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10 発情期序章
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しおりを挟む「ちょっと体が重いんだよね…やっぱ発情期近いや」
何気なくそう言うとやってきてくれたのは楓斗君だ。
「ごめんね、わざわざ来てもらって…」
「いいよいいよ、俺も丁度オフだし」
そう言って快く家事を手伝ってくれる。
楓斗君夫妻が初めてこの家に来た時からお互いの仕事の合間を縫ってお茶をしたり、思ったより話が進むのが速かったコラボ商品の話を進めたりしてすっかり仲良くなった。
「あと1週間?」
「そう…正確には4日だけどね。」
「うわぁ、微妙な位置で結構辛いよな。ほんと来てよかった。…もっと早く連絡してくれて良かったのに困った時はお互い様だろ」
「ありがとう、楓斗君もいつでも呼んでね。僕はずっと家だから」
今日やっているのはご飯の作り置き。
発情期はまともに料理が出来ないし、彼もいるとならば余程だ。
冷凍して直ぐに食べれるものを話しながら二人で作る。潤也さんと番になれば首輪も要らなくなる。そっと首輪を撫でると楓斗君が笑みを浮かべる。
「やっぱボロボロになるよなー…番になる前にやるとさ、首輪の上から噛まない?」
「そうなんだよ、ここ最近すごく噛んでくるんだよね。…してない時でも気がついたらここ匂い嗅がれてるし、なんだろう。発情期近いからかな」
「そうなんだろうね…。まあ、あと4日だし買い換えるのもなって。買い物とかも心配だからって全部行ってくれる」
「やっぱ心配なんだよ。…あ、これ味見してみて」
はい、と箸を差し出される。
楓斗君のご飯は美味しい。自分もけっこう料理の腕には自信があるのだが楓斗君のは懐かしい味というか、そんな感じがして美味しいのだ。
そんなかんだで「2人なら」と潤也さんを納得して2人で買い物に行き、お茶をして帰ってきた。
座って仕事でもしよう。
仕事部屋に入ると書類や資料を広げて書き物を始める。新しいデザインはまだいいとして、雑誌のインタビューの文書や店舗のことについて考えなくてはならない。
それでも急ぎのものは終わらせておいたので大丈夫だ。安心して発情期に入れる。
こんなに準備万端なのにまだ4日ある。何故こんなにももどかしいのだろうか。
しかも予兆はある。
始めるなら早く始まればいいのに。
そんなむしゃくしゃした気持ちで書類にハンコを押した
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