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第330話 球技大会・最終戦(4) at 1995/11/10
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ピーッ!!
後半戦、二年一組のキックオフで試合再開だ。
「――!?」
だが僕たち二年十一組のメンバーは、相手チームの動きに驚きを隠せなかった。
(後半戦にフォーメーションを変えてきた! さっきまでタツヒコのワントップだったのに!)
前半はいわゆる4―5―1の、中盤でのボール支配に重きをおいていた陣形だったものが、例のサッカークラブ所属のMFが前に出て、3―5―2のより攻撃的な陣形に変化していた。また、DFを統率していたサッカー部の生徒が前に上がり、攻撃の選択肢も増やしている。
「ダ、ダメだ! みんな、下がるよ! 下がって! 一旦引いて守ろう!」
後半に仕掛けようと思っていたのは向こうも同様だったらしい。僕は前がかりになっていたチームメイトたちに声をかけ続け、なんとか浮足立った守備の体勢を整えようとする。
「あ――っ!」
しかし、向こうの攻めの動きの方が一足早い。
右サイドから一気に大きく縦に突破されてしまった。
「く……そ……っ!」
まずい!
このままだと――!!
――と、その時。
ザシュッ!
「うわわっ!?」
サイドを突破している選手の足元めがけて鋭いスライディング・タックルが叩き込まれ、弾かれたボールがラインを割った。ほこりを払いながら立ち上がったのは――佐倉君だ。
「さ、佐倉君、ナイスだ! 助かったよ! で、でも――!」
「えへへ……大丈夫ですよっ。無理はしないって約束ですから」
僕たちの後半に向けての秘策その一こそ、この佐倉君の驚異的なスピードと脚力だ。そして、平均一、二時間とも言われるテニスの長丁場な試合でも決して衰えることのないその強みを支えているのが、佐倉君の第二の武器、スタミナだ。その両方を生かしてプレスをかけ、奪ったボールをサイドから相手陣地へと運ぶのが佐倉君のミッションだ。
『で、でも僕、なんとかドリブルはできますけど、敵に寄って来られたらキープできませんよ』
『そこは俺がカバーに入ってやるよ、佐倉! はン、外野手の足、なめてもらっちゃ困るぜ!』
そう言って不敵に鼻先を親指で弾いてみせた荒山も、運動会のリレーの選手だったのだから速さでは引けを取らない。これが、僕らの絆から生まれた『右手の矛』だ。
そして、
「こぼれ球! 行ったぞ、モリケン!」
――とっ。
「よし! 抑えた! みんな、ライン上げるよ! ヘイ! ムロッ!」
「ナイパスだ! さあ、今度はこっちの番だ、じっくり一本行こう!」
僕たちの秘策その二が、室生と僕の二人がいわば『ダブル・ボランチ』の役割を果たして。チームをコントロールすることだ。室生がオフェンシブ寄りに、僕がディフェンシブ寄りに動くことで、前線までのボールつなぎを円滑かつ確実にする。また、それぞれに司令塔を置くことで、統率力のあるプレーを可能にする。これもまた、僕らの絆から生まれた『左手の盾』だった。
「さぁ、行くぜ、てめぇら! ここにいる俺様たちこそが、新生・二年十一組だぜ!!」
後半戦、二年一組のキックオフで試合再開だ。
「――!?」
だが僕たち二年十一組のメンバーは、相手チームの動きに驚きを隠せなかった。
(後半戦にフォーメーションを変えてきた! さっきまでタツヒコのワントップだったのに!)
前半はいわゆる4―5―1の、中盤でのボール支配に重きをおいていた陣形だったものが、例のサッカークラブ所属のMFが前に出て、3―5―2のより攻撃的な陣形に変化していた。また、DFを統率していたサッカー部の生徒が前に上がり、攻撃の選択肢も増やしている。
「ダ、ダメだ! みんな、下がるよ! 下がって! 一旦引いて守ろう!」
後半に仕掛けようと思っていたのは向こうも同様だったらしい。僕は前がかりになっていたチームメイトたちに声をかけ続け、なんとか浮足立った守備の体勢を整えようとする。
「あ――っ!」
しかし、向こうの攻めの動きの方が一足早い。
右サイドから一気に大きく縦に突破されてしまった。
「く……そ……っ!」
まずい!
このままだと――!!
――と、その時。
ザシュッ!
「うわわっ!?」
サイドを突破している選手の足元めがけて鋭いスライディング・タックルが叩き込まれ、弾かれたボールがラインを割った。ほこりを払いながら立ち上がったのは――佐倉君だ。
「さ、佐倉君、ナイスだ! 助かったよ! で、でも――!」
「えへへ……大丈夫ですよっ。無理はしないって約束ですから」
僕たちの後半に向けての秘策その一こそ、この佐倉君の驚異的なスピードと脚力だ。そして、平均一、二時間とも言われるテニスの長丁場な試合でも決して衰えることのないその強みを支えているのが、佐倉君の第二の武器、スタミナだ。その両方を生かしてプレスをかけ、奪ったボールをサイドから相手陣地へと運ぶのが佐倉君のミッションだ。
『で、でも僕、なんとかドリブルはできますけど、敵に寄って来られたらキープできませんよ』
『そこは俺がカバーに入ってやるよ、佐倉! はン、外野手の足、なめてもらっちゃ困るぜ!』
そう言って不敵に鼻先を親指で弾いてみせた荒山も、運動会のリレーの選手だったのだから速さでは引けを取らない。これが、僕らの絆から生まれた『右手の矛』だ。
そして、
「こぼれ球! 行ったぞ、モリケン!」
――とっ。
「よし! 抑えた! みんな、ライン上げるよ! ヘイ! ムロッ!」
「ナイパスだ! さあ、今度はこっちの番だ、じっくり一本行こう!」
僕たちの秘策その二が、室生と僕の二人がいわば『ダブル・ボランチ』の役割を果たして。チームをコントロールすることだ。室生がオフェンシブ寄りに、僕がディフェンシブ寄りに動くことで、前線までのボールつなぎを円滑かつ確実にする。また、それぞれに司令塔を置くことで、統率力のあるプレーを可能にする。これもまた、僕らの絆から生まれた『左手の盾』だった。
「さぁ、行くぜ、てめぇら! ここにいる俺様たちこそが、新生・二年十一組だぜ!!」
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