上 下
44 / 98
四章 嫌われ将軍と嫌われ邪竜

●こんなに感じやすい方だったとは

しおりを挟む
 エリクから刺激を与えられるほどに、ガイは体の奥に熱と疼きを溜め込んでいく。それと同時に胸にこそばゆさと、ほんの少しの微痛を覚える。

 長々と翻弄されていたせいか、唇が寂しい。
 思った瞬間にガイはエリクの顔に触れ、顎を上げさせる。

 目を合わせた途端、望みを察したようにエリクがキスを届けてくれる。
 舌を絡められると息がままならず、鼓動も騒ぎ出して苦しくなるのに、ガイはそこに悦びを見出していく。

 そういえば、と前に交わしたキスを思い出す。
 自分から動けばより体が悦ぶ――離れかけたエリクの唇を追い、しがみつくように自ら舌を絡ませれば、頭の中が白く点滅し、下半身の疼きが小さく弾けた。

「……んンッ……ぁ……」

 唐突に体が脱力し、ガイは動きを止めてしまう。
 エリクが上体を起こしてキスを切り上げると、ハァ、ハァ、と息を整えるガイを見下ろす。

 思考が働かない。頭がぼんやりする……何が起きたんだ?
 未知の感覚にガイが戸惑っていると、エリクが妖しく微笑んだ。

「キスだけで軽く達してしまわれるなんて……こんなにガイ様が感じやすい方だったとは」

「……軽く、達し……?」

「ほら、ここ……濡れてますよ」

 エリクが下着の上から、ガイの昂りを柔らかく掴んでくる。

 くちゃ、と。
 親指でガイの先端が弄られる。濡れた感触と共に、甘くも鋭い痺れがガイの中を貫いた。

「あぁ……ッ、エ、エリク、そこは……っ」

「まだ硬いままで、満足できていませんね……大丈夫。私が楽にして差し上げますから」

 言いながらエリクはガイの下着を脱がし、露わになった熱の塊を握り込んでくる。

 そうしてゆっくりと上下に扱かれていくと、思わずガイは首を振り、次々と己の中から生まれてしまう甘やかな痺れに身悶えた。

「う……っ、くぅ……ア……ッ……」

 ここが昂ってしまった時、自分で抜くことはあった。が、こんなに訳が分からなくなるほどの感覚にはならなかった。

 ここ数年は昂ぶることもなく、自ら慰めることも遠くなっていたというのに。
 前に覚えた感覚を思い出し、今と比べてあまりに違いすぎることにガイは圧倒されていく。

 急激に腰の奥から先端へと迫り上がってくる熱と疼きに、ガイの意識がすべて向いてしまう。

 早く放ちたくてたまらない。
 その思いにガイが支配された刹那、エリクの顔が視界から消える。

 次の瞬間、今にも弾けそうな先端に熱が被さり、ぺろりと舐められる気配がした。

「……っ!? エリク、それは口にするものでは……あァ……ッ」

 エリクが昂りきったガイのものを手で扱きながら、口に含み、舌も這わせて慰めにかかる。

 唾液が滴り落ちて滑りが良くなったエリクの手が、速さを上げていく。
 軽く何度か吸われてしまえば、もうガイの体は堪えることはできなかった。

「あ、ぁぁ……っ……だ、駄目だ、でる……ああッッ」

 ガイが込み上げたものを放つ瞬間、エリクは口を離すどころか深く咥え込む。

 そうして体から抜け出してしまった熱と疼きの素を、ごくり、と飲み込んでしまった。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

どうやら俺は悪役令息らしい🤔

osero
BL
俺は第2王子のことが好きで、嫉妬から編入生をいじめている悪役令息らしい。 でもぶっちゃけ俺、第2王子のこと知らないんだよなー

社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈

めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。 しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈ 記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。 しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。 異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆! 推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!

成長を見守っていた王子様が結婚するので大人になったなとしみじみしていたら結婚相手が自分だった

みたこ
BL
年の離れた友人として接していた王子様となぜか結婚することになったおじさんの話です。

もう人気者とは付き合っていられません

花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。 モテるのは当然だ。でも――。 『たまには二人だけで過ごしたい』 そう願うのは、贅沢なのだろうか。 いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。 「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。 ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。 生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。 ※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中

転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!

めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。 ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。 兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。 義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!? このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。 ※タイトル変更(2024/11/27)

君のことなんてもう知らない

ぽぽ
BL
早乙女琥珀は幼馴染の佐伯慶也に毎日のように告白しては振られてしまう。 告白をOKする素振りも見せず、軽く琥珀をあしらう慶也に憤りを覚えていた。 だがある日、琥珀は記憶喪失になってしまい、慶也の記憶を失ってしまう。 今まで自分のことをあしらってきた慶也のことを忘れて、他の人と恋を始めようとするが… 「お前なんて知らないから」

BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください

わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。 まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!? 悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。

初心者オメガは執着アルファの腕のなか

深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。 オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。 オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。 穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。

処理中です...