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しおりを挟む「じゃあな、湧。頑張るんだぞ」
「うん!ばいばい!」
あっさりバイバイを言い渡し海來君とキャッキャしだした湧を見て切なげな潤也さんを連れ、堤さんに挨拶をしてスタジオを出る。
「ほら、はやく行きましょう」
「そうだな。…さ、まずはどこに行きましょうかご主人様」
車のハンドルを握り、冗談めかしてこちらを見る彼に「ここのカフェに」とナビを設定する。
前から気になっていたカフェだ。
子供連れには少し向かなさそうというか、落ち着いたオシャレな雰囲気のカフェで、内装が細かかったので何かあってからでは遅いし落ち着いて味わえないだろうと思いなかなか行けなかった。
平日の昼間なら空いているだろうと今日のデートに行きたいとねだっていた。
「意外に近いんだな。…じゃあ、出発」
ニコニコとご機嫌な彼と、目的地までドライブ。
他愛無い話や最近の出来事や愚痴をお互いに話しながらふと気になったことを尋ねる。
「潤也さんって2人目とか欲しいですか?」
「2人目か…」
「特に深くも考えてなかったんですけど…もうそろそろ僕も30になるので、潤也さんが欲しいなら考えなきゃな…って」
「なるほどな。お前は欲しいと思わないのか?」
「いたらいたで嬉しいし幸せかもしれないですけど、3人でも充分幸せだなって思ってます」
「だな。俺もそう思う…もし何かあって授かったら授かったで嬉しいけど今のままでも俺は幸せだ」
一緒で良かった、と思いつつも、もう一度悪阻を経験すると思うとなかなか気が進まないのもある。
帝王切開の後の傷口も痛いし。
一人っ子は性格が悪くなる云々言うけれど、一人っ子だからといって甘やかさないようにはしている。
一人にたくさん時間をかけてあげられたら嬉しい。
「マンネリ化ってしてます?」
「…しないな。俺は今でもお前が可愛く見える」
「ありがとうございます。…それ、僕にシワが増えてもちゃんと言っててくださいね」
「もちろんだ。…歳を取るのはお前だけじゃないこらな、俺もシワが増えて爺さんになるんだからシワの増えた可愛いお前が隣にいたら嬉しい」
「潤也さん、髭とか伸ばさないんですか」
「伸ばそうか?」
「見てみたいです」
きっとダンディというか、渋い大人な感じになってかっこいい。
自分は髭が似合わないので少し羨ましい。
「お前が言うなら伸ばすか」と褒められて乗り気な彼を可愛いと思う。
大型犬というか、良い意味で子供らしい。
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