『フェアリーテイル』へようこそ!~最強美人の毒舌(?)ギルド受付嬢のパーフェクトマニュアル~ギルド冒険者を指南します!

夕姫

文字の大きさ
上 下
29 / 51
第5章 探し人はギルド受付嬢のお姉ちゃん?

1. 探し人

しおりを挟む
1. 探し人



 ギルド『フェアリーテイル』を設立して2ヶ月が過ぎた。この間は、メルさんのアイテム屋でリリスさんがスキルで調合した『リリスポーション』が評判を呼び、かなりの数の人が買いに来てくれた。

 今ではメルさんのアイテム屋の看板商品になりつつある。メルさんも凄く喜んでいたし、ほぼ毎週のようにメルさんから調合の依頼として大量の注文が入るようになった。本当に力になれて良かったよな。

 今は、朝早くから頼まれていたリリスポーションをメルさんのアイテム屋に納品している。

「メルさん。これ、頼まれていたポーションです」

「いつもありがとうございます」

「いえいえ。大繁盛みたいですね。」

「はい。おかげ様で。あのいつも大量に注文してしまってリリスさんの業務に支障はありませんでしょうか?」

「大丈夫ですよ。リリスさんは……その……何でもできるので」

 そう。リリスさんはいつも暇潰し程度にポーションの調合をやっている。どちらかと言うとあのリリスさんがデフォルメされたシールをポーションの瓶に貼るほうが時間がかかってしまうくらいだ。

「それならいいのですけど……」

「気にしないでください。じゃあまたお願いします」

 オレはメルさんのアイテム屋をあとにする。そしてギルド『フェアリーテイル』に戻り開店の準備をおこなうことにする。

「ただいま戻りました……ん?」

 ギルドの中に入るとリリスさんがある1人の少女と話をしていた。

「リリスさん。その子は?」

「あぁエミルくん。おかえりなさい。実はですね人を探しているらしくて、依頼書をお願いされたんです」

「人探しですか……」

 まぁ、ギルドとして依頼書が受理されるか分からないが、力にはなってあげたいよな。オレは早速その少女に話を聞くことにする。

「初めまして。オレはこのギルド『フェアリーテイル』のマスターのエミルです」

「……はじめまして。どこに頼んだらいいか分からなくて……私はレイアと言います。どうかよろしくお願いします」

 そう言って深く頭を下げるレイアと名乗る少女。年齢は15歳くらいだろうか。身長は150センチくらい。髪は茶髪のボブで茶色の瞳。そして白いローブを着ている。この子は冒険者なのか?

「それでどんな人を探してるのかな?」

「はい。私のお姉ちゃんなんです。この王都でギルド受付嬢をやっているはずなんですけど……なんか辞めてしまったようで、そのあとは家にも連絡がないし消息不明なんです」

「ギルド受付嬢?他のギルドのことは良く分からないけど、お姉さんが働いていたギルドって分かる?」

「はい。確か……ホワイトナイツというギルドだったと思います……」

 は?ホワイトナイツ?それは聞いたことがあるんだが……いや待てよ。この子良く見たらそっくりじゃないか?髪や瞳の色が同じだし……。オレが内心焦っているとリリスさんがレイアに聞いてくれる。

「えっと。レイアちゃん。そのお姉さんの名前は何と言うのですか?」

「ジェシカです」

 やっぱり!?完全に一致したぞ!?しかしなんでジェシカさんは何の連絡もいれてないんだ?

「うーん。そうですか。ちなみにどうして探しているんですか?」

「はい。私、お姉ちゃんに憧れていて、お姉ちゃんの働くギルドで冒険者をやりたいんです。一応、ジョブはクレリックでランクはまだEなんですけど……冒険証は持ってます!」

 そう言ってレイアは懐から冒険証を取り出し見せてくれる。確かにレイアの冒険証だ。でも……どうしたものか。そんな時リリスさんが話す。

「なるほど。事情は分かりました。とりあえず今日はウチの依頼を受けませんか?この『フェアリーテイル』は初級者大歓迎ですから。その間にエミルくんが依頼書の申請をしてくれるみたいなので」

「本当ですか!?ありがとうございます!」

「あのリリスさん……?」

「エミルくん。ちょっといいですか?」

 リリスさんはレイアから少し離れてオレの耳元で話しかけてくる。

「ジェシカちゃんは偶然にも今日は休みです。この事を伝えてきてください。一応ジェシカちゃんからも話を聞いた方がいいと思いますよ?」

「そうですね。でもジェシカさんがどこにいるか分かりませんけど?」

「絶対この前の宿屋にいますよ。ジェシカちゃんは陰キャですから、どうせ部屋にこもって本でも読み漁ってますって。あー。せっかくなのでエミルくんが外に連れ出してあげた方がいいと思いますよ?ジェシカちゃんごときエミルくんレベルの男でも簡単に連れ出せるので問題ないですし、このままじゃ女として終わってますからね」

 なんか小声でオレとジェシカさんに毒を吐いてる気がするが……まぁリリスさんも心配しているようだ。こうしてオレはジェシカさんの元に行くことにするのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

処理中です...