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第92話 男の娘とのフラグキター! at 1995/6/20
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次の日だ。
放課後、『電算論理研究部』の部室に集まった頼もしい部員たち(なお、いまだ欠員一名)。その中の紅一点(?)たる佐倉君が、出し抜けにこんなセリフを僕にぶつけてきたのである。
「はぁ……。やっぱり……古ノ森リーダーはカッコイイですよね……」
え?
まさかの男の娘とのフラグキター!?
「そ、それは……ど、どういう意味なのかなー、佐倉君?」
思わず僕が聞き返すと、佐倉君は、あっ、と小さな叫びを上げて、真っ赤になって両手で小さな口を覆い隠してしまった。悲しいかな、もう完っ全に女の子の仕草なのである。
「わ、忘れてください忘れてくださいっ! つい、思っていたことを口に出してしまってっ!」
「モーリーケーン……!」
「忘れろったって無理だって! あ、あと、ゾンビみたいな声出しながら近づくなシブチン!」
嫉妬に狂ったあまり、僕に噛みつこうとガチガチ歯を鳴らす渋田を片手で遠のけつつ、ふと、五十嵐君は? と視線を横に向けてみると――うん、安定のアルカイックスマイルだねっ!
「と、とにかく! シブチンの誤解を解くためにも、さっきのセリフがどういう意味なのか教えてくれないか、佐倉君!? いや、マジで! 僕が噛みつかれて変な病気になる前に、だ!」
「あ、あぅううう……」
佐倉君はいよいよ困ったという今にも泣き出しそうな表情で、どうしたらよいのかわからずに、きょどきょどとあたりを見回している。そこで意外にも口を開いたのはなんと五十嵐君だ。
「古ノ森リーダー。我々二人は目撃しまったのですよ。あの観劇の日の帰り道に」
「うわわわっ! い、五十嵐君ってば!」
「何を慌てているのです? 別に良いではないですか。その場にいたのは我々だけでしたし」
一切の感情を交えず、至って冷静に淡々と語る五十嵐君は、ほんの少しだけ不思議そうな顔付きをして、僕の顔色を窺うようにしてあわあわと慌てふためいている佐倉君を見つめた。
「だってだって! プ、プ、プ、プライベートでとってもデリケートなハナシじゃないですか!? リーダーが、河東さんと二人きりで一緒に帰ってたってことはっ! ………………あ」
結局、全部自分で喋っちゃうんだね……佐倉君は、ドジっ子属性、と。
「ス、スミマセンっ! あの、あのっ! 別に言いふらしたりはしてませんからっ!」
「いやいやいや。謝ることないって、佐倉君。でも……そっか、見られちゃってたか」
それとなく注意深く行動していたつもりだったけど、やっぱり見ている人は見ているものだ。
「ん? でも、それが『僕がカッコイイ』ってハナシとどうつながってくるの?」
「そ、それは……だって……」
佐倉君は、助けを求めるようにちらりと隣を見たが、五十嵐君は静かに首を振る。
「ス、ステキな彼女がいて! こっそり抜け出して、二人きりで帰っていたからですっ!」
「か、か、か、彼女ぉ!?」
驚き慌てふためくのはむしろ僕の方だった。
「か、河東さんは、かっ、彼女じゃないよ!? ただ……ほら、なんていうか……そのう……」
「?」
ほえ? と書かれたフキダシを添えたくなるくらいのポカン顔をしている佐倉君の肩に、五十嵐君がさっきよりもはっきりと首を振りながら、ぽん、と手を添えてこう言った。
「ですから僕は言ったじゃないですか。あれはまだ『そういうカンケイ』じゃない、と」
「い、五十嵐君に言われたくないんだけど!?」
「ごめんねえ。ウチのリーダー、こう見えてヘタレなんですよねー」
「うぉうい! シブチンには………………くっ、言われても仕方ないか。くううう……」
放課後、『電算論理研究部』の部室に集まった頼もしい部員たち(なお、いまだ欠員一名)。その中の紅一点(?)たる佐倉君が、出し抜けにこんなセリフを僕にぶつけてきたのである。
「はぁ……。やっぱり……古ノ森リーダーはカッコイイですよね……」
え?
まさかの男の娘とのフラグキター!?
「そ、それは……ど、どういう意味なのかなー、佐倉君?」
思わず僕が聞き返すと、佐倉君は、あっ、と小さな叫びを上げて、真っ赤になって両手で小さな口を覆い隠してしまった。悲しいかな、もう完っ全に女の子の仕草なのである。
「わ、忘れてください忘れてくださいっ! つい、思っていたことを口に出してしまってっ!」
「モーリーケーン……!」
「忘れろったって無理だって! あ、あと、ゾンビみたいな声出しながら近づくなシブチン!」
嫉妬に狂ったあまり、僕に噛みつこうとガチガチ歯を鳴らす渋田を片手で遠のけつつ、ふと、五十嵐君は? と視線を横に向けてみると――うん、安定のアルカイックスマイルだねっ!
「と、とにかく! シブチンの誤解を解くためにも、さっきのセリフがどういう意味なのか教えてくれないか、佐倉君!? いや、マジで! 僕が噛みつかれて変な病気になる前に、だ!」
「あ、あぅううう……」
佐倉君はいよいよ困ったという今にも泣き出しそうな表情で、どうしたらよいのかわからずに、きょどきょどとあたりを見回している。そこで意外にも口を開いたのはなんと五十嵐君だ。
「古ノ森リーダー。我々二人は目撃しまったのですよ。あの観劇の日の帰り道に」
「うわわわっ! い、五十嵐君ってば!」
「何を慌てているのです? 別に良いではないですか。その場にいたのは我々だけでしたし」
一切の感情を交えず、至って冷静に淡々と語る五十嵐君は、ほんの少しだけ不思議そうな顔付きをして、僕の顔色を窺うようにしてあわあわと慌てふためいている佐倉君を見つめた。
「だってだって! プ、プ、プ、プライベートでとってもデリケートなハナシじゃないですか!? リーダーが、河東さんと二人きりで一緒に帰ってたってことはっ! ………………あ」
結局、全部自分で喋っちゃうんだね……佐倉君は、ドジっ子属性、と。
「ス、スミマセンっ! あの、あのっ! 別に言いふらしたりはしてませんからっ!」
「いやいやいや。謝ることないって、佐倉君。でも……そっか、見られちゃってたか」
それとなく注意深く行動していたつもりだったけど、やっぱり見ている人は見ているものだ。
「ん? でも、それが『僕がカッコイイ』ってハナシとどうつながってくるの?」
「そ、それは……だって……」
佐倉君は、助けを求めるようにちらりと隣を見たが、五十嵐君は静かに首を振る。
「ス、ステキな彼女がいて! こっそり抜け出して、二人きりで帰っていたからですっ!」
「か、か、か、彼女ぉ!?」
驚き慌てふためくのはむしろ僕の方だった。
「か、河東さんは、かっ、彼女じゃないよ!? ただ……ほら、なんていうか……そのう……」
「?」
ほえ? と書かれたフキダシを添えたくなるくらいのポカン顔をしている佐倉君の肩に、五十嵐君がさっきよりもはっきりと首を振りながら、ぽん、と手を添えてこう言った。
「ですから僕は言ったじゃないですか。あれはまだ『そういうカンケイ』じゃない、と」
「い、五十嵐君に言われたくないんだけど!?」
「ごめんねえ。ウチのリーダー、こう見えてヘタレなんですよねー」
「うぉうい! シブチンには………………くっ、言われても仕方ないか。くううう……」
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