風ノ旅人

東 村長

文字の大きさ
上 下
78 / 122
歌の国『オルカストラ』編

友の故郷に背を向けて

しおりを挟む
「…………人里って、近くにあるのかな」

 アイリ村がある高山を、灰色の葉を茂らせる謎の木々を見上げながら下山し、下山の際の傾斜とは打って変わって、平面で歩きやすくなった地面を『北西』の方へと向かって進んで行ってから半日が経過した。僕が極限の疲労で気絶したのは昨日の昼過ぎ頃で、体力を回復させて目を覚ましたのは翌日の明け方頃だった。つまり今日は九月の二十三日ということになる。丸一日も気絶していたという情報を、美しい朝焼けに染まっていた空を見上げることで得た僕は、昨日の今頃に繰り広げられていた、命懸けの『激戦』の度合を改めて認識し、今もドクドクと動き続けている心臓と、冷えている空気を一杯に吸って膨らんだ肺の感覚を認めて、今も僕は世界で『生きている』のだと訳も分からないまま涙を流しそうになるほど感動してしまっていた——のだが、全身が引き攣りそうになるほどの激痛に襲われて我に返り、耐え難い激痛の荒波を歯を食い縛りながら耐え切って……

「はあぁ…………」

 と、息を吐いた。流石にアロンズや鎧魔人との激戦で積み重ねられた消耗と戦傷は一日で完治しているはずもなく、僕は目を覚まして移動を始めてから定期的に、泣きたくなるほどの痛みのせいで蹲ったりしていて、思ったように道程を進んではいなかったのである。この痛みは『ミファーナに着いたらステーキを食べようかな』という、至極どうでもいいことを考えて誤魔化し続けていたのだが、流石にもう無理——と音を上げた僕は道端にあった岩に腰掛けた。

「痛っつぅぅ…………クソ魔人が……」
 
 ここには居ない魔人共に向かって怨嗟の声を漏らしつつ、僕は肩を抱くように前のめりになりながら、一回、二回と息を吸っては吐き出して、呻きたくなる痛みを抑え込んだ。一筋の汗を滴らせながら、何とか息を落ち着かせた僕は、ふと、左掌に巻いていた真っ赤な染み付いている布を外す。
 毒器の短剣で貫かれた掌の刺し傷は完璧に塞がっており、手の甲と掌に刺された傷跡が生々しく残ってはいるものの、一週間もしたら傷跡も消えるぐらいの治り具合に思われる。謎毒による『痺れ』も感じなくなっているから、多分問題はなかったんだろうし、一時は左手が使い物にならなくなるかもって決死の覚悟はしていたけれど、特に何事もない自分の自然治癒能力の高さに思わず苦笑してしまうな。  

「————よしっ」

 僕はバックから取り出した水筒の水を一気に飲み干して、同じく取り出した小瓶——残り少なくなっている梅干しを頬張る。酸っぱいなと思いながら梅干しの種を噛み砕いて飲み込み、激痛を耐えながら『ミファーナ』に向かうため、万全の気合を入れ込むように両頬をパンっと力強く叩いた。

「行くか!」

 僕は一度だけ見上げるほどに高い灰山を見て、目を瞑る。 そして、開かれた瞼から現れた、澄んだ視界を目的地がある北西へ向けて、大切な友人と恩人の故郷から離れ行く。

          * * *

 アイリの地を発ってから二日が経過した。休み休みではあるが、二日間ぶっ通しで徒歩で移動をし続けていた僕は、一向に見つからない馬車や人里に対して首を折りかけつつ、特に疲れた様子もなしに、高さ三メートルほどの木々が並んだ、腰ほどの高さがある雑草だらけの獣道を歩いていた。
 足を動かすたびに『ガサガサ』という葉擦れの音が鳴り、着るのを躊躇ってしまうくらいに無惨な状態になっているコートをバックにしまって袖捲りをしている僕の腕をチクチクと雑草が刺してきて痒みを誘発してくる。身に纏われている風の膜が雑草群の攻撃を防いでくれてはいるものの、流石に道を埋め尽くすほどの物量には敵わなかったようで、溜め息を吐いた僕は仕方なく、捲っていた袖を元に戻した。
 
