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三話 逃れられぬ世界
●武人の背中
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奥を突かれる度に華候焔の腰が尻肉を叩き、早く達してしまえと急かしてくる。
それに応えるように、俺の体は快楽に火照り、腰の奥をどこまでも熱くしていく。
……たまらない。
ゲームへ入る前の不安も、焦燥感も、華候焔の欲情に散らされて、どこまでも甘い快感だけが俺を包んでいく。そして――。
「あっ、ぁ、ぁぁ、え、焔……っ、アァ……ッ!」
声を抑えることも忘れて俺は夢中で喘ぎ、身の内に膨れ上がる淫楽にすべてを奪われる。
グッ! とひと際強く華候焔が俺の腰を引き寄せ、最奥を貫いた瞬間、溜められた何もかもが弾けた。
「はぁァ――……ッッ! ……っ……ァ……ぁ……」
中が大きく脈打つと同時に、俺の奥深くからせり上がってきたものが外へと放たれる。
昨日の情事よりも大きく与えられてしまった快楽に、意識が持っていかれる。
感覚が浮遊する――そんな俺の最奥を華候焔がさらに細かく小突き、「ふぅ……っ」と欲情を注ぎ込む。
たった一回の情事。
なのに現実で回復したはずの体力が抜け出て、抗えない脱力に呑まれてしまう。
崩れ落ちかけた俺を華候焔が抱き留め、ゆっくりとベッドへ寝かす。
未だ終わらない快楽の浮遊に呆けていると、華候焔の唇が労わるように俺の口へ優しく重なった。
ただの欲情とは違う口付けが、守る術を奪われた俺の心に手を伸ばしてくる。
あまりに優しくて、温かくて、今まで味わったことのない多幸感に思わず感じ入ってしまう。
何度か俺の唇を甘くついばんだ後、華候焔は俺を覗き込みながら頭を撫でる。
その顔が口付けと同じように優しくて、甘やかで、俺は一切の反発を覚えず見惚れた。
「誠人……逃げずに戻ってくれて嬉しいぞ」
「……焔……」
「今から 朝餉の準備をするよう女官たちに言ってくるから、誠人は少し休んでいろ。あと毛玉とこれからのことも話しておく。誠人が迷うことなく次の手を打てるようにな」
言いながら華候焔は寝間着に袖を通し、ベッドから立ち上がる。
そのたくましく真っ直ぐに伸びた背中からは、さっきまでの淫靡な気配は一切ない。
どんな難事も任せてしまいたくなる、凛々しき武人の佇まいだった。
部屋を出て行った後も、俺は華候焔が居た所へずっと視線を定め続ける。
常に裏切りを繰り返してきた、最強の武将。
完全に彼を信じ、心を許してしまえば俺も裏切られてしまうのだろうか?
情けを注がれたせいか、ここまで体を弄ばれたというのに悪い気がしなくなっている自分に気づく。
果たして頼ってもいいのだろうか?
……甘えてはいけないと分かっていても、もっと寄りかかりたいと、またこの身を預けてしまいたいと望んでしまう。
きっとまだ体が快感の波に揺蕩っているからだ。こんな腑抜けた考えが浮かんでしまうのは。
早く元の俺に戻ろう。
全貌が見えぬ何かと戦うために――。
それに応えるように、俺の体は快楽に火照り、腰の奥をどこまでも熱くしていく。
……たまらない。
ゲームへ入る前の不安も、焦燥感も、華候焔の欲情に散らされて、どこまでも甘い快感だけが俺を包んでいく。そして――。
「あっ、ぁ、ぁぁ、え、焔……っ、アァ……ッ!」
声を抑えることも忘れて俺は夢中で喘ぎ、身の内に膨れ上がる淫楽にすべてを奪われる。
グッ! とひと際強く華候焔が俺の腰を引き寄せ、最奥を貫いた瞬間、溜められた何もかもが弾けた。
「はぁァ――……ッッ! ……っ……ァ……ぁ……」
中が大きく脈打つと同時に、俺の奥深くからせり上がってきたものが外へと放たれる。
昨日の情事よりも大きく与えられてしまった快楽に、意識が持っていかれる。
感覚が浮遊する――そんな俺の最奥を華候焔がさらに細かく小突き、「ふぅ……っ」と欲情を注ぎ込む。
たった一回の情事。
なのに現実で回復したはずの体力が抜け出て、抗えない脱力に呑まれてしまう。
崩れ落ちかけた俺を華候焔が抱き留め、ゆっくりとベッドへ寝かす。
未だ終わらない快楽の浮遊に呆けていると、華候焔の唇が労わるように俺の口へ優しく重なった。
ただの欲情とは違う口付けが、守る術を奪われた俺の心に手を伸ばしてくる。
あまりに優しくて、温かくて、今まで味わったことのない多幸感に思わず感じ入ってしまう。
何度か俺の唇を甘くついばんだ後、華候焔は俺を覗き込みながら頭を撫でる。
その顔が口付けと同じように優しくて、甘やかで、俺は一切の反発を覚えず見惚れた。
「誠人……逃げずに戻ってくれて嬉しいぞ」
「……焔……」
「今から 朝餉の準備をするよう女官たちに言ってくるから、誠人は少し休んでいろ。あと毛玉とこれからのことも話しておく。誠人が迷うことなく次の手を打てるようにな」
言いながら華候焔は寝間着に袖を通し、ベッドから立ち上がる。
そのたくましく真っ直ぐに伸びた背中からは、さっきまでの淫靡な気配は一切ない。
どんな難事も任せてしまいたくなる、凛々しき武人の佇まいだった。
部屋を出て行った後も、俺は華候焔が居た所へずっと視線を定め続ける。
常に裏切りを繰り返してきた、最強の武将。
完全に彼を信じ、心を許してしまえば俺も裏切られてしまうのだろうか?
情けを注がれたせいか、ここまで体を弄ばれたというのに悪い気がしなくなっている自分に気づく。
果たして頼ってもいいのだろうか?
……甘えてはいけないと分かっていても、もっと寄りかかりたいと、またこの身を預けてしまいたいと望んでしまう。
きっとまだ体が快感の波に揺蕩っているからだ。こんな腑抜けた考えが浮かんでしまうのは。
早く元の俺に戻ろう。
全貌が見えぬ何かと戦うために――。
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