147 / 149
新たな旅立ち
ダンジョン創り 20
しおりを挟む
バーンさんとの話の中で、リョウの装備に使用したミスリルスパイダーの特別製の布を織ったのは麓にある集落だと聞き、そういえば、リョウ達の為に生地を頼んでおいた事を思いだし、寄ってみることにしたが…
「大丈夫ですか?私も参りましょうか?」
と、クラリーちゃんに心配された。
「いや、自分で行ってみるよ。見えない配慮がされてるとクラリーちゃんも言ってたでしょ」
「はい、そうは聞いてますけど…」
「大丈夫。変に暴走はしないよ」
「その様な事を心配してる訳ではありません!」
ん?何やら、怒られてしまった。
まぁ、ふふふ。
そんな俺たちを見て、シスがなんだか含みのある笑いをした感じがして、そちらに振り向くと、目を反らされた。
なんだよ。
まぁ、生意気ね。
「クラリーちゃん、私もついて行くから大丈夫よ。それに、仕立は、ディルが自分でやるから、反物を貰うだけよ、安心して」
「ディル様が?」
「ふふ、本当は、触りたくないみたいだけど、バーンの仕事に当てられたみたいね。良いものを作ってもらえそうよ。期待して待っていてね」
「そうなのですか?」
ちっ、シスにはお見通しということか…
「うん、まぁ、そうだね。鎧の下に着るものだから、何か希望があれば、聞いておくよ」
「それなら―」
クラリーちゃんの機嫌が治り?嬉しそうに関節部分や首回りを少し厚めにしてほしいとお願いされた。
そういったところは、消耗が激しいということかな?
まぁ、でも、ミスリルスパイダーの糸は丈夫さが売りだからな、良い物が作れるだろう。
ということで、集落によって反物をもらい、特別な生地の事を聞くと、本来、完全予約でないと手に入れられないということなのだが、バーンさんの紹介、しかも、バーンさんに卸したハギレがあるからと譲ってもらえた。
面白い素材が手に入ったから、ほくほくでトガレーに帰ってきたけど…
「あれ?そういえば、なんでここまでついて来たの?」
バレンから降りて何気に振り向けば、おっさんとシスが並んで立っている。
「「…」」
なんだか哀れみの目を向けられた。
「な、なに?」
「あのねディル、私も、リョウくんの装備に良い機能を付与するって言ったでしょ」
「ああ、そうか、で、何、付与してくれるの?」
「それをリョウくんと相談したいから、ついて来たの!」
そうでしたか…思っているより、リョウの事を考えてくれてるんだ。ありがたい。
「で、おっさんは?」
「…バーンが、ミスリルスパイダーの織物は特別な道具が必要と言っていただろうが、どんなものか聞いてなかったが、お前、知っておるのか?」
「あっ…」
「まぁ、興味のあることに一直線、職人だから仕方がないかも知れんが、ちゃんと、情報を得て、道具も揃えんと失敗するぞ」
「はい…そっか、普通の生地とは違うんだった…」
そういう訳で、二柱と一緒に集落に戻ると、引きった笑顔の守衛達に迎えられた。
部屋に戻ったがリョウ達の姿は見えないので、ミスリルスパイダーの生地の扱いについて教えてもらうことにする。
「ミスリルスパイダーは、外殻の色が似ているからその名前が付いたとされるが、それだけではないのだぞ。その外格を活用するために使う道具もミスリル製でないと加工出来んのだ」
「げっ!そうなの?ミスリル製の道具なんて持ってないよ」
「そうであろうな。ほれ、これを使え」
ポンと渡された包みを開けると、青みのかかった銀のハサミが数種類と、針が出てきた。
「これは?」
「こうなることが予想されたから、ヘパイトスと作っておいたのだ。お前の成人祝いだ、大事に使えよ」
「え?マジで?」
驚きすぎて、ちょっと、頭が真っ白に…ハッと、我にかえって、おっさんに向き合いお礼を言おうとすると…
「ちょっと待ちなさい。モンディール、私とガランも協力して、用意した品でしょ。なんで、自分だけの手柄にしようとしてるのかしら?」
「おや?そう聞こえたか?いや、悪かった。素材集めをシスとガランが、製作をヘパイトスとワシがやったのだ」
なんか、わざとらしく、おっさんが言い替えたが、皆からこんな凄いお祝品を貰って、メチャクチャ嬉しい。
「他にもあるでしょ。出しなさい」
「ん?アレも、渡すのか?」
「だって、リョウくんが、ここのダンジョンを創ったのよ。これからも、手を加えるだろうし、必要になるわよ」
「ああ、そういうことか。ククク、早速、趣味に走らせるのだな」
俺が、ちゃんとお礼を言おうとしたら、二柱は、そんな会話をしていた。
「ほれ、これも受けとれ、守衛に話して、土地を分けてもらえるようにしよう。リョウのために、家を建てられるようにな」
と、ノコギリやスミツボ、数種類のノコギリやノミの大工道具が納められた箱を渡された。