「そろそろ水が欲しいな……」

 この二日間、空になった水筒を補給するための水源——小川を見つけることができておらず、僕は満足に顔すら洗えていない現状に危機感を覚えたものの、立ち止まったらこのまま干涸びるなと思い、足を止めずに歩き続けていた。
 二日間も水分補給ができないと分かっていれば、出発の時に一気飲みしなかったんだけどなぁ——と、過去の僕がやった考え無しの行動に対して、若干の後悔を顔一面に滲ませてしまうが、まだ身体は保つから大丈夫だろうと、乾いていた唇を舌舐めずりして潤し、かんかん照りな太陽が目立っている蒼穹から視線を切った。そして、目前にあった一際大きな樹木に駆け足で向かい、足裏に溜められた強風を畳まれた膝から放たれる大跳躍に合わせて爆発させる。
 常軌を逸したとしか言えない、人間離れした『八メートル』の跳躍。風の助力もあって、あっという間に背の高い木の先端を視界に入れた僕は、このまま落下してしまわないように木の先端を掴んで、両の爪先に樹皮を密着させた。 ガッと跳躍と落下の勢いを全身を使って停止させた僕は、高さ八メートルのという場所から文字通りの絶景を一望し、どこまでも続いていると思わされる大森林の存在を認めた。
 
「…………マジかぁ」

 近くはないけど遠くもない前方——僕が歩いて向かおうとしていた北西方向で、視界いっぱいに広がっているのは、今いる森よりも深く暗く広大そうな『森林』の姿であった。こんな、いかにも魔獣が跋扈していそうな森林の中に安心安全な人里があるとは到底思えないし、かと言って別方向に人里があるかと言われると『無い』という直感が働く。このまま北西に行こうが南西に行こうが西に行こうが『この光景は変わらないよ』と見せて伝えてくる森林の広大さ。
 これは諦めて森林の中を進めということなのだろうか? 

「はあ…………」

 この森林を徒歩で通り抜けるとなると五日くらい時間が掛かりそうなんだけど、駆け足気味なら『二日程度』で抜け切れそうな感じがするし、こうしている間にも身体から水分が抜けてると思えば悩んでる暇はないような気がする。

「…………行くか」 

 億劫気味になっていた僕は「はあ」と溜め息を吐きつつ、木を掴んでいた手と引っ掛けていた爪先を離して急降下し、勢いよく、そして危うげなく、衝撃を殺すために畳まれた膝をクッションにした、この上なく完璧な着地を果たした。
 そして力無く首を折りかけながら、僕は視界前方に広がっている広大な森林の中へと駆け足で入り込んでいく……

          * * *
 
 森林の中は背の高い木々の影響で薄暗くなっており、僕がアイリ村がある高山に向かう時に通ってきた樹海ほどではないものの、ザッザッという、やや駆け足気味な足音を鳴らしながら進んでいた森林には、初秋の空気が流れる薄寒い冷気が満ちる、寂しげで怪しげな雰囲気が漂っていた。
 
『オオオオオオォォォォォォオオオォォン——…………』

 遠すぎない距離から打ち上げられた遠吠えは野生動物が発する『命』が籠った声音ではなく、魔獣特有の『生き物ではない物の声』という、この世界にあってはならない異物——ヒシヒシと違和感を感じさせてくる遠吠えであった。
 その魔獣特有の吠え声を聞いた僕は、不快気に眉尻を吊り上げて、腰に差していたは俺の鏡面剣の柄を握り締める。僕が持つ唯一の武器である鏡面剣は『アロンズ戦』の時に剣身の上半分を破損させてしまっており、最も重要と言える攻撃力と間合いは元の半分以下になってしまっている。しかし魔獣程度であれば、その程度の攻撃力減少は些細なことでしかない。魔族軍や魔人共と戦った今の僕の実力ならば、熊型魔獣が相手でも徒手空拳で制圧できるだろう。
 
「いつでも来いよ。ぶっ殺してやる……」

 眉間に皺を寄せながら、アロンズの殺意にも負けないほどの絶大すぎる『戦意』を全身から立ち昇らせる僕の意志とは裏腹に、僕という圧倒的強者の存在に気が付いた魔獣共は背を向けて『逃げ』に徹する。その逃走の気配に気が付いていた僕は、一度だけ舌打ちをして足を動かし続けた。
 身体を洗い、水分を補給するための水源を探し出すため、微かな水音と僅かに湿気が含まれている匂いを感じ取れるように魔獣の警戒を続けながら意識を集中させていた僕は、頭上から遠くまで鳴り渡っている葉擦れの音を縫って来る、西の方から発されている『水流の音』を目敏く拾い上げた。確かな水音を聞き入れて、微かに目を見開いた僕は速やかに足先を音のする方へと向けて駆け出す。僕と同じように水分補給を必要としていた魔獣や野生動物が通ったのだろう『獣道』が、水流音が鳴る方へと一直線に向かうように作られており、僕は道に迷うわけもなく、僅か十数分ほどで僕の胴幅くらいの水量しかない超極細の小川に到着した。

