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第378話 強制リセット at 1995/12/15
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『………………0。これより強制リセットを実行します。しばらくお待ちください……0%』
――がくり。
突然、なんの前触れもなく桃月のカラダからチカラが抜け去り、その場に、ぺたり、と女の子座りのつまさきを外に向けた格好で崩れ落ちた。寸前まで耳をおおっていた両手はだらりと下がり、手のひらを上に向けたまま両足のそばに落ちている。その顔に、意思は感じられない。
「モ――モモ? どうしたのよ!? あんた、一体……?」
「やめろ、ロコ! ダメだ! 今は近づかない方がいい!」
反射的に一歩足を踏み出したロコのカラダに抱きつくようにして歩みを止める。無論、この僕にだって、今この瞬間に何が起こっているのかなんてまるでわからない。けれど、これは決して桃月の意地やカラダの中からの異変というよりは、外部からのなんらかの干渉を受けている、そうとっさに僕は判断したのだ。ならば、僕たち『リトライ者』が近づくのは危険すぎる。
『………………しばらくお待ちください……30%』
がくがく! と桃月のカラダが揺れはじめ、おこりのように痙攣しはじめた。天井を見上げる顔の中の目は、完全に白目を剥いている。さすがに心配になってきたが、例のくそったれなマニュアルに書かれていたことの『逆もまた真』なり、という実証結果を信じるよりない。
『過去の歴史上、死ぬ運命にある誰かを救命するのは不可能です――』
つまり、
『過去の歴史上、生きる運命にある誰かを失命するのは不可能です――』
ということだ。
これはすでに、あの『草食系過激思想少女』の三溝さんとタツヒコとの件で証明されていることだ。
『………………しばらくお待ちください……60%』
やがて桃月のカラダの震えは最高潮に達し、そのうつろに開け放たれた白瞳とリップとグロスで艶めいた唇から白い閃光のような輝きが立ち昇り――轟音とともに一気に周囲に拡散した。
――ど……ん!
「う、うおっ!?」
「きゃっ!?」
そして唐突に静かになる。
『………………しばらくお待ちください……90%』
スクリーンの中で、メッセージは冷静に進捗割合を告げていた。この数値を信じるのであれば、まもなく終わるはずだ。だが……終わったその時、一体どうなるというのだろうか?
『………………しばらくお待ちください……100%』
そしてついに一〇〇パーセントに到達した。
のだが、なかなか完了したことを告げるらしきメッセージも合図もない。徐々に不安がこみあげてくる中、再び目を向けるといつのまにかスクリーンからはなにもかもが消えていた。
「………………ふぅ」
「――!?」
その中で、最初に聴こえたのが桃月の切なげな溜息だったことに僕らはひどく驚いてしまう。そのことにすごく不思議そうな表情を浮かべながら、桃月は残念そうにこう言ったのだった。
「……すっごく悔しいし、すっごくつらいけど……ロコとムロのこと、応援してあげるわ」
「………………え――え?」
そう。
まるで桃月は、さっきまでのやりとりのすべてを忘れてしまったようだったのである。
――がくり。
突然、なんの前触れもなく桃月のカラダからチカラが抜け去り、その場に、ぺたり、と女の子座りのつまさきを外に向けた格好で崩れ落ちた。寸前まで耳をおおっていた両手はだらりと下がり、手のひらを上に向けたまま両足のそばに落ちている。その顔に、意思は感じられない。
「モ――モモ? どうしたのよ!? あんた、一体……?」
「やめろ、ロコ! ダメだ! 今は近づかない方がいい!」
反射的に一歩足を踏み出したロコのカラダに抱きつくようにして歩みを止める。無論、この僕にだって、今この瞬間に何が起こっているのかなんてまるでわからない。けれど、これは決して桃月の意地やカラダの中からの異変というよりは、外部からのなんらかの干渉を受けている、そうとっさに僕は判断したのだ。ならば、僕たち『リトライ者』が近づくのは危険すぎる。
『………………しばらくお待ちください……30%』
がくがく! と桃月のカラダが揺れはじめ、おこりのように痙攣しはじめた。天井を見上げる顔の中の目は、完全に白目を剥いている。さすがに心配になってきたが、例のくそったれなマニュアルに書かれていたことの『逆もまた真』なり、という実証結果を信じるよりない。
『過去の歴史上、死ぬ運命にある誰かを救命するのは不可能です――』
つまり、
『過去の歴史上、生きる運命にある誰かを失命するのは不可能です――』
ということだ。
これはすでに、あの『草食系過激思想少女』の三溝さんとタツヒコとの件で証明されていることだ。
『………………しばらくお待ちください……60%』
やがて桃月のカラダの震えは最高潮に達し、そのうつろに開け放たれた白瞳とリップとグロスで艶めいた唇から白い閃光のような輝きが立ち昇り――轟音とともに一気に周囲に拡散した。
――ど……ん!
「う、うおっ!?」
「きゃっ!?」
そして唐突に静かになる。
『………………しばらくお待ちください……90%』
スクリーンの中で、メッセージは冷静に進捗割合を告げていた。この数値を信じるのであれば、まもなく終わるはずだ。だが……終わったその時、一体どうなるというのだろうか?
『………………しばらくお待ちください……100%』
そしてついに一〇〇パーセントに到達した。
のだが、なかなか完了したことを告げるらしきメッセージも合図もない。徐々に不安がこみあげてくる中、再び目を向けるといつのまにかスクリーンからはなにもかもが消えていた。
「………………ふぅ」
「――!?」
その中で、最初に聴こえたのが桃月の切なげな溜息だったことに僕らはひどく驚いてしまう。そのことにすごく不思議そうな表情を浮かべながら、桃月は残念そうにこう言ったのだった。
「……すっごく悔しいし、すっごくつらいけど……ロコとムロのこと、応援してあげるわ」
「………………え――え?」
そう。
まるで桃月は、さっきまでのやりとりのすべてを忘れてしまったようだったのである。
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