143 / 345
八話 本当の仲間は誰?
格付け三位
しおりを挟む
◇ ◇ ◇
手合わせで流した汗を浴場で流した後、俺は華候焔たちが話し合っているであろう広間へと向かう。
きっと華候焔と才明が嬉々として案を語って盛り上がり、白澤が全力でブレーキをかけて暴走しないように奮闘しているだろう。
大まかでも案はまとまっただろうかと思いながら、広間の前へ差し掛かりかけた時だった。
「それはやめておけ。ヤツに手を出したら後が大変だ」
「しかし資材の確保は急務。あの弓があれば、あちらの戦力と肩を並べられるだけの力を得られます。まだ弱小と油断している今が狙い所です」
「太史翔の城を二、三ほど落として、資材を奪えばいいだろ。」
「初回だから大量に奪える可能性を作れるのですよ。一度でもやれば手の内は知られ、狙いにも気づかれる……太史翔程度の領主が持っている資材ではたかが知れています。狙うべきはより大きく、資材を豊富に抱えている所――」
聞こえてきたのは、想像していたよりも反発し合っている声。
一体どうなっているのだろうかと顔を出せば、広間の中央で地図らしきものを囲んで、華候焔たちは議論している最中だった。俺に気づいた途端、彼らは一斉に振り向く。
「良い所に来てくれた! 手堅いのが好きな誠人様なら、俺の意見のほうが良いだろ?」
華候焔がこちらへ来たかと思えば、俺に肩を組んで同意を求めてくる。
話の全貌が分からず俺が困惑していると、才明が肩をすくめながら苦笑した。
「領主様。資材集めの件ですが、戦による資材の確保という点は華候焔殿と同意見なのですが、どこから資材を頂こうかというところで意見が割れております」
俺が地図の近くに座って覗き込むと、才明は指で攻め込む候補の場所を指さす。
「華候焔殿は我が城の近くにある太史翔の城を落とし、資材を集めようと提案しています。しかし私は彼に仕掛けるよりも、南の地に領土を展開している澗宇の城を攻め、資材を奪いたいと考えています」
「澗宇? 初めて聞く名だな。どのような領主なんだ?」
地図を見つめながら尋ねると、隣から白澤がためらいがちに教えてくれた。
「実はですねー……このげぇむに参加している全領主の中で、三位に格付けされている領主ですー」
「三位……格が上ということは、相当に強いのか」
「強いも何も、この城から南側の地はほとんど澗宇の領土ですー。大国なんですー。本気を出したらワタシたちなんて、プチッとやられちゃいますー!」
白澤に涙声で訴えられ、才明の案が余程のことなのだと理解する。
しかも普段は反発し合うのに、白澤は華候焔の隣に並び、一緒になって才明へ言い迫り始めた。
手合わせで流した汗を浴場で流した後、俺は華候焔たちが話し合っているであろう広間へと向かう。
きっと華候焔と才明が嬉々として案を語って盛り上がり、白澤が全力でブレーキをかけて暴走しないように奮闘しているだろう。
大まかでも案はまとまっただろうかと思いながら、広間の前へ差し掛かりかけた時だった。
「それはやめておけ。ヤツに手を出したら後が大変だ」
「しかし資材の確保は急務。あの弓があれば、あちらの戦力と肩を並べられるだけの力を得られます。まだ弱小と油断している今が狙い所です」
「太史翔の城を二、三ほど落として、資材を奪えばいいだろ。」
「初回だから大量に奪える可能性を作れるのですよ。一度でもやれば手の内は知られ、狙いにも気づかれる……太史翔程度の領主が持っている資材ではたかが知れています。狙うべきはより大きく、資材を豊富に抱えている所――」
聞こえてきたのは、想像していたよりも反発し合っている声。
一体どうなっているのだろうかと顔を出せば、広間の中央で地図らしきものを囲んで、華候焔たちは議論している最中だった。俺に気づいた途端、彼らは一斉に振り向く。
「良い所に来てくれた! 手堅いのが好きな誠人様なら、俺の意見のほうが良いだろ?」
華候焔がこちらへ来たかと思えば、俺に肩を組んで同意を求めてくる。
話の全貌が分からず俺が困惑していると、才明が肩をすくめながら苦笑した。
「領主様。資材集めの件ですが、戦による資材の確保という点は華候焔殿と同意見なのですが、どこから資材を頂こうかというところで意見が割れております」
俺が地図の近くに座って覗き込むと、才明は指で攻め込む候補の場所を指さす。
「華候焔殿は我が城の近くにある太史翔の城を落とし、資材を集めようと提案しています。しかし私は彼に仕掛けるよりも、南の地に領土を展開している澗宇の城を攻め、資材を奪いたいと考えています」
「澗宇? 初めて聞く名だな。どのような領主なんだ?」
地図を見つめながら尋ねると、隣から白澤がためらいがちに教えてくれた。
「実はですねー……このげぇむに参加している全領主の中で、三位に格付けされている領主ですー」
「三位……格が上ということは、相当に強いのか」
「強いも何も、この城から南側の地はほとんど澗宇の領土ですー。大国なんですー。本気を出したらワタシたちなんて、プチッとやられちゃいますー!」
白澤に涙声で訴えられ、才明の案が余程のことなのだと理解する。
しかも普段は反発し合うのに、白澤は華候焔の隣に並び、一緒になって才明へ言い迫り始めた。
0
お気に入りに追加
417
あなたにおすすめの小説
そこにワナがあればハマるのが礼儀でしょ!~ビッチ勇者とガチムチ戦士のエロ冒険譚~
天岸 あおい
BL
ビッチ勇者がワザと魔物に捕まってエッチされたがるので、頑張って戦士が庇って大変な目にあうエロコメディ。
※ビッチ勇者×ガチムチ戦士。同じ村に住んでいた幼馴染コンビ。
※魔物×戦士の描写も多め。戦士がエロい災難に遭いまくるお話。
※エッチな描写ありの話は話タイトルの前に印が入ります。勇者×戦士『○』。魔物×戦士『▼』。また勇者視点の時は『※』が入ります。
壁穴奴隷No.19 麻袋の男
猫丸
BL
壁穴奴隷シリーズ・第二弾、壁穴奴隷No.19の男の話。
麻袋で顔を隠して働いていた壁穴奴隷19番、レオが誘拐されてしまった。彼の正体は、実は新王国の第二王子。変態的な性癖を持つ王子を連れ去った犯人の目的は?