「小さいけど…………ふぅ~、生き返る」
 
 バシャバシャと、両手を皿にして掬い取った川の清水で顔を洗い、水を絞った布で汚れた身体を拭き洗う。そして、空の水筒に水を汲み入れて、汗で水分が抜けた乾いた身体を癒すように喉を鳴らしながら一気に飲み干した。あっという間に腹から全身に行き渡っていく水分を気持ちよく感じつつ、僕は濡れている口元を着替えたワイシャツの袖で拭い、二日間の移動で出た汗で汚れてしまっている服とズボンを川の水で洗い始めた。僕の数少ない替えの服が『クソ魔人』のせいで減ってしまったから、ミファーナに着いたら服一式の買い替えをしなければいけくなってしまった。ほとんどが爺ちゃんのお下がりだから凄く古臭いんだけど、これはこれで気に入っていたから捨てるのは惜しく感じちゃうな。まあ、持っている残り二式の服は全部同じ物だから一着捨ててしまっても、あんまり変わらないんだけどさ。

「よし——行くか」

 僕は残り少なくなっている白米と梅干し——水分の次に重要な『食糧』の懸念から、ここで立ち止まるのは危険だと判断し、水気を絞った服とズボンをバックの側面に吊るし下げるとすぐに立ち上がって、駆け足で小川を後にした。 明日の朝には森林を抜け出られるくらいの場所まで進んできてはいるが、その先に『人里』があるかは今だに分かっていない状況が続いてしまっている。ハザマの国で遭難経験のある僕からすると、僕だけの孤独な状況で美味しい食事が取れなくなってしまうと、精神的によろしくはない。 だから、腹が減ってしまわないくらいのペースで人里まで急ぐ必要があるのだ。僕は小川の音が遠退いていくことを認めながら、広大で薄暗い森林の中程を歩みゆいて行く。     

          * * *

 アイリの地を発ってから『五日』が経過した。深く広い森林を抜けた先にあったのは、何もかもがどうでもよくなってしまいそうになるほどの広大すぎる『原野』であった。 人の手が一切加えられていないのは森林も同じなのだが、一つだけ違う点を挙げるとすると、この原野には数多くの野生動物たちが生息していたのだ。森林の中で常に魔獣を警戒していた僕からすると、ドングリが被っているような帽子を頭に乗せている『帽子鳥』や、特有の匂いを発する花を雄々しい角に咲かせている『花鹿』などが、僕に対して警戒なく擦り寄ってくるのは癒しでしかなかったのだ。あげられる食べ物なんかを持っていなかったのが残念ではあるものの、野生動物達は無一文な遭難者のような状況に陥っている僕に、自然の恵みを分け隔てなく与えてくれた。まあ、ほとんどが渋すぎる果物や、堅すぎる木の実だったから食べるのには苦労したけれど、僕は彼等彼女等のおかげで飢えることなく——乗せた商品を売り捌きに行く御者が操っている『商業馬車』を発見することができたのである。

「あのっ! お金は払うので、人里まで乗せていってもらえませんかね?」

 人の手で舗装されている煉瓦の道を走っていた馬車を大声で呼び止め、凄まじい速さで駆け寄ってきた僕に驚いたように目を点にしていた御者は、突然飛び出てきた薄汚れている僕を見て、嘘だろ——というような顔で口を開いた。

「それは全然いいんだけどよ。兄ちゃんはこんな辺鄙なところで何してんだ? もしかして遭難でもしてたのか?」

 人里なんか無い『南東』から出てきた僕に警戒心を滲ませている御者は、言葉では歓迎してくれているものの、僕の正体について探っている様子でだった。もちろん隠すことなんか何もない僕は正直に——こう答える。
 
「一週間くらい遭難してました」
「…………ま、まあ、よく無事だったな。この時期のこの辺は変に『魔獣が増える』ってのによ。金なら要らねえよ。ほら、さっさと乗りな」
「ありがとうございます!!」

 僕は親切な御者の言う通りに、商品の酒樽が乗せられている荷台の空きスペースに座り「はあ」と休息を取るように息を吐いた。そして、僕が乗り込んだことを確認した御者はパシンっと手綱を打ち、繋がれた馬達を走らせだした。 馬車が北西へと進んでいくことを認めた僕は、自分が通ってきた道——遥か南東に聳える『灰色の高山』を見る。僕の命を救ってくれた、友人と恩人の『故郷』へと思いを馳せながら、短い間だったのに『色々』あったぁと思った僕は、哀愁を感じさせる微笑を浮かべながら、身体が切に訴えてきている睡眠を取るために、少しの間だけ目を瞑る……
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ダンジョン発生から20年。いきなり玄関の前でゴブリンに遭遇してフリーズ中←今ココ

