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第二話 変人の烙印は絶対阻止!
全方位に迷惑かけやがって
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◇ ◇ ◇
「――なるほど、そういう経緯でしたか」
夕方、百谷家のリビングで俺の話を聞いた百谷芦太郎先生――ケイロの兄ではなく部下のアシュナムさんが、深いため息を吐き出す。そしてソファーの端へ座る俺から大きく離れた隣に座るケイロを、険しい顔で睨みつけた。
「殿下……いくらなんでもあんまりです……太智君の人生が滅茶苦茶じゃないですか!」
やっぱり酷い内容なんだなあ……お付きの人が良心的で、ちょっと心が救われる。
半分死んだ目になりながら事の成り行きを見守っていると、ケイロは脚と腕を組みながら不敵に笑う。
「ちょうど良かったではないか。前々からこっちの世界の人間で協力者を作りたいと考えていたところだし、お前たちは俺にそろそろ結婚しろと迫っていたし……問題が一気に解決したな」
「もっと慎重に事を運んで下さい! あと、どちらも誰でも良い訳じゃありません! 特に妃選びは本国に候補の者が多数控えているというのに……」
「勘違いとはいえ、太智は既に俺たちの異質さに気づいて観察していたんだ。家も隣。協力者として巻き込むには悪くないと思うが? あと俺に反発する気概のない奴らを娶る気は一切ないぞ。つまらん」
「協力者の件はまだ分かるとして、結婚をつまらないかどうかで判断しないで下さい! 殿下のお立場を考えれば、異世界の同性を選ぶなどあってはならぬこと。陛下や重臣たちも一報を聞き、憤っております」
「勝手に怒らせていろ。もう色々と済ませてしまったからなあ、太智?」
ケイロが流し目を俺に送ってきて、思わず体がぞくりとする。
人のこと無視して、あれこれ好き勝手しやがって……横で話聞いてたら、俺だけじゃなくて全方位に迷惑かけまくってるじゃねーか。
思わず睨みつけて溜まった鬱憤をケイロにぶつける。
「俺は認めてないからな?! お前以外、誰も納得してねぇし……こんな傍若無人のワガママ人間が王子だなんて、お前の国のみなさんに本気で同情するわ。このアホ王子が……っ」
「その阿呆に散々啼かされて悦んでいたのは誰だろうな?」
おもむろに俺へ体を向けて、ケイロが身を乗り出してくる。少し距離が近づいただけで俺の体がビクッと跳ねて腰の奥が疼き出す。
「ち、近づくなぁ……っ! ぅぅ……こんなおかしな体にしやがって……責任取って元に戻せよぉぉ……」
「――なるほど、そういう経緯でしたか」
夕方、百谷家のリビングで俺の話を聞いた百谷芦太郎先生――ケイロの兄ではなく部下のアシュナムさんが、深いため息を吐き出す。そしてソファーの端へ座る俺から大きく離れた隣に座るケイロを、険しい顔で睨みつけた。
「殿下……いくらなんでもあんまりです……太智君の人生が滅茶苦茶じゃないですか!」
やっぱり酷い内容なんだなあ……お付きの人が良心的で、ちょっと心が救われる。
半分死んだ目になりながら事の成り行きを見守っていると、ケイロは脚と腕を組みながら不敵に笑う。
「ちょうど良かったではないか。前々からこっちの世界の人間で協力者を作りたいと考えていたところだし、お前たちは俺にそろそろ結婚しろと迫っていたし……問題が一気に解決したな」
「もっと慎重に事を運んで下さい! あと、どちらも誰でも良い訳じゃありません! 特に妃選びは本国に候補の者が多数控えているというのに……」
「勘違いとはいえ、太智は既に俺たちの異質さに気づいて観察していたんだ。家も隣。協力者として巻き込むには悪くないと思うが? あと俺に反発する気概のない奴らを娶る気は一切ないぞ。つまらん」
「協力者の件はまだ分かるとして、結婚をつまらないかどうかで判断しないで下さい! 殿下のお立場を考えれば、異世界の同性を選ぶなどあってはならぬこと。陛下や重臣たちも一報を聞き、憤っております」
「勝手に怒らせていろ。もう色々と済ませてしまったからなあ、太智?」
ケイロが流し目を俺に送ってきて、思わず体がぞくりとする。
人のこと無視して、あれこれ好き勝手しやがって……横で話聞いてたら、俺だけじゃなくて全方位に迷惑かけまくってるじゃねーか。
思わず睨みつけて溜まった鬱憤をケイロにぶつける。
「俺は認めてないからな?! お前以外、誰も納得してねぇし……こんな傍若無人のワガママ人間が王子だなんて、お前の国のみなさんに本気で同情するわ。このアホ王子が……っ」
「その阿呆に散々啼かされて悦んでいたのは誰だろうな?」
おもむろに俺へ体を向けて、ケイロが身を乗り出してくる。少し距離が近づいただけで俺の体がビクッと跳ねて腰の奥が疼き出す。
「ち、近づくなぁ……っ! ぅぅ……こんなおかしな体にしやがって……責任取って元に戻せよぉぉ……」
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