シンプルにドS(攻)✕ドM(受※ちょっとビッチ気味)の組合せ。
前編・後編+後日談の全3話
SM系で鞭多めです。ハッピーエンド。
※壁穴奴隷シリーズのNo.18で使えなかった特殊性癖を含む内容です。地雷のある方はキーワードを確認してからお読みください。
※No.18の話と世界観(設定)は一緒で、一部にNo.18の登場人物がでてきますが、No.19からお読みいただいても問題ありません。
小さい頃、近所のお兄さんに赤ちゃんみたいに甘えた事がきっかけで性癖が歪んでしまって困ってる
海野
BL
小さい頃、妹の誕生で赤ちゃん返りをした事のある雄介少年。少年も大人になり青年になった。しかし一般男性の性の興味とは外れ、幼児プレイにしかときめかなくなってしまった。あの時お世話になった「近所のお兄さん」は結婚してしまったし、彼ももう赤ちゃんになれる程可愛い背格好では無い。そんなある日、職場で「お兄さん」に似た雰囲気の人を見つける。いつしか目で追う様になった彼は次第にその人を妄想の材料に使うようになる。ある日の残業中、眠ってしまった雄介は、起こしに来た人物に寝ぼけてママと言って抱きついてしまい…?
小さいエルフの男の娘は♡愛する人を寝取られて♡永遠に生き恥を晒す♡淫紋性奴隷に成り下がってしまう♡
ジャスミンティー
BL
多くのエルフが住む国で、王国の騎士として常に剣を振り、戦いに身を注ぐシャルル。
だが、そんな彼の思いは人間によって踏みにじられていく。
愛する姫を寝取られて、自分の体も騎士としては戦えないような無様な物になる。
エルフの長い寿命を死ぬまで、美しく男の為に生きるマゾ奴隷として生きる事になる。
時代が進んでも、自分の体を人間の…別種族の男達に使われ続けることシャルルの人生は不幸でもあり、幸せでもある。
竜騎士の秘密の訓練所(雌穴調教)
haaaaaaaaa
BL
王都で人気の竜騎士はエリート中のエリート集団だ。リュウトは子供のころからの憧れの竜騎士を目指し、厳しい試験をクリアし、念願の新人として訓練に励む。誰も知らない訓練内容には、ドラゴンに乗るためと言われなぜか毎日浣腸をしないといけない。段々訓練内容は厳しくなり、前立腺を覚えさせられメスイキを強いられる。リュウトはなぜこんな訓練が必要なのか疑問に感じるが、その真相は。
【R18】異世界で傭兵仲間に調教された件
がくん
BL
あらすじ
その背中は──英雄であり、悪党だった。
物分かりのいい人間を演じてきた学生、イズミケントは現実で爆発事故に巻き込まれた。
異世界で放浪していたケントを魔獣から助けたのは悪党面の傭兵マラークだった。
行き場のなかったケントはマラークについていき、新人傭兵として生きていく事を選んだがケントには魔力がなかった。
だがケントにはユニークスキルというものを持っていた。精変換──それは男の精液を取り入れた分だけ魔力に変換するという歪なスキルだった。
憧れた男のように強くなりたいと願ったケントはある日、心を殺してマラークの精液を求めた。
最初は魔力が欲しかっただけなのに──
仲間と性行為を繰り返し、歪んだ支援魔法師として生きるケント。
戦闘の天才と言われる傲慢な男マラーク。
駄犬みたいな後輩だが弓は凄腕のハーヴェイ。
3人の傭兵が日常と性行為を経て、ひとつの小隊へとなっていく物語。
初投稿、BLエロ重視にスポット置いた小説です。耐性のない方は戻って頂ければ。
趣味丸出しですが好みの合う方にはハマるかと思います。
犬用オ●ホ工場~兄アナル凌辱雌穴化計画~
雷音
BL
全12話 本編完結済み
雄っパイ●リ/モブ姦/獣姦/フィスト●ァック/スパンキング/ギ●チン/玩具責め/イ●マ/飲●ー/スカ/搾乳/雄母乳/複数/乳合わせ/リバ/NTR/♡喘ぎ/汚喘ぎ
一文無しとなったオジ兄(陸郎)が金銭目的で実家の工場に忍び込むと、レーン上で後転開脚状態の男が泣き喚きながら●姦されている姿を目撃する。工場の残酷な裏業務を知った陸郎に忍び寄る魔の手。義父や弟から容赦なく責められるR18。甚振られ続ける陸郎は、やがて快楽に溺れていき――。
※闇堕ち、♂♂寄りとなります※
単話ごとのプレイ内容を12本全てに記載致しました。
(登場人物は全員成人済みです)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる