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第四章 腹黒王子の謀略 <第1話:新入生懇親会>
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<第四章 第1話:新入生懇親会>
九月の最初の金曜日。授業が始まってから三日目。
もっとも、いわゆる本格的な授業は、まだない。
九月の最初の月曜日は、入学式だった。
翌日の火曜日は、オリエンテーションだ。
その翌日の水曜日は、ホームルームだった。クラスメイトたちの自己紹介の時間だ。
そのホームルームの前に、極悪伯爵令嬢グレースが、大暴れした。クラスメイトを斬首刑に、しようとした。
女性教師が、学園長を呼んできた。
学園長は、皇帝一族だ。帝位継承順位は数十番目、たしか、五十番より下だ。
だが、現皇帝の再従兄弟だ。
領地も領民もない。
若いときから、教育者だった。
権力の及ぶ範囲は、帝国学園だけ。
しかも、その権力は、非常に弱い。
なぜなら、学園長としての権力しかないからだ。
だが、身分を極度に重視するグレースにとっては、皇帝一族の学園長は、絶対的な存在だったようだ。
グレースは、教室での大暴れのあと、学園長室で、懇々と説教された。学園長に。
彼女は、まるで借りてきた猫のように、おとなしかったようだ。
その様子は、誰かに聞いたのではない。
魔法の王冠のテレパシー能力を使い、女性教師の思考を読んだ。教室に戻って来たあと。
水曜日は、自己紹介のホームルームが終わったあと、新入生共通学力テストがあった。
ペーパーテストだ。新入生の客観的な学力を、はかるためだ。
帝国学園の入学試験は、身分ごとに違う。
定員も、身分ごとに決まっている。
一学年の入学定員は、中級貴族は百名だ。
下級貴族は、八百名だ。
平民の入学定員は百名で、五十名は一般入試で、残りの五十名は魔法入試枠だ。
平民の一般入試を突破するのは、超がつくほどの秀才だけだ。
彼らの親は、医者、弁護士、会計士、教師、学者などが中心で、一部には大商人の子女がいる。幼いときから、金に糸目をつけず、英才教育を施してきたパターンだ。
魔法入試枠を突破した者たちも、裕福な家庭の子女ばかりだ。なぜなら、幼いときから、民間の魔法学校に通い、優れた成績を収めてきた者たちばかりだからだ。
なお、上級貴族は定員外で、無試験で入学できる。
さらに、上級貴族は、四名の家臣を、付き人として無試験で入学させることができる。
九月の最初の金曜日、午前中は、授業があった。
授業と言っても、各科目の担当教師の自己紹介と、授業方針の説明が、中心だ。
一時限目は、国語、すなわち、帝国共通語の授業だ。
二時限目は、数学だった。
三時限目は社会科で、四時限目は魔法の授業だった。
一時限の時間は、四十五分間だ。
九月最初の金曜日の午後は、新入生懇親会だ。
体育館で、開催された。新入生懇親会が。立食パーティー形式で。
新入生全員が、一堂に会するのは、入学式とオリエンテーションに次いで、三回目だ。
とはいえ、入学式とオリエンテーションは、決められた席に着席しているため、多くの新入生と懇親を深めることは、できなかった。
だが今回は、立食パーティー形式のため、自由に懇親を深めることができる。
クマートは、アメリアたち四名の付き人と共に、まずは、王子にあいさつすることにした。
だが、王子へのあいさつは、行列ができていた。
王子の隣には、極悪伯爵令嬢グレースがいた。王子と一緒にいるときのグレースは、おしとやかな感じに振る舞っている。
行列に、並んだ。
すると、前方に並んでいた中下級の貴族たちが、譲ろうとしてくれた。
「オスターラント公、どうぞ、どうぞ」と。
「いや、順番は、守ろう。その心遣い、その気持ちだけ、ありがたくいただこう」
列に並んでいると、前や後ろに並んでいる者たちが、好奇心旺盛な顔で、尋ねてきた。
「ドラゴンを倒したときの武勇伝、お聞かせください」と。
そのときだった。
自慢げに話し始めた。クマートの後ろに割り込んだ少女が。
巨大な少女だ。顔は童顔なのに、体格は、クマートと同じくらいだ。
赤毛のツインテールで、そばかす顔。
