?すると受付にいるルナレットさんが話かけてくる。
「あっエルンちゃん」
「ルナレットさん。鉱石商の換金の依頼完了しました。ところで騒がしいですけど何かあったんですか?」
「……エルンちゃんたちのパーティーに騎士団から正式に王国特級任務依頼が来たの」
「えっ?」
そう言えばなんとなく周りの冒険者たちの目が私に向いているような……とりあえず私は内容を確認する。北のロデンブルグの魔物討伐及び調査と防衛。昨日ルーベット隊長が言っていた通りか。それにしても本当に来るとは……
「いやぁ~私も有名になりましたよね。この最強無敵のギルド冒険者美少女に声がかかるなんて!」
そんな私の様子とは裏腹にルナレットさんは、なぜか乗り気じゃない。いつもなら『すごいわね!エルンちゃん頑張ってるもんね!』とか言ってくれるんだけどな……?
「あれ?ルナレットさん?」
「エルンちゃん」
「はい?」
「この依頼は受けないほうがいいと思う」
ルナレットさんは真面目な顔で私に言った。その表情は真剣そのもので冗談を言っているような感じではなかった。
「王国特級任務は本当に危険だから。成功しても報酬が多いわけじゃないし、ほとんど名声のために受けるようなものなの。もちろんエルンちゃんに指名が入ったのは嬉しいけど、私はやめておいたほうがいいと思う」
ルナレットさんはそう言って私を見つめる。その瞳はとても強く真っ直ぐだった。それと同時に悲しそうな目をしていた。
「そこまでルナレットさんが言うなら……でも返事はまだ先ですよね?少し考えてみます。ありがとうルナレットさん」
「エルンちゃん……」
この後、とりあえずもう一つの依頼をアティとこなして解散になった。辺りはもう日が暮れていた。そして帰り道。私はギルドでの事を考えながら家に帰ることにする。
あそこまでルナレットさんが私を止めるとは思わなかった。私を心配してくれているんだろう。おそらくこの依頼を受ければ私の命が危なくなる可能性がある。だからこそルナレットさんは止めたいんだろう。でも……
そんなことを考えていると私の家の前に誰かが見える。それは遠くからでも分かる、昨日の青い髪とは違い、今日はいつもギルドで見慣れた赤い髪の女性だった。
「あれ?ルナレットさん?」
「あっエルンちゃん。お仕事お疲れ様」
「どうしたんですか?私の家に来るなんて……というか私の家が良く分かりましたね?」
「ごめん。ちょっと職権乱用しちゃった。」
「えぇ!?それって大丈夫なんですか!?」
「ううん。本当はダメ。でもどうしてもエルンちゃんと話したかったの。中にいれてくれる?」
「はい。もちろんです。散らかっていますけど」
私はこうしてルナレットさんを家に入れることにした。話って一体なんだろう?……思い当たる節がないけどな。たぶん。
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