高遠まもる
ファンタジー
カクヨム、なろうにも掲載中。 タイトルまんまの状況から始まる現代ファンタジーです。 ダンジョンが有る状況に慣れてしまった現代社会にある日、異変が……。 本編完結済み。 外伝、後日譚はカクヨムに載せていく予定です。

呪う一族の娘は呪われ壊れた家の元住人と共に

焼魚圭
ファンタジー
唐津 那雪、高校生、恋愛経験は特に無し。 メガネをかけたいかにもな非モテ少女。 そんな彼女はあるところで壊れた家を見つけ、魔力を感じた事で危機を感じて急いで家に帰って行った。 家に閉じこもるもそんな那雪を襲撃する人物、そしてその男を倒しに来た男、前原 一真と共に始める戦いの日々が幕を開ける! ※本作品はノベルアップ+にて掲載している紅魚 圭の作品の中の「魔導」のタグの付いた作品の設定や人物の名前などをある程度共有していますが、作品群としては全くの別物であります。

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

異世界ニートを生贄に。

ハマハマ
ファンタジー
『勇者ファネルの寿命がそろそろやばい。あいつだけ人族だから当たり前だったんだが』  五英雄の一人、人族の勇者ファネルの寿命は尽きかけていた。  その代わりとして、地球という名の異世界から新たな『生贄』に選ばれた日本出身ニートの京野太郎。  その世界は七十年前、世界の希望・五英雄と、昏き世界から来た神との戦いの際、辛くも昏き世界から来た神を倒したが、世界の核を破壊され、1/4を残して崩壊。  残された1/4の世界を守るため、五英雄は結界を張り、結界を維持する為にそれぞれが結界の礎となった。  そして七十年後の今。  結界の新たな礎とされるべく連れて来られた日本のニート京野太郎。  そんな太郎のニート生活はどうなってしまう? というお話なんですが、主人公は五英雄の一人、真祖の吸血鬼ブラムの子だったりします。

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ- リメイク!!

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG[アルバスクロニクルオンライン] しかし、たまたま手に入れたスキルで波乱万丈な冒険をする事になる。 基本、面倒くさがりの主人公が行くドタバタ冒険記物語

Knight Another Story ―― 色褪せぬ記憶 ――

星蘭
ファンタジー
それは、"先生"、"師匠"、"兄さん"……そんな呼ばれ方をする彼らの、何気ない日常。 そう、彼らにだって、"昔"はあったのだ。 結ばれる絆、交わり、分かれる道。 これは、"今"に繋がる記憶の物語。 ※1 作中にごく薄くではありますがボーイズラブ要素がございます。苦手な方はご注意ください。 ※2 この作品は星蘭の小説「Knight ―― 純白の堕天使 ――」の番外編にあたる作品です。 単独でもお読みいただけるかとは思いますが、「純白の堕天使」読了後にお読みいただけましたらより楽しんでいただけるかと思います。

神の種《レイズアレイク》 〜 剣聖と5人の超人 〜

南祥太郎
ファンタジー
生まれながらに2つの特性を備え、幼少の頃に出会った「神さま」から2つの能力を授かり、努力に努力を重ねて、剣と魔法の超絶技能『修羅剣技』を習得し、『剣聖』の称号を得た、ちょっと女好きな青年マッツ・オーウェン。 ランディア王国の守備隊長である彼は、片田舎のラシカ地区で起きた『モンスター発生』という小さな事件に取り組んでいた。 やがてその事件をきっかけに、彼を密かに慕う高位魔術師リディア・ベルネット、彼を公に慕う大弓使いアデリナ・ズーハーなどの仲間達と共に数多の国を旅する事になる。 ランディア国王直々の任務を遂行するため、個人、家族、集団、時には国家レベルの問題を解決し、更に心身共に強く成長していく。 何故か老化が止まった美女や美少年、東方の凄腕暗殺者達、未知のモンスター、伝説の魔神、そして全ての次元を超越する『超人』達と出会い、助け合い、戦い、笑い、そして、鼻の下を伸ばしながら ――― ※「小説家になろう」で掲載したものを全話加筆、修正、時々《おまけ》話を追加していきます。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

処理中です...