「え?これも、ミスリル製?」
「ミスリルは、魔力と相性が良いからな、それに、魔力を送ると精霊達が手伝い易くなる。因みに、ミスリルスパイダーの生地を切るときは、ミスリルのハサミに熱をもたせながら切るのだが、どれぐらいの温度で綺麗に切れるか決まっておらんのだ。その生地ごと違うから、気を付けるのだぞ」
「そ、そうなんだ…うん、でも、嬉しい。ありがとう」
「ふふ、魔術で出来るような事も、道具を使ってコツコツと作るの好きだものねぇ」
「え、だって、楽しいじゃん」
「良いものを作って、招待してね」
「うん、頑張る!」
「大丈夫ですか?私も参りましょうか?」
と、クラリーちゃんに心配された。
「いや、自分で行ってみるよ。見えない配慮がされてるとクラリーちゃんも言ってたでしょ」
「はい、そうは聞いてますけど…」
「大丈夫。変に暴走はしないよ」
「その様な事を心配してる訳ではありません!」
ん?何やら、怒られてしまった。
まぁ、ふふふ。
そんな俺たちを見て、シスがなんだか含みのある笑いをした感じがして、そちらに振り向くと、目を反らされた。
なんだよ。
まぁ、生意気ね。
「クラリーちゃん、私もついて行くから大丈夫よ。それに、仕立は、ディルが自分でやるから、反物を貰うだけよ、安心して」
「ディル様が?」
「ふふ、本当は、触りたくないみたいだけど、バーンの仕事に当てられたみたいね。良いものを作ってもらえそうよ。期待して待っていてね」
「そうなのですか?」
ちっ、シスにはお見通しということか…
「うん、まぁ、そうだね。鎧の下に着るものだから、何か希望があれば、聞いておくよ」
「それなら―」
クラリーちゃんの機嫌が治り?嬉しそうに関節部分や首回りを少し厚めにしてほしいとお願いされた。
そういったところは、消耗が激しいということかな?
まぁ、でも、ミスリルスパイダーの糸は丈夫さが売りだからな、良い物が作れるだろう。
ということで、集落によって反物をもらい、特別な生地の事を聞くと、本来、完全予約でないと手に入れられないということなのだが、バーンさんの紹介、しかも、バーンさんに卸したハギレがあるからと譲ってもらえた。
面白い素材が手に入ったから、ほくほくでトガレーに帰ってきたけど…
「あれ?そういえば、なんでここまでついて来たの?」
バレンから降りて何気に振り向けば、おっさんとシスが並んで立っている。
「「…」」
なんだか哀れみの目を向けられた。
「な、なに?」
「あのねディル、私も、リョウくんの装備に良い機能を付与するって言ったでしょ」
「ああ、そうか、で、何、付与してくれるの?」
「それをリョウくんと相談したいから、ついて来たの!」
そうでしたか…思っているより、リョウの事を考えてくれてるんだ。ありがたい。
「で、おっさんは?」
「…バーンが、ミスリルスパイダーの織物は特別な道具が必要と言っていただろうが、どんなものか聞いてなかったが、お前、知っておるのか?」
「あっ…」
「まぁ、興味のあることに一直線、職人だから仕方がないかも知れんが、ちゃんと、情報を得て、道具も揃えんと失敗するぞ」
「はい…そっか、普通の生地とは違うんだった…」
そういう訳で、二柱と一緒に集落に戻ると、引きった笑顔の守衛達に迎えられた。
部屋に戻ったがリョウ達の姿は見えないので、ミスリルスパイダーの生地の扱いについて教えてもらうことにする。
「ミスリルスパイダーは、外殻の色が似ているからその名前が付いたとされるが、それだけではないのだぞ。その外格を活用するために使う道具もミスリル製でないと加工出来んのだ」
「げっ!そうなの?ミスリル製の道具なんて持ってないよ」
「そうであろうな。ほれ、これを使え」
ポンと渡された包みを開けると、青みのかかった銀のハサミが数種類と、針が出てきた。
「これは?」
「こうなることが予想されたから、ヘパイトスと作っておいたのだ。お前の成人祝いだ、大事に使えよ」
「え?マジで?」
驚きすぎて、ちょっと、頭が真っ白に…ハッと、我にかえって、おっさんに向き合いお礼を言おうとすると…
「ちょっと待ちなさい。モンディール、私とガランも協力して、用意した品でしょ。なんで、自分だけの手柄にしようとしてるのかしら?」
「おや?そう聞こえたか?いや、悪かった。素材集めをシスとガランが、製作をヘパイトスとワシがやったのだ」
なんか、わざとらしく、おっさんが言い替えたが、皆からこんな凄いお祝品を貰って、メチャクチャ嬉しい。
「他にもあるでしょ。出しなさい」
「ん?アレも、渡すのか?」
「だって、リョウくんが、ここのダンジョンを創ったのよ。これからも、手を加えるだろうし、必要になるわよ」
「ああ、そういうことか。ククク、早速、趣味に走らせるのだな」
