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しおりを挟む「…ただいま…咲夜は?」
「おかえりなさい。…蓮君の発情期が早くに来たらしいので今日から泊まりで」
「そうか。…何も連絡がないから上手くいってるだろうな」
「ですね」
夕方、咲夜君から夕食がいらないのと2日ほど帰らないと連絡が来た。
上手くいってるといいなぁ、と微笑ましく思いながらぼんやりと自分の初めてを少し思い出す。
「青春って感じですね。…フレッシュというか、もう自分には無いもので羨ましいです」
「そうだな…あいつらを見る度に透と同じ高校に通っていればと思う」
「もしそうだったらどうなってましたかね」
既に眠っている湧を起こさないように静かに話しつつ彼のご飯にお茶で付き合う。
もし潤也さんと同じ高校の先輩後輩だったらどうなっていたたろう。
ちゃんと出会って付き合っていただろうか。学生時代の彼はさぞかしモテていただろうから自分が取り入る隙間は無いかもしれない。
「俺は絶対、お前のことを見つけるな」
「随分自信があるんですね」
「もちろん。…何せ俺は1度の見合いで一目惚れしてここまでする男だからな」
後から聞いた話ではあるが、この住居も見合い後すぐに別荘を急速に改築し、内装や家具も自分の作品から趣味を見極めて選んでくれたと考えると改めてすごい。
「確かにそうですね」
笑いながら「来世も頼みますよ?」と冗談めかして言うと真剣な顔で「任せろ」と返されてしまう。
この人なら本当にやりかねないし、自分も彼を探す気でいるような気がする。
もぐもぐと綺麗な顔でご飯を頬張る彼。
可愛い…絶対会食とかではこんなふうに食べないのに、家だとこんな食べ方になるのが愛おしい。
「ままぁ…といれ…」
「湧、えらいね。行こっか」
起きてきた湧をトイレに連れいていき、眠そうな湧をまた寝かしに子ども部屋へ連れていく。
すっと寝てくれて良かった。
たまに潤也さんの存在に気がついて目がぱっちり覚めてしまう時がある。
パパだ!と嬉しそうにする顔は可愛いのだが、また1から寝かしつけるのと朝が起きれなくなってしまうので避けたい。
「…気が付かれなかったが…顔が見れてよかった」
寂しくも嬉しそうな彼の頭を撫でながら「明日沢山遊べますよ」と慰める。
明日は久しぶりの休み。
湧が撮影に行くのでその間2人で少し様子を見てからデートでもしようという話になった。
本当はずっと見てたいが、潤也さんが社長なのとあまり親がいると集中出来なくなることもあるかもしれないのでそうそうにどくことにしたのだ。
湧もママがいなくても大丈夫、との事なので…まあ、海徠君と一緒なのだろうが。
あの服着ようかな、とかそんなことを考えながらその日は眠りについた。
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