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二章 ガチムチ占い師のお導き~お前が占い師なのかよっ!~

オレの隣にはコイツがいる

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「体は大丈夫なのか? 気分は?」

 クウガがアグードの向かい側に膝をついてオレを覗き込んでくる。

 こっちもアグードと同じく、今にも泣き出しかねない顔をしている。
 二人して同じような顔されると、なんか――。

「……プッ」

「ルカ?」

「大丈夫だ、寝起きでぼんやりしているだけだ。だから二人ともそんな顔するな。なんか双子の兄弟っぽく見えるぞ」

 軽い冗談を言ってやると、クウガとアグードが顔を合わせる。そしてほぼ同時に顔を歪め、無言で「似てるか?」と不満げな気配を漂わせた。

 この様子だと、どうやらアグードはオレとクウガに何があったかは知らないらしい。
 もし知ってたらもっとギスギスした態度取るだろうし。アグードはオレにマジで惚れてるみたいだから……。

 こっちの都合に付き合わせて悪いな……と罪悪感を覚えながら、オレは体を起こす。

「もう動けるけど、これからどうするんだ? ここで野宿か?」

 本当に問題なさそうだと思ったのか、二人ともあからさまにホッとした顔をする。それからアグードが小さく首を横に振った。

「近くに山間の村があるから、そこで宿を取ろうって話になってる」

「そっか。今日は疲れたから、ベッドで休めるのはありがたいな」

 オレとアグードが談笑していると、隣からクウガの視線が突き刺さってくる。

 何で見ているんだ? と瞳だけ動かしてクウガを見やれば、目が合い、サッと逸らされてしまう。

 どこか恥ずかしそうな、照れたような反応。
 ……ああ、体の関係持っちまったから意識してるんだな。

 コイツの世話になってしまったことは不本意極まりないが、ちょっと気分が良い。
 いつだってクウガはオレを『危なっかしくて目が離せない子ども』みたいな目で見てたっぽいし、オカンな態度ばかり取られてたし。

 動揺を見せるクウガに、オレはニヤニヤ笑いながら肩を叩く。

「村の宿は小さいから、三人で一部屋しか取れないかもな。ベッドもせいぜい二つだろ……一緒に寝るか?」

「……っ……そ、それは……」

「冗談に決まってるだろ。コイツが譲らないだろうし」

 クウガから手を離して、わざとアグードの頭を撫でてやる。
 突然オレに触られて驚いたのか、アグードがビクッと跳ねる。それから嬉しそうにオレの頭に顔をすり寄せてきた。

「ルカ兄の隣はずっと俺の場所だから」

「ますます忠犬っぽくなってきたなあ、アグード……お前が居たければ、好きなだけ居ればいいからな」

 昔から隣に居続けているアグードは、一線超えるハメにならなくても特別な存在だ。

 オレ自身は未だに恋愛感情は湧いてないが、体を許せるくらいには嫌いじゃない。
 だから一回ヤったからって特別になったと勘違いするな。別の意味でクウガは特別だが、しつこすぎる腐れ縁なだけだ。

 嫌味も煽りも牽制も、全部込めてクウガに見せつけてやる。
 さあオレにガッカリしろ。嫌になれ。そして用が済んだらオレから離れろ。

 さすがに何かを感じ取ったのか、クウガが気まずそうに顔を逸らせる。

 チクリ。
 オレの胸に痛みを覚えたが、気のせいだと強引に決めつけて無視した。
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