上 下
25 / 51
第4章 アイテム屋を救え!元商人のポーション大作戦!

2. 現状把握

しおりを挟む
2. 現状把握



「こんにちは。おじさん」

「おう来てくれたんだなジェシカ。あとマスターさんも」

「はい。それでオレたちに頼みたいことがあるって聞いたんですけど?」

「そうなんだよ。実は……この通りにある昔からの馴染みのあるアイテム屋があるんだ。今は亡くなって娘さんが経営してるんだが……最近はギルドにアイテム屋が複合されてることが多いだろ?冒険者の数も少なくなって経営が厳しいらしいんだ。そこで商品をいくつか置いてもらって、売り上げに協力して欲しいって頼まれたんだよ。でもオレは素材屋だろ?置いたところでって感じでよ?もしよかったら力を貸してくれないか?」

 なるほど。そういうことか。確かにギルドとアイテム屋が合体した店はよく見かける。ギルドのアイテム屋には回復薬や装備など冒険に必要なものを売っているからわざわざ街のアイテム屋に行かなくても便利だしな。

「でも私もギルドのことは多少詳しいけど販売とかは……あ。そう言えばマスターは元商人だったよね?」

「そうなのかいマスターさん?」

「まぁ一応。力になれるかは分かりませんが、いつもお世話になってますし、もちろん協力します。オレたちの方からお店の方に挨拶に行きますね」

「おう!そうしてくれると助かる。アイテム屋の店主の名前はメルってやつだ。性格は大人しいやつだから頼むな!」

 オレたちは素材屋のおじさんに別れを告げてそのままそのアイテム屋に向かうことにする。しばらく通りを歩くと、一軒のアイテム屋にたどり着く。立地は他の商業施設が立ち並ぶ通りに建っていて、客の入りも問題無さそうだな。オレは早速そのアイテム屋の扉を開ける。

「すいませーん。」

「はーい。あっ素材屋のドミニクさんの紹介のギルド『フェアリーテイル』の方ですか?」

「はい」

 あの素材屋のおじさん、ドミニクって名前なのか。まぁそんなことは置いといて。オレは店内を見渡す。冒険者に必要な道具が一通り揃っている。ポーション類や解毒剤など冒険に欠かせないものから、ランタンやテントなど野営で使うものもある。

「はじめまして。私はこのアイテム屋を経営していますメルです。今日はよろしくお願いしますね」

「こちらこそ。オレはギルド『フェアリーテイル』のマスターのエミルです。こちらはジェシカさん」

「早速ですけど、最近経営が厳しいと聞きましたけど?」

「はい。お恥ずかしながら……複合ギルドとの競争が激しくて……」

「なるほど……」

 複合ギルドのアイテム屋の方が手軽。しかし、回復薬のポーションや状態回復の解毒剤などの基本的なものはあるのだが、それ以外のものがあまりないのが欠点。とはいってもギルド冒険者が必要とするものは8割が回復薬のポーションや状態回復の解毒剤なのも事実。

「ここは代々私の家系で続いてきたのですが、数年前に父が亡くなった時に、父が残してくれた遺産も尽きてしまって。残ったのはこのアイテム屋の経営書だけなんです。でもこれでは……」

「このままではいずれ潰れてしまうと?」

「はい。残念ながらそうなりますね」

 とは言っても、商品の価格帯も問題はない。品揃えの面から考えてもかなりの商品があって、逆に無いものが無いくらいのはずだ。となると品揃えが原因ではなさそうだ。

「ねぇマスター。なんとか出来そう?」

「……明日。1日オレもこのアイテム屋で働いていいですか?」

「あっはい。マスターさんがいいのなら、私は構いませんけど……」

「じゃあ決まりですね」

 まずは現状把握と原因を見つけないとな。こうしてオレはメルさんのアイテム屋で働くことになった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

蒼天のグリモワール 〜最強のプリンセス・エリン〜

雪月風花
ファンタジー
 この世界には、悪魔の書と呼ばれる魔導書が存在する。書は選ばれし者の前に現れ所有者に人智を超えた強大な力を与えるが、同時に破滅をもたらすとも言われている。 遥か五百年の昔。天空の王国・イーシュファルトにおいて、王兄の息子レオンハルトが王国秘蔵の魔導書『蒼天のグリモワール』を盗み出した。強大な力を手にしたレオンハルトは王国に石化の呪いをかけて国を丸ごと石化させると、忽然と姿を消した。こうしてイーシュファルトは地上の人々から忘れ去られ、その歴史から姿を消すこととなった。  そして五百年の後。突如、王国の姫・エリン=イーシュファルトの石化が解ける。レオンハルトへの復讐と王国の再起を誓ったエリンは王国最奥部の秘密の宝物庫に赴き、そこに隠された悪魔の書を手にする。それこそがレオンハルトの持って行った儀式用の写本ではない、悪魔の王が封じられた本物の『蒼天のグリモワール』だったのだ。  王国イチの超絶美少女にして武芸も魔法も超一流、悪魔と契約し、絶大な力を入手したエリンの復讐の旅が今始まる。

護国の鳥

凪子
ファンタジー
異世界×士官学校×サスペンス!! サイクロイド士官学校はエスペラント帝国北西にある、国内最高峰の名門校である。 周囲を海に囲われた孤島を学び舎とするのは、十五歳の選りすぐりの少年達だった。 首席の問題児と呼ばれる美貌の少年ルート、天真爛漫で無邪気な子供フィン、軽薄で余裕綽々のレッド、大貴族の令息ユリシス。 同じ班に編成された彼らは、教官のルベリエや医務官のラグランジュ達と共に、士官候補生としての苛酷な訓練生活を送っていた。 外の世界から厳重に隔離され、治外法権下に置かれているサイクロイドでは、生徒の死すら明るみに出ることはない。 ある日同級生の突然死を目の当たりにし、ユリシスは不審を抱く。 校内に潜む闇と秘められた事実に近づいた四人は、否応なしに事件に巻き込まれていく……!

