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十話 至高への一歩
●初々しくて
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「来たか二人とも。少し遅かったな」
体を起こしながら華侯焔が話しかけると、才明がいつもの調子で答える。
「英正が緊張していたようなので、色々と話を……我々と違って、純朴で真面目なお人柄ですから」
「お前と一緒にするなよ。俺も大概、一途で真面目なんだぞ」
「真面目な方は率先して、三人同時にやろうなんて言い出しませんよ」
既に俺との情事を一緒に重ねたことのある才明は、華侯焔に言い返しながら寝台に近づいてくる。現実で対面してしまったというのに、動揺も緊張もまったく見られない。
一瞬、快楽に浸り切って身体を弛緩させた俺と才明の視線が合う。
かすかに浮かんだ笑みから、「断れなくてすみません」という声が聞こえた気がした。
才明とは反対に、英正は見るからに表情が硬い。まったく緊張が解れていない。むしろ情事を始めてしまった俺たちを目の当たりにして、突きつけられた現実に抵抗を覚えてしまっているようにも見える。
この淫らな場で一人だけ、空気に馴染めていない者。
どうにかしたほうがいいなと言いたげに、華侯焔と才明は小さく頷き合う。
「おい英正、こっちに来い。誠人様の中をしっかりと解して差し上げろ」
華侯焔の指示に英正の肩が跳ね、目が泳ぎ出す。
動揺がすごい。元の性格もあるが、名付けられてこの世界に意思を持った存在となってから、俺との情事だけしか知らない。閨での経験も知識も、華侯焔たちに比べて遥かに乏しい。
そんな英正を見ていると、同情や申し訳なさとは違う感情が俺の中に芽生えてくる。
初めて身体を重ねた時のことが脳裏によぎり、俺の唇が綻んだ。
「英正……おいで」
俺は腕を伸ばし、英正に向けてこっちに来るよう指を動かす。
小さな子を呼ぶような言動など、英正を相手に普段なら絶対にやらないことだ。しかし、初々しさの固まりな英正が可愛く思えてしまい、自然と呼びかけていた。
どんな言い方でも、領主である俺の命には変わらない。
ぎこちない動きで英正も俺の元までやってくる。
華侯焔が俺から退き、入れ替わりで英正が俺に被さるように覗き込む。
「誠人様、あの……」
「いつものようにすればいい。俺のために仕えているんだ、できる限り応えたい」
英正の頬に手を添え、顔を寄せるように促してやる。
おずおずと身を乗り出して近づいてきた唇を、俺は頭をわずかに起こして自ら迎えにいく。
柔らかな感触が広がった瞬間、快楽に貪欲になってしまった俺の身体に甘い痺れが走り抜けていく。
唇を重ねながら感じ入った息を溢せば、その気配に歓喜したように英正が俺の口内に舌を差し込み、ねっとりと動かして味わい出す。
英正は始めこそ緊張で固いが、一度火がつくと遠慮がなくなる。
執拗に俺の口を舐りながら、火照った身体に手を這わせ、華侯焔と才明が見ている中でも構わずに愛そうとしてくる。
体を起こしながら華侯焔が話しかけると、才明がいつもの調子で答える。
「英正が緊張していたようなので、色々と話を……我々と違って、純朴で真面目なお人柄ですから」
「お前と一緒にするなよ。俺も大概、一途で真面目なんだぞ」
「真面目な方は率先して、三人同時にやろうなんて言い出しませんよ」
既に俺との情事を一緒に重ねたことのある才明は、華侯焔に言い返しながら寝台に近づいてくる。現実で対面してしまったというのに、動揺も緊張もまったく見られない。
一瞬、快楽に浸り切って身体を弛緩させた俺と才明の視線が合う。
かすかに浮かんだ笑みから、「断れなくてすみません」という声が聞こえた気がした。
才明とは反対に、英正は見るからに表情が硬い。まったく緊張が解れていない。むしろ情事を始めてしまった俺たちを目の当たりにして、突きつけられた現実に抵抗を覚えてしまっているようにも見える。
この淫らな場で一人だけ、空気に馴染めていない者。
どうにかしたほうがいいなと言いたげに、華侯焔と才明は小さく頷き合う。
「おい英正、こっちに来い。誠人様の中をしっかりと解して差し上げろ」
華侯焔の指示に英正の肩が跳ね、目が泳ぎ出す。
動揺がすごい。元の性格もあるが、名付けられてこの世界に意思を持った存在となってから、俺との情事だけしか知らない。閨での経験も知識も、華侯焔たちに比べて遥かに乏しい。
そんな英正を見ていると、同情や申し訳なさとは違う感情が俺の中に芽生えてくる。
初めて身体を重ねた時のことが脳裏によぎり、俺の唇が綻んだ。
「英正……おいで」
俺は腕を伸ばし、英正に向けてこっちに来るよう指を動かす。
小さな子を呼ぶような言動など、英正を相手に普段なら絶対にやらないことだ。しかし、初々しさの固まりな英正が可愛く思えてしまい、自然と呼びかけていた。
どんな言い方でも、領主である俺の命には変わらない。
ぎこちない動きで英正も俺の元までやってくる。
華侯焔が俺から退き、入れ替わりで英正が俺に被さるように覗き込む。
「誠人様、あの……」
「いつものようにすればいい。俺のために仕えているんだ、できる限り応えたい」
英正の頬に手を添え、顔を寄せるように促してやる。
おずおずと身を乗り出して近づいてきた唇を、俺は頭をわずかに起こして自ら迎えにいく。
柔らかな感触が広がった瞬間、快楽に貪欲になってしまった俺の身体に甘い痺れが走り抜けていく。
唇を重ねながら感じ入った息を溢せば、その気配に歓喜したように英正が俺の口内に舌を差し込み、ねっとりと動かして味わい出す。
英正は始めこそ緊張で固いが、一度火がつくと遠慮がなくなる。
執拗に俺の口を舐りながら、火照った身体に手を這わせ、華侯焔と才明が見ている中でも構わずに愛そうとしてくる。
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