運命とは強く儚くて

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「…ここがいいか」

「や、ぁ…ーーっ、ふ」

グチグチと響く音と自分の中で皇帝の指が中を掻き回す感覚が興奮を誘う。
凄く気持ちよくて、腰が抜けそうだ。弱いところも入り口も深いところも全部気持ちいい。

「そろそろ頃合か…。…初めてか?」

「っ…。…いえ…違います。ごめんなさい…」

頭がしっかり回らず敬語が上手く使えない。
けれど初めてではないのは本当だ。何せ貧しかったし、自分にできる手っ取り早い金稼ぎはこうするしか無かった。
嫌われてしまうだろうか、そうなったら嫌だ、と目をそらすと優しく皇帝が頬を撫でる。

「責めてはいない。…過去のことは知らない、だが俺はお前の最後の人になれればそれでいい」

「…もちろんです。…僕にも…陛下の最後をください」

「もちろんだ。…愛してる。それと俺の名はアルベールだ、アルベール・レジアニ」

「アルベール…」

彼の名前…。
アルベールという響きが愛おしく感じて何度も繰り返すと照れくさそうに笑った皇帝に横たえられる。

「…さて、そこまで呼ばれては応えないとな」

少し戯れるように覆いかぶさった彼の表情が少し真面目になる。

「エディ…」

低く掠れた囁きと共に、皇帝の大きな昂りが自分の中をゆっくりその形に押し広げて入ってくる。
奥まで届くその圧迫感に、少し苦しくて手を伸ばし彼に腕を回す。

「ぅあ…、ゔ…」

「痛むか?」

「いえ…でも苦しくて…大きい…っ」

「抜くか?…」

「だめです」

彼が出ていかないように足の腕で彼を抱きしめる。
苦しいのに、何故か型にはまったような、安心するような、完全体になれたような感覚だ。

「…動くぞ。痛むのなら言え」

ゆっくりと皇帝が動き始める。
彼が突くたびに内から広がる苦しさと快感に体が痺れ、彼が腰を引くと雁が自分の弱い所をゴリっと押していく。
その度に腰が揺れて、自分では無いような声が口から出る。

徐々に皇帝の腰使いが早くなり、クラクラするような快感が体を絶え間なく巡る。

「っあ、っー…!"…アル…アル…れ、るっ」

「っ…どうした」

「もう…っ、」

「案ずるな…俺もだ」

あまりの快感に呻くような喘ぎを発する唇を塞がれ、奥よりより奥へと皇帝が腰を打ち付ける。
速くて強い…。

もうだめだ、とぼんやりとする中、チカチカするような快感と共に体が痙攣する。
自分の腹にパタタっと落ちた液体。

一方で、お腹の中に熱い液体がいっぱい注がれているのが分かる。
熱くて燃えそうだ、優しい彼の口付けと言葉に酔いそうになる。
いや、もう酔っているのかもしれない。

なぜなら朝起きた時にはあまり覚えていなかったからだ。
でも、何度も何度も体を重ねたのは分かる。
立って後ろから、膝の上に座って…抱き上げられて…思い出すのも恥ずかしい。

体中に着いたキスマークと首輪に着いた歯型を見ながらベッドの中でまだ眠る皇帝の寝顔をそっと眺める。

「…幸せだな」

と呟いてもう一度目を閉じた。
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