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第二章 四大精霊

四十四話

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 なんとか、遅刻せずにすみそうだ。

 学校の門に入ったところで、そう思い、歩調をゆるめ瑞樹に、視線を向けた。

「はぁ?」

 それが、目に入ったとたん足を止め、声を出してしまった。
 時間的に、回りに殆ど人がいなかったので、変に注目される事はなかったが…それよりも、瑞樹が、目を見開いて、俺を見た。

「光輝!ファラムが、着いてきてるよ」

「えっ?」

  瑞樹の、驚いた声で、慌てて周囲を見るが、見当たらない…が、瑞樹の右肩を見て、自分の肩も見ると、左側に、十センチ程の、透き通ったファラムがいた。

「お前の右肩にも、アルフさんいるぞ」

 ファラムと、同じように、透き通った状態のアルフさんが、笑顔で、右手を振っている…

「えっ?うわっ、なんで?」

「瑞樹様方の、生活を把握するためですよ」

「一緒ぉ」

「でも、他人に見られない?」

「大丈夫よ。ももんぐ様が、今の人間は、それほど能力持ちはいないから、これぐらいなら、見つかる事はないと保証してくださったわ」

「いっ、いや、でもなー」

「なんか、落ち着かないから、鞄のポケットに、入っててもらえるかなぁ?」

 見える人がいないと言われても、俺達は、見えてしまうので、とても落ち着かないので、ちょっと、提案してみる。

「やぁー」

 ファラムが、首を横に振り首にしがみついたが、あまり触れてる感じがしない。

「アルフさん、お願い今日のところは、鞄のポケットに入って、様子見て!」

「しょうがないですね。主方を困らせては、ダリルに、説教されてしまいますからね。ファラム、光輝様の言う通り、今日は、バッグから、様子を見ましょう」

「…う~、あい」

 嫌々という感じで口をとがらせながら、ファラムが、ポンッと消えた。

「えっ?」

「光輝ぃ」

 声のした方に視線を向けると、鞄の横に付いてるポケットからファラムが、見上げながら手を振っている…

「光輝、考えるのは、後にしよ」

 そう言って、瑞樹が走り出した。

「…だな」

 せっかく遅刻せずに済んだのに、ここで、止まっていたら、授業に間に合わない…

「おー、瑞樹ぃ、復活おめでとう」

「良かったね。でも、病み上がりなのに、走ったりして大丈夫なの?」

 挨拶しながら、教室に飛び込んだとたん、保達から、瑞樹に声がかかった。

「あー、二人とも、ごめん。ケータイ、全然見れてなくて、今朝、気がついた」

「そんなのいいけど、それで、遅れたの?」

「いや、返信してたから、遅れた訳じゃなくて、正兄がいたりして、いろいろ話してたら、時間なくなってた」

「そうなのか、病み上がりなんだから、無理するなよ」

「うん、ありがとね」

 おお、うまく返してくれていた。嘘はいってない、曖昧な言い方になるのは、しかたないよなぁ。

「もともと、マメじゃない、光輝なんて、全く見てないみたいだし」

 えっ?

 慌てて、スマホを取り出して見たら…ありました。二人から、LINEが…

「…悪い、ゴタゴタしてて、全然、見てなかった」

「いつもの事だしいいよ」

「家事したりしてるしな、でも、スタンプぐらいって、見てないから、無理か…」

「だね」

 保と、徳武が、そんなことを話していると、一限目の数学の先生が、教室に入って、授業が始まる。




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