忘れられない死を貴方に



とある王国の王宮で、2人の青年がそれはそれは美しく、幸せそうに死にました。

1人はその国の王で、もう1人はその伴侶となったはずの踊り子であった。




「…貴方の中で俺は、あの時の幸せで美しい俺でいられる。…貴方と幸せな世界で」

──そう言って黒いローブを着た青年は幸せそうに事切れている王の上に折り重なるように倒れた。






これはとある国の話。
その国は小さかったが豊かな土地と海に恵まれ国民は伝統的な暮らしと共に幸せに暮らしていた。

そんな運命の日は、若き王の誕生日の為に盛大な祝いの席が設けられていた。

そこで王と踊り子の青年は出会った。

この世界には男女の性の他に、αとΩ、βという性があった。

αである王とΩであった踊り子は運命のように惹かれあい、共に過ごすようになった。
2人の愛はやがて実を結び、可愛らしいお世継ぎにも恵まれた。

誰もがその一家を幸せと思っただろう



…ある時までは。






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