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車の中で
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しおりを挟む美し過ぎる景色に夢中になり過ぎて。
全く気配を感じなかった。
突然呼ばれたことに。
心臓が飛び跳ねるように驚いた。
この声は……。
「飛鷹先生っ」
私のことを呼んだ飛鷹先生(隼理くん)は部室の戸のところにいた。
「今日の部活は終わったのか」
飛鷹先生はそう言って部室の中に入ってくる。
「神城、一人なのか?」
周りを見渡しながら飛鷹先生はそう言った。
「はい、今日は戸締り当番なので」
驚き過ぎて飛び跳ねそうになった心臓が治まらないまま、そう返答した。
「どうしたんですか、飛鷹先生」
続けて飛鷹先生にそう訊いた。
「一回、見てみたくてな」
「え……?」
「神城がいる部室を」
部室の中に入ってきた飛鷹先生は室内全体を見渡した。
「へぇ、こういう感じなんだな」
そう言った飛鷹先生の表情は。
興味津々の子供のよう。
「おっ、きれいだな」
室内を見渡していた飛鷹先生が窓の方を見た。
そして、そのまま私がいる窓のところに来て。
私の隣に並んだ。
そのとき。
飛鷹先生の腕が私の腕に微かに触れた。
その反動で。
思わず飛鷹先生の方を見た。
「すげぇ、なんか別世界だな」
飛鷹先生がそう言った瞬間。
やさしく吹いている風が。
飛鷹先生の髪をふんわりとやさしく揺らした。
たったそれだけなのに。
ものすごく色気を感じた。
と同時に。
表情はキラキラと輝いていて。
夕陽よりも眩しく感じた。
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