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知って、より前へ
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しおりを挟むそれから二週間ほど経った、ある日。
芦達先生にとって思いがけないチャンスが舞い込んできた。
それは私が捻挫して階段で身動きが取れなくなっていたとき。
それを偶然、芦達先生が通りかかって見かけたこと。
そんな私を芦達先生は保健室まで連れて行って。
そのとき保健の先生の麻川先生が不在だった。
そのため芦達先生が麻川先生の代わりに応急処置として湿布を貼った。
そのとき芦達先生は思った。
『保健室にいるのは僕と神城さんの二人だけ。
さり気なく神城さんに彼氏のことを訊こう』と。
けれど。
それと同時に罪悪感もあった。
私が捻挫して辛い思いをしているのに、彼氏のことを探るチャンスだと思ってしまうなんて。
だけど大切な妹の栗原さんのことを思うと。
私に彼氏のことを探るということをやめるわけにはいかなかった。
そして芦達先生は私の彼氏のことに関して核心を突く質問をしようとした。
けれど、そのとき隼理くんが保健室の戸を開けてしまった。
そのため芦達先生は私に核心を突く質問ができなくなってしまった。
さらに約二ヶ月後。
芦達先生にとって、またチャンスがやってきた。
それは私と隼理くんが付き合っているという噂が学校中に流れ。
その日の放課後、部室に行く途中で、隼理くんのファンクラブの会員の生徒たちに絡まれたとき。
芦達先生は偶然その場面を目撃した。
そのとき芦達先生は私に絡んでいる生徒たちに声をかけた。
生徒たちはバツが悪そうにその場から立ち去り、私と芦達先生は二人きりになった。
私が生徒たちに絡まれていたのに彼氏のことを探るチャンスだと思うのは、人としていけないことだとは思っている。
けれど、やっぱり大切な妹のことを思うと、そう思ってしまう。
芦達先生は私に申し訳ないと思いながらも『相談に乗る』と言って探りを入れようとした。
私が大変な目にあっているときに探りを入れようとしたこと。
本当に申し訳なく思っていると芦達先生は言った。
ただ、私が捻挫したとき、生徒たちに絡まれたとき、芦達先生は私のことを心配したという気持ちは本当。
今それを言ったところで信じてもらえないかもしれない。
芦達先生は力なくそう言った。
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