上 下
24 / 39
二章 ガチムチ占い師のお導き~お前が占い師なのかよっ!~

まさかの欲求不満

しおりを挟む
   ◇ ◇ ◇

 朝になってオレたちは街を出て、ガチムチ神の占いに従って聖玉を探しに向かった。

 北の山を二つも越えなきゃいけないなんて……。
 これが気ままに旅をするだけなら山の一つや二つ、良いトレーニングになるからって気分よく歩けるのに――。

「ルカ、大丈夫か? 顔をそんなにしかめて……どこか痛めているのか?」

「うるせークウガ。オレに構うな! 別に痛くもなんともねぇよ!」

 完全に取り繕うことを諦めたオレは、山道を歩きながら心配してくるクウガに噛みつく。

 別に強がってるワケじゃない。どこも痛めていない――回復魔法で抱き潰された形跡は消えているが、尻に違和感が残っているけど。

 でも、今オレは、猛烈にイライラしてる。
 自分でも顔をしかめて凶悪なツラしながら歩いている自覚がある。クウガが心配する気持ちも分からんでもない。

 だけど目が覚めてからずっと腹が立って、今すぐ誰でもいいからケンカしたい気分だ。

 理由はなんとなく分かっている。
 スゲー認めたくねぇけど……。

 オレの不機嫌さをアグードも感じ取って、背後からそっと近づいて耳打ちしてくる。

「……ルカ兄、俺のせいで満足できてない――」

「ち、違うからな、アグード! そんなんじゃないから!」

 オレは慌てて首を全力で横に振る。
 速攻で否定したけれど、いつもより大げさなせいで察してしまったのか、アグードは口を閉ざしながら表情を曇らせてしまう。

 ああ、上手く反応できない。明らかに調子が悪い。
 思わずオレは大きなため息をつく。

(あれだけ昨日ヤりまくったのに、体が欲求不満っぽいなんて……)

 目が覚めて淫紋の力は鎮まっていたが、体はスッキリしていなかった。

 軽く火照っていて、尻に何もない状態が妙に落ち着かなくて、全身がぼんやりと曇ったような感じ。

 そしてオレがこんな思いをしているのは、クウガのせいなんだって思ったら、いつになく腹が立って仕方がなかった。

 クウガの顔を見てしまうと、お前のせいでこんなもどかしい思いをするハメになったんだと責めたくてたまらない。

 しかも問答無用で張り倒して、胸倉を掴んで言ってしまいたくなる。『お前が責任を取りやがれ!』と。

(いやいやいやいや! 責任取れって、クウガにオレを抱けって言うようなもんだろ。勘弁してくれよ……何が悲しくて腐れ縁のコイツに抱かれなくちゃいけないんだ――)

 心の中で頭を抱えながらぼやくが、一瞬オレの頭の中に淫らな絵がよぎってしまう。

 クウガに組み敷かれて、激しく体を貫かれるオレ。

 ――体の奥がジンとなって、危うく力が抜けそうだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

主人公の兄になったなんて知らない

さつき
BL
レインは知らない弟があるゲームの主人公だったという事を レインは知らないゲームでは自分が登場しなかった事を レインは知らない自分が神に愛されている事を 表紙イラストは マサキさんの「キミの世界メーカー」で作成してお借りしています⬇ https://picrew.me/image_maker/54346

魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました

タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。 クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。 死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。 「ここは天国ではなく魔界です」 天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。 「至上様、私に接吻を」 「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」 何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

俺が総受けって何かの間違いですよね?

彩ノ華
BL
生まれた時から体が弱く病院生活を送っていた俺。 17歳で死んだ俺だが女神様のおかげで男同志が恋愛をするのが普通だという世界に転生した。 ここで俺は青春と愛情を感じてみたい! ひっそりと平和な日常を送ります。 待って!俺ってモブだよね…?? 女神様が言ってた話では… このゲームってヒロインが総受けにされるんでしょっ!? 俺ヒロインじゃないから!ヒロインあっちだよ!俺モブだから…!! 平和に日常を過ごさせて〜〜〜!!!(泣) 女神様…俺が総受けって何かの間違いですよね? モブ(無自覚ヒロイン)がみんなから総愛されるお話です。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

勇者の股間触ったらエライことになった

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
勇者さんが町にやってきた。 町の人は道の両脇で壁を作って、通り過ぎる勇者さんに手を振っていた。 オレは何となく勇者さんの股間を触ってみたんだけど、なんかヤバイことになっちゃったみたい。

推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。 そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。 ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。 そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。

サッカー少年の性教育

てつじん
BL
小学6年生のサッカー少年、蹴翔(シュート)くん。 コーチに体を悪戯されて、それを聞いたお父さんは身をもってシュートくんに性教育をしてあげちゃいます。

【完結済】(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。

キノア9g
BL
完結済。騎士エリオット視点を含め全10話(エリオット視点2話と主人公視点8話構成) エロなし。騎士×妖精 ※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。 気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。 木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。 色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。 ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。 捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。 彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。 少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──? いいねありがとうございます!励みになります。

処理中です...