「聞きたい? ダーリンが、ドラゴンを倒したときの話しを」
彼女は、サーニャだ。
九月の最初の金曜日。授業が始まってから三日目。
もっとも、いわゆる本格的な授業は、まだない。
九月の最初の月曜日は、入学式だった。
翌日の火曜日は、オリエンテーションだ。
その翌日の水曜日は、ホームルームだった。クラスメイトたちの自己紹介の時間だ。
そのホームルームの前に、極悪伯爵令嬢グレースが、大暴れした。クラスメイトを斬首刑に、しようとした。
女性教師が、学園長を呼んできた。
学園長は、皇帝一族だ。帝位継承順位は数十番目、たしか、五十番より下だ。
だが、現皇帝の再従兄弟だ。
領地も領民もない。
若いときから、教育者だった。
権力の及ぶ範囲は、帝国学園だけ。
しかも、その権力は、非常に弱い。
なぜなら、学園長としての権力しかないからだ。
だが、身分を極度に重視するグレースにとっては、皇帝一族の学園長は、絶対的な存在だったようだ。
グレースは、教室での大暴れのあと、学園長室で、懇々と説教された。学園長に。
彼女は、まるで借りてきた猫のように、おとなしかったようだ。
その様子は、誰かに聞いたのではない。
魔法の王冠のテレパシー能力を使い、女性教師の思考を読んだ。教室に戻って来たあと。
水曜日は、自己紹介のホームルームが終わったあと、新入生共通学力テストがあった。
ペーパーテストだ。新入生の客観的な学力を、はかるためだ。
帝国学園の入学試験は、身分ごとに違う。
定員も、身分ごとに決まっている。
一学年の入学定員は、中級貴族は百名だ。
下級貴族は、八百名だ。
平民の入学定員は百名で、五十名は一般入試で、残りの五十名は魔法入試枠だ。
平民の一般入試を突破するのは、超がつくほどの秀才だけだ。
彼らの親は、医者、弁護士、会計士、教師、学者などが中心で、一部には大商人の子女がいる。幼いときから、金に糸目をつけず、英才教育を施してきたパターンだ。
魔法入試枠を突破した者たちも、裕福な家庭の子女ばかりだ。なぜなら、幼いときから、民間の魔法学校に通い、優れた成績を収めてきた者たちばかりだからだ。
なお、上級貴族は定員外で、無試験で入学できる。
さらに、上級貴族は、四名の家臣を、付き人として無試験で入学させることができる。
九月の最初の金曜日、午前中は、授業があった。
授業と言っても、各科目の担当教師の自己紹介と、授業方針の説明が、中心だ。
一時限目は、国語、すなわち、帝国共通語の授業だ。
二時限目は、数学だった。
三時限目は社会科で、四時限目は魔法の授業だった。
一時限の時間は、四十五分間だ。
九月最初の金曜日の午後は、新入生懇親会だ。
体育館で、開催された。新入生懇親会が。立食パーティー形式で。
新入生全員が、一堂に会するのは、入学式とオリエンテーションに次いで、三回目だ。
とはいえ、入学式とオリエンテーションは、決められた席に着席しているため、多くの新入生と懇親を深めることは、できなかった。
だが今回は、立食パーティー形式のため、自由に懇親を深めることができる。
クマートは、アメリアたち四名の付き人と共に、まずは、王子にあいさつすることにした。
だが、王子へのあいさつは、行列ができていた。
王子の隣には、極悪伯爵令嬢グレースがいた。王子と一緒にいるときのグレースは、おしとやかな感じに振る舞っている。
行列に、並んだ。
すると、前方に並んでいた中下級の貴族たちが、譲ろうとしてくれた。
「オスターラント公、どうぞ、どうぞ」と。
「いや、順番は、守ろう。その心遣い、その気持ちだけ、ありがたくいただこう」
列に並んでいると、前や後ろに並んでいる者たちが、好奇心旺盛な顔で、尋ねてきた。
「ドラゴンを倒したときの武勇伝、お聞かせください」と。
そのときだった。
自慢げに話し始めた。クマートの後ろに割り込んだ少女が。
巨大な少女だ。顔は童顔なのに、体格は、クマートと同じくらいだ。
赤毛のツインテールで、そばかす顔。
「聞きたい? ダーリンが、ドラゴンを倒したときの話しを」
彼女は、サーニャだ。
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