122 / 147
夏フェスに想いを乗せて
P122
しおりを挟むさて。
いよいよ私たち軽音楽部の順番が来た。
まずは一年生と二年生。
最後に私たち三年生がパフォーマンスをする。
三年生は今回の夏フェスと夏休み中にある大会に参加して引退する。
その後は進路のことに集中する。
そろそろ準備が整い。
軽音楽部のパフォーマンスをするときが。
まずは一年生。
一年生にとって初めての夏フェス。
午前の部で一度、経験したから全く初めてではないけれど。
まだ緊張しているかもしれない。
でも、それ以上に思いきり楽しんでほしい。
次は二年生。
二年生は二度目の夏フェス。
他の行事でも何回か披露しているから。
だいぶ慣れているみたい。
リラックスしてパフォーマンスができているように見える。
そして。
いよいよ私たち三年生の順番が来た。
三年生にとっては高校生活最後の夏フェス。
思いきり楽しみたい。
……と、思いたいところだけど……。
私は純粋に午後の部のパフォーマンスをすることを。
楽しむことができないかもしれない。
というか。
できない確率の方が高い。
なぜなら。
今、私は。
とても緊張している。
とはいっても。
パフォーマンスをすることに対しての緊張ではない。
それなら何に緊張しているのかというと……。
いろいろな思いが駆け巡っている間に。
私たち三年生のパフォーマンスが始まろうとしている。
心の中は。
ざわざわしている。
けれど。
今は。
今することに集中、しなければ。
始まる――。
まずは序奏。
そこから流れを掴む。
ギター・ベース・キーボード・ドラム。
それらの音が合わさり一体感を生む。
その流れに乗るようにボーカルの私の声を重ね合わせる。
全ての音が。
開いている体育館の窓から流れてくる風と混ざり合わさって。
空間を気持ち良さそうにスーッと飛んでいる。
そこに。
観覧している生徒たちの歓声も加わり。
体育館内は。
夏の暑さにも負けないくらいの熱気に包まれた。
パフォーマンスが終わりに近づいても。
その熱気は衰えることはなく。
それどころか。
さらにヒートアップしていた。
パフォーマンスが終わっても。
その熱気は冷めることなく。
しばらく続いた。
やっぱり。
やっぱり楽しい。
パフォーマンスをしているとき。
最高に楽しかった。
わくわく、ドキドキ。
そんな感情が。
身体中から溢れ出てくる。
午後の部のパフォーマンス。
正直なところ、楽しむことはできないと思っていた。
このパフォーマンスのあとのことを考えると。
だけど。
歌っていたときだけは。
なんとか楽しむことができた。
それは。
みんなのおかげ。
バンドの仲間や盛り上げてくれた観覧している生徒たちの。
こうして。
無事に軽音楽部のパフォーマンスが幕を閉じた。
そして――。
「ちょっと、いいか」
ついに。
このときが来た―――。
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる