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「……そんで、これが一番大事ね」

 ふと、そこで一夏さんの顔が真剣なものになる。

 俺は思わずごくり、と喉を鳴らした。

 ……一番、大事な仕事。これさえ出来るようになれば鵺雲さんの専属として生きていけるかも。




「ナンバー入りキャストさん達の性欲の処理」

「は?」

 ーー性処理…………?

 生々し過ぎるそのワードに、俺の思考回路は一瞬停止した。

「此処のキャストさん達ってさ、店が有名になり過ぎて女の子との接触……つーか、交流絶たれちゃってんだよね。いわば、恋愛禁止のアイドル的な。客とも基本的に枕禁止だし、性欲の捌け口ってないんだよね」

 一夏さんの口からは淡々と言葉が出てくるが、俺の理解は全く追いついていなかった。


「え?だってボーイ……って全員男ですよね?」

「うん、そりゃね」

「お、男同士で……?」

「そうするしかないでしょ」

 一夏さんになんで?とばかりの顔をされてしまい、俺の頭は益々混乱する。

「いやいやいや!それでもデリヘルとか呼べないんすか!?」

「いつ何処で情報漏れるか分かんねえからなー……結局内部でやるしかないわけ」

「えぇ……てかキャストの人達はそれで良いんですか……?皆が皆ゲイ、ってわけじゃないですよね?」

「そりゃ、ね。だから実際俺たちボーイを使うキャストは限られてるよ。晴兎さんと雨月さんみたいな例外もいるし」

「あ……あの、鵺雲さんは……」

 ーーそうだ、鵺雲さんさえそういう趣味が無ければ。

 俺はケツを使う必要なんかない。


「俺たちは鵺雲さんの相手した事ないんだよね。あの人、そういう事に興味はないのかも」

 ……俺は思わずその一言に安堵の溜息を大きく吐いた。

 よ、良かった……。

「でも」

 俺の安堵を、一夏さんの一言が遮る。


「俺たちボーイがキャストさんの要求を断るのは絶対ダメ。何に関しても、ね」

「なんですかそれ……それじゃまるで奴隷じゃないですか!」

 淡々と語る一夏さんに俺は思わず食い下がった。

 借金背負ってるとはいえ、ただのバイトのボーイだぞ!?そんなことまでする必要絶対ない……!
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