俺が、ちゃんとお礼を言おうとしたら、二柱は、そんな会話をしていた。
「ほれ、これも受けとれ、守衛に話して、土地を分けてもらえるようにしよう。リョウのために、家を建てられるようにな」
と、ノコギリやスミツボ、数種類のノコギリやノミの大工道具が納められた箱を渡された。
「え?これも、ミスリル製?」
「ミスリルは、魔力と相性が良いからな、それに、魔力を送ると精霊達が手伝い易くなる。因みに、ミスリルスパイダーの生地を切るときは、ミスリルのハサミに熱をもたせながら切るのだが、どれぐらいの温度で綺麗に切れるか決まっておらんのだ。その生地ごと違うから、気を付けるのだぞ」
「そ、そうなんだ…うん、でも、嬉しい。ありがとう」
「ふふ、魔術で出来るような事も、道具を使ってコツコツと作るの好きだものねぇ」
「え、だって、楽しいじゃん」
「良いものを作って、招待してね」
「うん、頑張る!」
0
お気に入りに追加
156
あなたにおすすめの小説
箱庭の異世界でスローライフ万歳!
文月 蓮
ファンタジー
神様が落としたコレクターズボックスの角に頭をぶつけて死んでしまった葉月は、生前プレイしていたサンドボックス型のゲームによく似た世界で、若返り、蘇った。
せっかくだから、農業やものづくりをとことん楽しんでやる。
異世界でスローライフを楽しむ主人公の、のんびり、まったりなお話。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜
himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。
えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。
ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ!
★恋愛ランキング入りしました!
読んでくれた皆様ありがとうございます。
連載希望のコメントをいただきましたので、
連載に向け準備中です。
*他サイトでも公開中
日間総合ランキング2位に入りました!
【完結】実家に捨てられた私は侯爵邸に拾われ、使用人としてのんびりとスローライフを満喫しています〜なお、実家はどんどん崩壊しているようです〜
よどら文鳥
恋愛
フィアラの父は、再婚してから新たな妻と子供だけの生活を望んでいたため、フィアラは邪魔者だった。
フィアラは毎日毎日、家事だけではなく父の仕事までも強制的にやらされる毎日である。
だがフィアラが十四歳になったとある日、長く奴隷生活を続けていたデジョレーン子爵邸から抹消される運命になる。
侯爵がフィアラを除名したうえで専属使用人として雇いたいという申し出があったからだ。
金銭面で余裕のないデジョレーン子爵にとってはこのうえない案件であったため、フィアラはゴミのように捨てられた。
父の発言では『侯爵一家は非常に悪名高く、さらに過酷な日々になるだろう』と宣言していたため、フィアラは不安なまま侯爵邸へ向かう。
だが侯爵邸で待っていたのは過酷な毎日ではなくむしろ……。
いっぽう、フィアラのいなくなった子爵邸では大金が入ってきて全員が大喜び。
さっそくこの大金を手にして新たな使用人を雇う。
お金にも困らずのびのびとした生活ができるかと思っていたのだが、現実は……。
婚約者に犯されて身籠り、妹に陥れられて婚約破棄後に国外追放されました。“神人”であるお腹の子が復讐しますが、いいですね?
サイコちゃん
ファンタジー
公爵令嬢アリアは不義の子を身籠った事を切欠に、ヴント国を追放される。しかも、それが冤罪だったと判明した後も、加害者である第一王子イェールと妹ウィリアは不誠実な謝罪を繰り返し、果てはアリアを罵倒する。その行為が、ヴント国を破滅に導くとも知らずに――
※昨年、別アカウントにて削除した『お腹の子「後になってから謝っても遅いよ?」』を手直しして再投稿したものです。
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
単身赴任しているお父さんの家に押し掛けてみた!
小春かぜね
恋愛
主人公の父は会社の諸事情で、短期間で有るはずの単身赴任生活を現在もしている。
休暇を取り僅かだが、本来の住まいに戻った時、単身赴任の父の元に『夏休み、遊びに行く!』と急に言い出す娘。
家族は何故かそれを止めずにその日がやって来てしまう。
短いけど、父と娘と過ごす2人の生活が始まる……
恋愛小説ですが激しい要素はあまり無く、ほのぼの、まったり系が強いです……
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる