オラクル

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第二章 青玉

十八話

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 甲板に上がると帆が畳まれて船の速度がゆっくりになっていた。

「どうやって動いているんだろ?」

『漕ぐようにオールも揃えてはあるが、今は、船底の魔道具だな。速さの調整が楽だと聞いたぞ』

「そんな魔道具もあるんだ」

『よし、そろそろ行くから、しっかり掴まっていろ』

 クク様がそう言うと、突然走り出した。

「え?」

 さっきより大きく見えるとはいえ、岸までかなり距離があるのに••• そんな考えはクク様には無いみたいで、そのまま船縁に脚をかけ船から飛び出した。

「え?え?え~~」

『口を開くな、舌を噛んでも知らんぞ』

 うっ!必死に革ベルトを掴んで目を閉じた。•••けど、落ちてる感覚は無い、それどころか肌に風すら当たらなくなった。
 こわごわ目を開けると真下に海が輝いていて•••

「うわっ、飛んでる?」

『何か合ってからでは遅いからな、我々だけで行くことになっただろ?聞いておらんかったのか?』

 先生達が話していたことを思いだす。

「あっ、そういえばそんなことを話していたような•••」

『何が役立つかわからんのだから、他人の話はちゃんと聞いておいた方がいいだろうな』

「はい、そうします。でも、先生は?」

『心配いらん。後ろを見てみろ』

 後ろを振り向くと先生が船から飛び出して来て•••

「と、飛んでる?え?」

『あやつは、浮遊石を持っておる。ここからずっと南に行くと浮島と言われるところがあってそこで取れる希少な魔力石だ。まぁ、扱える者も希少だがな』

 クク様の説明を聞いているうちに先生が追いついてきた。

「クク様、このような場合は、残るものに挨拶をするのが地上での習わしですので、黙って飛び出すことはお辞めください」

『ふん!そんなことしてると、好機を逃すかもしれんではないか、決まっている行動なのだから、別に関係ないだろ』

「そういう考えもあるかもしれませんが、他人との付き合いとしては、節目節目で挨拶をした方が、物事が潤滑に回るときもあるのです。要らぬ争いを避ける上でも役立つことがあるのですよ」

 先生の説明を聞き、クク様の速さが落ちた。
 
 どうしたんだろう?

『•••そういうものなのか?分かった。次からは、気をつけることにする』

「そうしていただけると、こちらとしても助かります」

『ふん、島に居るときにも思ったが、面倒な事だな』

 え?あっ、そうか、ずっと一人で居たって言っていたっけ、だから、挨拶とか必要なかった?でも、それってすごく寂しいような?クク様は平気なのかなぁ?
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