強すぎ令嬢、無一文からの成り上がり ~ 婚約破棄から始まる楽しい生活 ~

絢乃
ファンタジー
弱小貴族の令嬢シャロンは男爵令息ブルーノと政略結婚する予定にあったが、結婚式を控えたある夜、ブルーノと伯爵令嬢がキスしているところを目撃する。シャロンは気にしていなかったが、ブルーノと伯爵令嬢は口封じのためにシャロンが不貞行為を働いていたとでっちあげる。 こうして無一文の状態で国外追放となったシャロンは、隣国の小さな町に辿り着くと生きていくために行動を開始。着ているドレスを売って安い布きれの服に着替え、余ったお金でナイフを買い、持ち前のサバイバル能力で身銭を稼ごうとする。しかし狩りの最中に巷で有名な山賊兄弟の弟イアンと遭遇してしまう。何の問題もなくイアンを返り討ちにしたシャロンは、イノシシを狩るなどして生活基盤を築く。 そして商売を始めるのだが――。 これは、天真爛漫の強すぎ令嬢シャロンが逆境に負けず楽しく成り上がる物語。

魔術師リュカと孤独の器 〜優しい亡霊を連れた少女〜

平田加津実
ファンタジー
各地を流れ歩く旅芸人のリュカは、訪れた小さな町で、亜麻色の髪をした自分好みの少女アレットを見かける。彼女は中世の貴族のような身なりの若い男と、やせ細った幼女、黒猫の三体の亡霊を連れていた。慌てて彼らを除霊しようとしたリュカは、亡霊たちを「友達だ」と言い張るアレットに面食らう。リュカは、黒猫の亡霊に彼女を助けてほしいと頼まれ、なりゆきで一人暮らしの彼女の家に泊まることに。彼女らの状況をなんとかしようとするリュカは、世間知らずで天然な彼女と、個性的な亡霊たちにふりまわされて……。 「魔術師ロラと秘された記憶」の主人公たちの血を引く青年のお話ですが、前作をお読みでない方でもお楽しみいただけます。

異世界特殊清掃員

村井 彰
ファンタジー
かつて、この世界には魔王がいたという。 世界の全てを手に入れんとした彼の王は、その野望を掴む間際、現れし勇者に打ち倒され、その肉体は滅び去った。 そして、世界に光が戻ったのだ―。 そんな、おとぎ話のような戦いから数百年。 王を失った魔物達は、もはや人間にとって驚異ではなく、かつての魔王城は美しく煌びやかな都となった。 そんな街にやってきた一人の少女。人と魔物が隣り合わせに暮らすこの街で、彼女が選んだ仕事は、街中で命を落とした魔物を、人知れず処理する掃除屋。 すなわち、魔物専門の特殊清掃員だった。

26番目の王子に転生しました。今生こそは健康に大地を駆け回れる身体に成りたいです。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー。男はずっと我慢の人生を歩んできた。先天的なファロー四徴症という心疾患によって、物心つく前に大手術をしなければいけなかった。手術は成功したものの、術後の遺残症や続発症により厳しい運動制限や生活習慣制限を課せられる人生だった。激しい運動どころか、体育の授業すら見学するしかなかった。大好きな犬や猫を飼いたくても、「人獣共通感染症」や怪我が怖くてペットが飼えなかった。その分勉強に打ち込み、色々な資格を散り、知識も蓄えることはできた。それでも、自分が本当に欲しいものは全て諦めなければいいけない人生だった。だが、気が付けば異世界に転生していた。代償のような異世界の人生を思いっきり楽しもうと考えながら7年の月日が過ぎて……

引きこもり転生エルフ、仕方なく旅に出る

Greis
ファンタジー
旧題:引きこもり転生エルフ、強制的に旅に出される ・2021/10/29 第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞 こちらの賞をアルファポリス様から頂く事が出来ました。 実家暮らし、25歳のぽっちゃり会社員の俺は、日ごろの不摂生がたたり、読書中に死亡。転生先は、剣と魔法の世界の一種族、エルフだ。一分一秒も無駄にできない前世に比べると、だいぶのんびりしている今世の生活の方が、自分に合っていた。次第に、兄や姉、友人などが、見分のために外に出ていくのを見送る俺を、心配しだす両親や師匠たち。そしてついに、(強制的に)旅に出ることになりました。 ※のんびり進むので、戦闘に関しては、話数が進んでからになりますので、ご注意ください。

俺と幼女とエクスカリバー

鏡紫郎
ファンタジー
憧れた世界で人をやめ、彼女と出会い、そして俺は初めてあたりまえの恋におちた。 見知らぬ少女を助け死んだ俺こと明石徹(アカシトオル)は、中二病をこじらせ意気揚々と異世界転生を果たしたものの、目覚めるとなんと一本の「剣」になっていた。 最初の持ち主に使いものにならないという理由であっさりと捨てられ、途方に暮れる俺の目の前に現れたのは……なんと幼女!? しかもこの幼女俺を復讐のために使うとか言ってるし、でもでも意思疎通ができるのは彼女だけで……一体この先どうなっちゃうの!? 剣になった少年と無口な幼女の冒険譚、ここに開幕

処理中です...