6 / 64
戸惑い 2
しおりを挟む
犬が悪いわけではないのは分かっている。
最期まで一緒に居られないのなら、飼ってはいけないと思う。
何らかの理由で飼えなくなったのなら、引き取り手を探すなりして、ちゃんと面倒を見てあげないといけないと思う。
そう、あの犬達が、悪い訳じゃない。
捨てた人間が悪いのだ。
頭では、分かっているけれど…
怖い。
どうしよう…
「あなた、大型犬が苦手なの?顔色悪いわよ」
「え?あ、大丈夫です。すみません」
さっきの女性が、声をかけてくれた。あの犬もいると思って、振り向いたけど、姿が見えない。
「無理しないで、あの子は、主人と一緒に車の向こうで、見えないようにしてるから、落ち着いて、犬が苦手なんでしょ?」
初めて会ったのになんで?
「井之上さん、どうしましたか?」
さっきの男性が、病院から出てきて、女性に話しかけた。男性は、さっきのジャケットではなく、白衣?襟なしの薄い青色の上着を着ている。
もしかして、この病院のスタッフだった?
「あ、関くん、ちょうど良いところに、彼女、ウチのショコラを見て、倒れそうだったのよ。ちょっと中で休ませてあげて」
女性の話を聞き、眉間シワをよせ、私を見る。
「大型…イヤ、犬が苦手なのか?」
不機嫌そうだ。
「ちょ、ちょっとだけ、でも、大丈夫です。手が届くような距離じゃなければ…」
「そんな白い顔して言っても説得力ないわよ。さ、早く座らせてあげて」
女性に抱えられるように院内に入り、入り口すぐの所にあるテレビの前を通り、右手のドアの中に入ると長椅子が置いてあり、そこに腰かけるように促される。
「気持ち悪いようなら、横になって良いわよ。休んでる間に、ウチの子、診てもらって、終わってから、声かけてもらうようにするわね」
「すみません。ありがとうございます」
パタンと音を立てて、ドアが閉まり、一人取り残された。
長めの息を吐き、気持ちを落ち着かせる。
やはり、ちょっと気持ちが悪いな…ちょっとだけ、横になってもいいよね?誰も見てないし…
帆布のショルダーバッグを抱え込んで少しだけ横になろう。
最期まで一緒に居られないのなら、飼ってはいけないと思う。
何らかの理由で飼えなくなったのなら、引き取り手を探すなりして、ちゃんと面倒を見てあげないといけないと思う。
そう、あの犬達が、悪い訳じゃない。
捨てた人間が悪いのだ。
頭では、分かっているけれど…
怖い。
どうしよう…
「あなた、大型犬が苦手なの?顔色悪いわよ」
「え?あ、大丈夫です。すみません」
さっきの女性が、声をかけてくれた。あの犬もいると思って、振り向いたけど、姿が見えない。
「無理しないで、あの子は、主人と一緒に車の向こうで、見えないようにしてるから、落ち着いて、犬が苦手なんでしょ?」
初めて会ったのになんで?
「井之上さん、どうしましたか?」
さっきの男性が、病院から出てきて、女性に話しかけた。男性は、さっきのジャケットではなく、白衣?襟なしの薄い青色の上着を着ている。
もしかして、この病院のスタッフだった?
「あ、関くん、ちょうど良いところに、彼女、ウチのショコラを見て、倒れそうだったのよ。ちょっと中で休ませてあげて」
女性の話を聞き、眉間シワをよせ、私を見る。
「大型…イヤ、犬が苦手なのか?」
不機嫌そうだ。
「ちょ、ちょっとだけ、でも、大丈夫です。手が届くような距離じゃなければ…」
「そんな白い顔して言っても説得力ないわよ。さ、早く座らせてあげて」
女性に抱えられるように院内に入り、入り口すぐの所にあるテレビの前を通り、右手のドアの中に入ると長椅子が置いてあり、そこに腰かけるように促される。
「気持ち悪いようなら、横になって良いわよ。休んでる間に、ウチの子、診てもらって、終わってから、声かけてもらうようにするわね」
「すみません。ありがとうございます」
パタンと音を立てて、ドアが閉まり、一人取り残された。
長めの息を吐き、気持ちを落ち着かせる。
やはり、ちょっと気持ちが悪いな…ちょっとだけ、横になってもいいよね?誰も見てないし…
帆布のショルダーバッグを抱え込んで少しだけ横になろう。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる