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第1章 聖魔法?そんなの知らないのです!

24. 清廉

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24. 清廉


 私は扉の前に立って耳を当てるのです。うん、特に何も聞こえませんね。一応聖女としての礼儀を忘れず、ノックしてみることにするです。コンコンっと。……返事が無いのです

 そして一呼吸おいて、大きく深呼吸をして私はその扉を勢いよく開ける事にするのです!

 勢い良く開かれる扉。するとその部屋は禍々しい気で埋め尽くされている。それは部屋の奥にあるあの人形から発せられている。あれが悪魔の依代という魔道具で間違いないのですね。

 その人形の前に1人の男性が立っている。おそらく彼がクリスフォード=マールウッド様なのですね。

「ミルディ下がっているのです。ロゼッタ様ミルディをお願いしますです!」

「アリーゼ!?」

 私はそういうと2人の前に立つ。禍々しい気が私を包み込むが、私は事前に純銀の聖水を振りかけているので少しの間は取り憑かれることはないのです。

「なんだお前は?まさかオレの前に出てくるとはな。悪魔に魅入られた愚か者か?オレが切り刻んでやる!」

「それはこっちのセリフなのです!私はただの聖女なのです!」

「聖女?ああやはり……悪魔に魅入られた愚か者かぁ!!」

 そう言いながら剣を抜いて構えていますね。しかも情緒が不安定で完全に自我を失っているのです。とても危険なのです。私は純銀の聖水を悪魔の依代に振りかけるチャンスを伺う。しかしその間にもクリスフォードはどんどん距離を詰めてくるのです。

「まずはその腕からもらうぞぉ!」

 よく相手を見るのです。本に書いてあった通りにすれば必ず……そしてクリスフォードは剣を振り抜く。私はギリギリでその攻撃をかわすのです!

「避けられるのです!」

 相手の攻撃をかわす方法は本に書いてあったのです。成功なのです。でも油断してはダメなのです。聖魔法がなくても私が必ず悪魔祓いをして見せるのです。

「オラァッ!」

 今度は横薙ぎの攻撃ですね。さっきより攻撃速度が速いけど何とか見えているのです。これなら大丈夫なはずなのです。

 私は横にステップを踏みながら後ろに下がる。その時足下に違和感を感じたのです。床をよく見ると小さな穴が空いているのです。

「!!これなのです。」

 私は何とかここに誘導するように挑発をする。大丈夫。これも本に書いてあったのです。

「ちょこまかと……」

「ふぅ。あくびが出るほどの遅さなのです。そろそろ本気で来たほうがいいのですよ?私の本気なら簡単に倒せるのです!」

 さらに挑発する。そして足元の小さな穴まであと一歩。かかったのです!これでチェックメイトなのです! 私は素早く純銀の聖水をかける。

「グワアアアッ!!!やめてくれぇえええっ!!」

 よし効いてるのです!あとはあの人形を。このまま浄化を続けるのです! その瞬間部屋の空気が変わったのです。まるで地獄の底にいるような息苦しさと寒気に思わず膝をつく。

 何が起きたのですか!? クリスフォードを見ると、先程までの狂気に満ちた表情ではなく、苦悶の表情を浮かべて苦しみ始めたのです。

 するとどこからか声が聞こえてきたのです。

【我を滅ぼそうとする者よ、この男より動きやすそうだ。貴様の身体をよこせ……】

 これは悪魔の依代の声なのでしょうか?この世のものとは思えないほど恐ろしい声。耳元で囁かれているかのような……。

 私はミルディとロゼッタ様のほうを見る、どうやら2人には聞こえてないようなのです……私の身体に振り撒いた純銀の聖水の効果が切れ始めているのです……

 私は震えながらも答える。

「わ……たしは……聖女な……のです。負けません!」

 する同時に私の身体から光が放たれる。その光はこの部屋の禍々しい気だけではなく悪魔の依代である人形までもを浄化する。そして私はその場で気を失ってしまった。

「アリーゼ!!」

「今のは……間違いなく聖魔法なのじゃ。「聖痕」のないアリーゼがなぜ……?」

 それは間違いなく聖魔法であった。アリーゼが放ったのはかなり強力なものである。ロゼッタは今まで聖女と言われていた者の聖魔法は見てはいたが、ここまで強力で清廉なものは久しぶりに見る。まるでそれはあの大聖女ディアナを彷彿とさせるほどの威力の聖魔法であった……。
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